テレビ番組はすべて「映画の著作物」に当たるか
▶平成16年5月21日東京地方裁判所[平成13(ワ)8592]
まず,著作権法2条3項において,同法において保護される「映画の著作物」には,映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され,かつ,物に固定されている著作物を含むものとされているところ,同規定によれば,物に固定されていないような表現は,視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現されているものであっても,同法において保護される「映画の著作物」には該当しないこととなると解される。
被告が同時再送信するテレビ番組は,テレビドラマのように録画用の媒体に固定され,しかる後に放送される番組もあるが,生放送番組のように媒体に固定されずに放送される番組もあることは当裁判所に顕著である。このような,媒体に固定されずに放送されるテレビ番組は上記の「映画の著作物」に該当しないものと解されるところであって,およそテレビ番組はすべて「映画の著作物」に該当することを前提とする被告の主張を採用することはできない。
法2条3項の立法趣旨
▶平成13年03月29日大阪高等裁判所[平成11(ネ)3484]
現行著作権法は、以上のベルヌ条約ブラッセル規定に即応し、同条約ストックホルム改正規定をも踏まえて立法されたものであり、保護すべき著作物の一として映画の著作物を明示的に規定し、独創性を有する映画と独創性を欠く映画とを区別しないこととし、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的方法で表現されたものであることを要するとともに、テレビの生放送番組のように放送と同時に消えて行く性格のものを映画の著作物として保護しないということで固定の要件を規定し、現行法2条3項を設けた。
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