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著作権コンサルタントをしています。クリエーターの卵から世界的に著名なアーティストまで、コンテンツビジネスや著作権にかかわる法律問題について、グローバルに支援しています。 カネダ著作権事務所 http://www.kls-law.org/
ラベル 重要判例<出版権・出版契約> の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2025年10月27日月曜日

判例/出版権の侵害性

 

出版権の侵害性

平成190612日大阪地方裁判所[平成17()153]

11 争点1-11(被告用紙は本件用紙を「原作のまま複製」したものであるか。)について

(1) 原告会社の被告らに対する請求は,出版権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求であって,本件出版契約に基づく請求ではないから,被告らによる被告用紙の販売により原告会社の出版権に対する侵害が生じているか否かは,被告用紙が本件用紙を「原作のまま」(著作権法80条1項)複製したものといえるか否かによって判断すべきであって,被告用紙が本件用紙に単に類似しているというだけでは足りず,また,本件出版契約書第5条の「同一内容または著しく類似」といえるか否かとの基準によって判断すべきものでもない。

そして,「原作のまま」複製したものとは,出版権の対象である著作物をそのまま再現したものをいい,したがって,誤字・脱字・仮名遣い等を補正したにとどまるものを除き,当該著作物の内容を変更したものは,「原作のまま」複製したとはいえないものと解するのが相当である。

(2) 上記の観点から,被告用紙が本件用紙を「原作のまま」複製したものといえるか否かを検討すると,次のとおりである。

ア YGPI用紙

YGPI用紙は,本件用紙と同様,三つ折り・六面の用紙で,①表紙,②質問文,③回答表,④粗点集計欄,⑤プロフィール表,⑥プロフィール判定基準を構成要素としており,また,質問文の配列及びプロフィールの構成も本件用紙と同一である。

しかし,本件用紙は,表紙に「性格検査」という表示や教授名の表示があるのに対し,YGPI用紙は,表紙に「性格検査」という表示や教授名の表示はなく,ルビンの杯のイラストに重ねて,丸みのある文字で「YG Personality Inventory」と表示されていることが認められる。

上記の相違点は,誤字・脱字・仮名遣い等を補正したものと同程度の改変とは認められないから,YGPI用紙は,本件用紙を「原作のまま」複製したものとは認められない。

イ 旧ハイブリッド用紙

旧ハイブリッド用紙と本件用紙との間には,本件用紙が三つ折り・六面の1枚の用紙からなるのに対し,旧ハイブリッド用紙は,2枚の紙を切り離し可能に接着した用紙1枚と,別紙1枚の合計2枚からなること,本件用紙においては,プロフィール表は,その下の生年月日欄,性別欄,検査年月日欄,判定欄と一体になった構成で,粗点集計欄とプロフィール表との間に比較的広い間隔があり,この間隔には折り目,カーボンが設けられているのに対し,旧ハイブリッド用紙においては,粗点集計欄とプロフィール表との間にわずかな間隔しかなく,この間隔には学年・組・番号欄,姓名欄,年齢欄,性別欄が,粗点集計欄やプロフィール表とは分離した態様で設けられていること,以上の相違点がある。

上記の相違点は,誤字・脱字・仮名遣い等を補正したものと同程度の改変とは認められないから,旧ハイブリッド用紙は,本件用紙を「原作のまま」複製したものとは認められない。

ウ 新ハイブリッド用紙

新ハイブリッド用紙と本件用紙との間には,本件用紙が三つ折り・六面の1枚の用紙からなるのに対し,新ハイブリッド用紙は,3枚の紙を切り離し可能に接着した用紙1枚と,別紙1枚の合計2枚からなること,本件用紙では,粗点集計欄とプロフィール表が同一見開き内に配置されているのに対し,新ハイブリッド用紙では,このような構成は採用されていないこと,そして,新ハイブリッド用紙における粗点集計欄を配置した紙は,プロフィール表とは別の紙にしたことにより生じたスペースに,粗点集計欄計算方法を掲載しており,一方,新ハイブリッド用紙におけるプロフィール表を配置した紙は,粗点集計欄とは別の紙にしたことにより生じたスペースに,「系統値の求め方」やYGPI検査プロフィール区分表等を設けていること,新ハイブリッド用紙における粗点集計欄は,本件用紙のそれと異なり尺度を示す英字がなく,また,マス目の区切り方において本件用紙のそれと異なること,新ハイブリッド用紙におけるプロフィール表では,「尺度」,「調査される性格特徴」の各欄が左からこの順に設けられているが,本件用紙におけるプロフィール表では,上記「尺度」,「調査される性格特徴」の各欄に相当する欄が,右からこの順に設けられていること,「調査される性格特徴」の内容についての表現が両用紙で異なること,以上の相違点がある。

上記の相違点は,誤字・脱字・仮名遣い等を補正したものと同程度の改変とは認められないから,新ハイブリッド用紙は,本件用紙を「原作のまま」複製したものとは認められない。

エ 海賊版用紙

海賊版用紙は,本件用紙と同一であるから,本件用紙を「原作のまま」複製したものと認められる。

(3) 以上によれば,被告会社による被告用紙の発行等のうち,海賊版用紙の発行等は,原告会社の出版権を侵害する不法行為を構成するものと認められるが,YGPI用紙,旧ハイブリッド用紙及び新ハイブリッド用紙の発行等は,原告会社の出版権を侵害する不法行為を構成しない。

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判例/出版権の侵害性

出版権の侵害性

平成171226日東京地方裁判所[平成17()10125]

1 争点(1)ア,イ(本件法則文の著作物性,本件法則文と被告法則文の同一性)について

(1)出版権者は,設定行為で定めるところにより,頒布の目的をもって,その出版権の目的である著作物を,原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製する権利を専有する(著作権法80条1項)。

したがって,被告が,原告の有する出版権を侵害したというためには,被告が,頒布の目的をもって,その出版権の目的である著作物を,原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製したことが必要である。

また,著作物の複製(著作権法21条,2条1項15号)とは,既存の著作物に依拠し,その内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製することをいう(最高裁昭和53年9月7日第一小法廷判決参照)。

そして,著作権法は,思想又は感情の創作的な表現を保護するものであるから(著作権法2条1項1号),既存の著作物に依拠して創作された著作物が,思想,感情若しくはアイディア,事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において,既存の著作物と同一性を有するにすぎない場合には,複製に当たらないと解するのが相当である(最高裁平成13年6月28日第一小法廷判決参照)。ここで,表現上の創作性とは,独創性を有することまでは要せず,筆者の何らかの個性が発揮されていることで足りると解すべきであるが,創作物が言語によるものである場合,ごく短い表現や,平凡かつありふれた表現などにおいては,筆者の個性が発揮されているということは困難であり,創作的な表現であるとはいえないと解すべきである。

そこで,以下,原告が本件法則文と被告法則文との同一性を主張する箇所ごとに検討する。

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2025年7月14日月曜日

判例/出版権設定契約か出版許諾契約かが争点となった事例

 

出版権設定契約か出版許諾契約かが争点となった事例

▶昭和590323日東京地方裁判所[昭和56()4210]▶昭和61226日東京高等裁判所[昭和59()814]

3 右認定の事実によると、原告と被告B間において、遅くとも、昭和538月ころまでに、単行本「太陽風交点」の出版に関する契約が締結されたことが認められるが、本件全証拠によつても、締結された右契約が物権類似の性質を有する出版権を設定する出版権設定契約であると認めることはできない。すなわち、右認定の事実から明らかなとおり、原告と被告Bの間では出版権の設定との明示の文言その他出版権設定をうかがわせるに足る文言は交わされていないばかりか、当時、被告Bとしては、出版に関する契約に出版権設定契約と出版許諾契約があることすら認識していなかつたのであり、一方、右単行本の出版について原告側として被告Bと交渉に当たつたAについていえば、同人が証人として供述したところによれば、同人は右契約の種類については理解していたものの、本件においては単に出版を独占しうるのは当然と考えていたというに過ぎず、同証言のすべてを検討しても、本件につき、出版権設定契約を締結する意図ないし認識があつたとは認定できないのであつて、このような両当事者間で締結された出版に関する契約をもって出版の単なる許諾以上の権利義務を契約当事者に発生させる出版権設定契約とみることは到底許されないからである。

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