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著作権コンサルタントをしています。クリエーターの卵から世界的に著名なアーティストまで、コンテンツビジネスや著作権にかかわる法律問題について、グローバルに支援しています。 カネダ著作権事務所 http://www.kls-law.org/
ラベル 重要判例<著作者人格権総論> の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2025年9月4日木曜日

判例/氏名表示権に消滅時効はあるか

 

氏名表示権に消滅時効はあるか

▶平成17623日東京地方裁判所[平成15()13385]

被告は,原告の氏名表示権に基づく請求権が,消滅時効ないし権利失効の原則により消滅しており,給付の訴えを提起してもその請求が認められないのであるから,確認の訴えが認められることはないと主張する。

しかし,原告の氏名表示権に基づく請求権が,消滅時効ないし権利失効の原則により消滅していないことは,後記のとおりであり,被告の主張はその前提を欠き,理由がない。そもそも,著作者人格権は,著作者の一身に専属し,譲渡することが許されないものである(著作権法59条)から,原告が本件各銅像の著作者であるとすれば有するはずの氏名表示権が消滅することはないのである。

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被告は,氏名表示権そのものは消滅時効にかからないとしても,本件通知請求や謝罪広告請求は単純なる債権であって時効によって消滅する,と主張する。

しかし,著作者人格権には譲渡性及び相続性がなく,保護期間の定めもないことからすれば,本件各銅像についての原告の著作者人格権(氏名表示権)が,消滅時効にかかることなく,存続することは明らかである。そして,被告も,本件各銅像が一般に展示され続けることを知りながら,本件各銅像に被告が制作者であるとの表示を刻したものであり,このことにより,現在において,本件各銅像が一般に展示され,原告の氏名表示権の侵害が継続しているのである。

以上によれば,被告の行為に起因して現在でも原告の氏名表示権に対する侵害が継続しているのであるから,原告の被告に対する本件通知請求権等が,時効により消滅すると解することはできない。

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2025年7月13日日曜日

判例/著作者人格権は合併・分割を経た会社に承継されるか

 

著作者人格権は合併・分割を経た会社に承継されるか

平成26912日東京地方裁判所[平成24()29975]

(4) 著作者人格権の承継について

被告は,原告が会社分割に際して,読売新聞社から原書籍1及び2に係る著作財産権を承継したとしても,その著作者人格権までも承継することはあり得ないとして,原告について著作者人格権侵害が成立する余地はない旨主張する。

しかし,著作者人格権の一身専属性(著作権法59条)は,会社等の法人については,合併・分割を経ても同一性を失うことなく存続していると評価できる場合には,当該法人は著作者たる地位を失わないと解するのが相当であるところ,前記及び証拠によれば,読売新聞社は,読売新聞グループの再編に伴い,旧商法373条の新設分割により,原告を新設分割会社として,読売新聞グループの持株会社である読売新聞グループ本社と原告とに会社分割され,原告には,それまで読売新聞社が行っていた事業のうち,土地の賃貸に関する事業を除く全ての事業が承継されており,また,グループ会社の株式と一部の土地,預金を除くほとんど全ての資産が承継されていること,読売新聞グループ本社は,原告を含む子会社の株式を保有し,その事業活動を支配・管理することを目的としており,読売新聞社が有していた著作権及び著作者人格権は全て原告が承継して,それらを管理・行使するものとされていることが認められる。以上によると,原告は,旧商法373条の新設分割による設立会社であり,同法374条の10第1項により読売新聞社の権利義務を承継しており,当該承継は,当該権利に関する読売新聞社の地位を承継する包括承継と解される。

したがって,原告は,上記新設分割において,原書籍1及び2に関して,読売新聞社との同一性を失うことなく存続しているのであって,原書籍 1及び2に関する著作者人格権をも承継したものと認められるから,被告の上記主張は採用することができない。

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判例/著作者人格権と人格権一般/「バッタ販売」は著作者の人格権を侵害するか

 

著作者人格権と人格権一般/「バッタ販売」は著作者の人格権を侵害するか

▶平成121130日東京地方裁判所[平成12()944]▶平成13829日東京高等裁判所[平成13()147]

著作者人格権の侵害の成否について

1 著作権法にいう著作者人格権とは、公表権(同法181項)、氏名表示権(同法191項)及び同一性保持権(同法201項)の三つの権利を内容とするところ(同法171項)、原告の主張するいわゆるバッタ販売による原告の人格に対する評価の低下は、右の意味での著作者人格権に関わるものではないから、著作者人格権侵害の主張はそれ自体失当である。

2 また、右の主張を、一般不法行為法としての名誉、人格権侵害を主張するものと解するとしても、出版物の価格設定は出版権者にゆだねられているから、著作物が定価より安い価格で販売されたとしても、これにより直ちに著作権者の名誉等が侵害されることにはならない。

よって、名誉、人格権の侵害を理由とする不法行為の主張も、理由がない。

 

[控訴審]

(2) 争点3(著作者人格権の侵害の成否)について

ア まず、著作者人格権について検討するに、著作権法は、第2章第3節の「第2款 著作者人格権」において、公表権(18条)、氏名表示権(19条)及び同一性保持権(20条)の規定を設けるほか、113条において、著作者の名誉又は声望を害する方法によりその著作物を利用する行為(5項)等が著作者人格権を侵害する行為とみなされる旨規定しているが、他に、著作者人格権を包括的に定義する規定やこの意義を解釈する指針となるべき規定を設けていない。そうすると、著作権法は、上記18条ないし20条に規定する権利及び113条により著作者人格権侵害とみなされる行為の禁止により保護されるべき権利を「著作者人格権」として規定したものというべきであって、これ以外の権利を著作者人格権に含めて解すべき根拠はない。控訴人は、著作権法が、上記のとおり公表権、氏名表示権及び同一性保持権のほか、113条において著作者人格権の侵害とみなす行為を規定していることを根拠の一つとして、著作者が自己の著作物に対して有する人格的、精神的利益の保護を受ける権利を総称して著作者人格権というべきである旨主張するが、113条は、著作者人格権の侵害とみなす行為の内容を各項所定の類型に分類して規定しており、その内容について「著作者が自己の著作物に対して有する人格的、精神的利益を侵害する行為」というような包括的な定義をしているわけではないから、113条の規定を根拠として、著作者人格権の内容を控訴人主張のような包括的権利と解することはできない。したがって、著作権法は、18条ないし20条及び113条に明文の規定を有する上記権利以外のものについては、著作者人格権としてではなく、人格権一般の問題として民法709条による不法行為法上の保護を図っているものと解するのが相当である。そして、控訴人の主張するいわゆるバッタ売りは、著作権法18条ないし20条に規定するいずれの著作者人格権の侵害行為にも当たるものではなく、また、同法113条5項の規定は、一般的な個人としての名誉及び声望を保護する趣旨を含むものであるが、控訴人の主張するバッタ売りが控訴人の名誉及び信用を毀損するものでないことは、後記イのとおりであり、控訴人の名誉又は声望を害する方法によるものでもないことは、同所の認定判断に照らして明らかであるから、本件において、控訴人の主張するバッタ売りが控訴人の著作者人格権を侵害する行為に当たるということはできない。

イ 次に、民法上の人格権の侵害についてみるに、控訴人は、被控訴人らによる定価を大幅に下回るいわゆるバッタ売り行為により、控訴人に「バッタ童話作家」のらく印を押し、その名誉及び信用を著しく毀損した旨主張するが、一般に、定価を下回る価額での書籍の販売がその著作者の名誉、信用を毀損する性質を有するものとは認められない。確かに、「ばった」(バッタ)は古道具屋仲間の隠語であって(株式会社三省堂発行、大辞林)、「ばったに売る」の形で「大安売り・投げ売りに売ること」をいい、「ばった屋」(普通「バッタ屋」と書く)は「正規のルートを通さず手に入れた品を極端に安い値段で売る人」をいうとされている(株式会社岩波書店発行、広辞苑第5版)とおり、控訴人の用いる「バッタ売り」という用語は、正規のルートを通さずに手に入れた商品を極端な低価格で販売するという意味を有するものと解されるから、販売の態様に照らし商品が粗悪品であると観念させるなどの販売行為であれば、著作者の名誉、信用を毀損することもあり得るところである。しかしながら、本件において、控訴人書籍は、被控訴人会社により通常の書店に販売され、その書店の店舗内において通常の販売形態で一般消費者に販売されているのであるから、社会通念上、一般消費者が販売の態様から控訴人書籍が粗悪品であると観念することはないものと考えるのが自然であり、その販売価格も、定価350円の書籍を200円で販売したというものであって、一般に「バッタ売り」と称されているような極端な低価格による販売であるともいえないから、被控訴人会社による控訴人書籍の廉価販売が著作者である控訴人の名誉、信用を毀損したと認めることはできない。また、控訴人は、我が国における著作物の再販売価格制につき主張するが、再販売価格制が存在するからといって廉価販売が直ちに著作者の名誉、信用を失墜させると認めることはできない。したがって、被控訴人会社が控訴人の名誉、信用を毀損したと認めることはできないから、民法上の人格権の侵害をいう控訴人の主張は、採用することができない。

ウ 一般に、著作権及び著作者人格権を侵害する行為は、これらの権利を被侵害権利とする民法709条所定の不法行為に当たり、控訴人も、本件において、不法行為に基づき損害賠償の請求をしているから、控訴人の「本件において著作権法の範囲内のみの請求をしているものではない」との主張の趣旨は、その主張に係る不法行為の被侵害権利が、著作権法上明文で規定された著作権及び著作者人格権のみならず、著作者が自己の著作物に対して有する人格的、精神的利益の保護を受ける権利として著作者の地位から生ずる人格的権利をも含み、また、法令上の規定を欠く編集権及び編集構成権を含むことをいうものと解される(なお、控訴人の主張する編集権及び編集構成権と著作権法上の二次的著作権及び編集著作権との関係については後記(3)イに判示するとおりである。)。しかしながら、被控訴人会社による控訴人書籍の廉価販売がこれらの「権利」(実定法上の権利といえるかどうかはさておく。)を侵害するものといえないことは、上記の認定判断に照らして明らかであるから、控訴人の上記主張も採用の限りではない。

エ なお、控訴人は、本件紛争は、被控訴人会社の無断販売、盗作及び廉価販売という各行為を関連付けて判断しなければ、その真相を解明することができないと主張する。確かに、複数の行為が競合することで初めて不法行為としての違法性を帯びるということは、一般不法行為の分野においてもあり得ることであるが、本件において、廉価販売が一般に著作者人格権を侵害する行為には当たらず、また、被控訴人の本件廉価販売が控訴人の民法上の人格権を侵害するものとも認められないことは上記のとおりである。また、控訴人は、被控訴人会社の無断販売及び盗作を主張し、その主張が、著作権法上の複製権又は翻案権の侵害をいうものであるとしても、これら財産権の侵害それ自体は、一般に人格権の侵害を構成するものではない。さらに、控訴人は、童話出版界において長年のロングセラーであった控訴人書籍について被控訴人会社が控訴人に対し高額の印税を支払っていたという特段の関係が存在し、被控訴人会社の行為は控訴人の多額の利益を横取りするものである旨主張するが、この主張も、要するに控訴人の財産的損害が多額であるということに帰着し、別途、人格権の侵害を基礎付けるものということはできない。そうすると、控訴人の主張するこれらの行為が競合したとしても、これが違法性を帯びるということはできない。なお、被控訴人書籍の内容が控訴人の財産権である著作権を侵害するものでもないことは、争点4に関する原判決の判示及び後記(3)のとおりである

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判例/同一性保持権を侵害して作成された二次的著作物を「放送」する行為は同一性保持権侵害となるか

 

同一性保持権を侵害して作成された二次的著作物を「放送」する行為は同一性保持権侵害となるか

平成151219日東京地方裁判所[平成14()6709]

3 争点(3)(原告Aの著作者人格権を侵害するか)について

(1) 被告が原告Aの氏名を表示することなく乙曲を放送したことは前記のとおりである。被告の上記行為が法19条1項後段所定の氏名表示権を侵害することは明らかである。

(2) 法20条によれば,同一性保持権とは,その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し,その意に反してこれらの変更,切除その他の改変を受けない権利である。そして,法20条は,条文上,改変行為だけを侵害行為としており,改変された後の著作物の利用行為については規定されていない。

また,法113条1項には,同一性保持権侵害とみなされる行為が規定されているが,そこで列挙されているのは,頒布行為や頒布目的の所持,輸入などの行為である。すなわち,同項は,法21条から法26条の3に定められた支分権の対象となる行為の中から,一定の類型の行為のみを一定の要件を課して同一性保持権侵害とみなしているのである。法113条1項においては,頒布行為と同列に扱われるべき公衆送信(放送)行為や複製(録音)行為は,同一性保持権侵害とはみなされていないし,「頒布」は,法2条1項19号において定義されているとおりの行為をいい,公衆送信(放送)や複製(録音)を含むと解することはできない。

原告Aは,著作者人格権を侵害した楽曲を自由に放送や録音等することができるとすると,著作者人格権を法律上保護することが無意味となる旨主張する。

同一性保持権については,立法論としてはともかく,現行法の解釈としては,上記のとおり,同一性保持権を侵害して作成された二次的著作物を放送する行為は,同一性保持権侵害とならないといわざるを得ない。

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2025年6月20日金曜日

判例/氏名表示権の意義

 

氏名表示権の意義

▶平成17623日東京地方裁判所[平成15()13385]▶平成180227日知的財産高等裁判所[平成17()10100]

氏名表示権(著作権法19条)については,公表権(同法18条)のように,著作者の同意があれば侵害の成立を阻却することを前提とする規定(同条2項)が設けられていないこと,著作者ではない者の実名等を表示した著作物の複製物を頒布する氏名表示権侵害行為については,公衆を欺くものとして刑事罰の対象となり得ることをも別途定めていること(同法121条)からすると,氏名表示権は,著作者の自由な処分にすべて委ねられているわけではなく,むしろ,著作物あるいはその複製物には,真の著作者名を表示をすることが公益上の理由からも求められているものと解すべきである。

 

[控訴審同旨]

加えて,著作者人格権としての氏名表示権(著作権法19条)については,著作者が他人名義で表示することを許容する規定が設けられていないのみならず,著作者ではない者の実名等を表示した著作物の複製物を頒布する氏名表示権侵害行為については,公衆を欺くものとして刑事罰の対象となり得ることをも別途定めていること(同法121条)からすると,氏名表示権は,著作者の自由な処分にすべて委ねられているわけではなく,むしろ,著作物あるいはその複製物には,真の著作者名を表示をすることが公益上の理由からも求められているものと解すべきである。したがって,仮に一審被告と一審原告との間に本件各銅像につき一審被告名義で公表することについて本件合意が認められたとしても,そのような合意は,公の秩序を定めた前記各規定(強行規定)の趣旨に反し無効というべきである。

一審被告は,著作権法19条が氏名表示権の行使の一内容として,明文を以て著作者の変名を表示することや著作者名を表示しないことも認めていることを理由に,真の著作者名を表示することが公益上の理由からも求められていると解することは妥当でないとも主張するが,著作権法は,真の著作者の変名表示や非表示を認めるにすぎず,真の著作者ではない者を著作者と表示することまでも許容する趣旨ではないから,一審被告の上記主張は採用することができない。

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判例/パロディー作品と著作者人格権

 

パロディー作品と著作者人格権

▶昭和580223日東京高等裁判所[昭和55()911]

しかし、著作物について著作者人格権が認められるゆえんは、著作物が思想感情の創作的表白であつて、著作者の知的、かつ、精神的活動の所産として著作者の人格の化体ともいうべき性格を帯有するものであることを尊重し、これを保護しようとすることにあるものであるから、他人の著作物を利用してパロデイーを製作しようとする場合、その表現形式上必然的に原著作物の要部を取込み利用するとともに、その内外両面にわたる表現形式に何らかの改変を加える必要があることは承認せざるをえないところであるが、これを無制限に許容することは、明文の根拠なしに原著作物の著作者人格権を否定する結果を招来し、とうてい容認しがたいところであつて、パロデイーなる文芸作品分野の存在意義を肯認するとしても、原著作物の著作者人格権ことに同一性保持権との関連において、これを保護する法の趣旨を減損しない程度においてなすべき旨の法律上の限界があるものといわざるをえない。こうした見地からみると、控訴人の主観的意図はともかく、本件モンタージユ写真が客観的にその主張のようなパロデイーとして評価されうるとしても、前認定のような態様で本件写真の主要部分を取込み利用してこれに改変を加えた本件モンタージユ写真は、右の限界を超えた違法のものと評さざるをえない。

したがつて、本件モンタージユ写真の製作公表は、これについて被控訴人の同意があれば格別、そうでない限り、被控訴人に認められる本件写真についての著作者人格権を侵害するものとのそしりを免れない。

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2025年6月19日木曜日

判例/なぜ、著作者人格権が認められるのか

 

なぜ、著作者人格権が認められるのか

▶昭和580223日東京高等裁判所[昭和55()911]

著作物について著作者人格権が認められるゆえんは、著作物が思想感情の創作的表白であつて、著作者の知的、かつ、精神的活動の所産として著作者の人格の化体ともいうべき性格を帯有するものであることを尊重し、これを保護しようとすることにある(。)

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