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著作権コンサルタントをしています。クリエーターの卵から世界的に著名なアーティストまで、コンテンツビジネスや著作権にかかわる法律問題について、グローバルに支援しています。 カネダ著作権事務所 http://www.kls-law.org/
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2025年11月17日月曜日

判例/ゲーム内楽曲のオーケストラヴァージョン作成(譜面の作成)につき翻案権侵害を認定した事例

 

ゲーム内楽曲のオーケストラヴァージョン作成(譜面の作成)につき翻案権侵害を認定した事例

令和498日東京地方裁判所[令和3()3201]▶令和5420日知的財産高等裁判所[令和4()10115]

2 争点 2(本件編曲行為による原告の原告楽曲に係る著作権(翻案権)侵害の成否)について

(1) 前記のとおり、本件楽曲は、被告Aにより、原告楽曲を素材としてその譜面が作成されたものであるから、原告楽曲に依拠して作成されたものと認められる。

また、本件楽曲が原告楽曲の表現上の本質的特徴と同一性を有するものであることは、当事者間に争いがない。

さらに、ゲーム内で利用されている原告楽曲と基本的にオーケストラによる演奏を想定した本件楽曲との性質ないし内容等の相違に照らすと、被告Aは、本件楽曲の譜面の制作に際し、原告楽曲を、その表現上の本質的特徴との同一性を維持しつつもオーケストラ演奏に適した旋律に変更し、オーケストラを構成する楽器の選択やアレンジ手法、演奏人数等に創意工夫を凝らすことで、原告楽曲に新たな創作性を付加したものとするのが相当である。

以上によれば、本件楽曲は原告楽曲を翻案したものであり、本件編曲行為は、原告の原告楽曲に係る著作権(翻案権)を侵害するものと認められる。

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2025年11月1日土曜日

判例/侵害とみなす行為(法113条1項2号)の意義と解釈

 

侵害とみなす行為(11312)の意義と解釈

平成120523日東京高等裁判所[平成11()5631]

2 頒布の差止めについて知情の主張・立証がないとの主張について

控訴人らは、頒布が禁止されるのが「情を知って」の場合に限られることは、著作権法11312号が明文をもって定めるところであるのに、被控訴人らは、頒布差止め請求についての「情を知って」という要件を主張していない旨主張する。

しかし、著作権法11312号は、著作権侵害行為、著作者人格権侵害の行為や著作権法60条の規定に違反する行為によって作成された物がいったん流通過程に置かれた後に、それを更に転売・貸与する者を全部権利侵害とすることには問題があるために、その場合に限って「情を知って」との要件を付加しているものと解すべきであり、控訴人らは、本件各手紙を本件書籍に掲載して出版した当の本人であって、物がいったん流通過程に置かれた後に、それを更に転売・貸与する者ではないから、控訴人らの行為は、同法11312号にいう「頒布」の問題として扱われるべき事柄ではないというべきである。

控訴人らは、本件各手紙を本件書籍に掲載して出版行為をすること自体が許されなかったのであるから、右違法な行為によって自らが作成した物を自ら頒布することもまた許されないことは、むしろ自明である。すなわち、本件各手紙を本件書籍に掲載して出版したうえで頒布するという控訴人らの一連の行為全体が、全部であれ一部であれ、複製権を侵害する行為及び著作権法60条の規定に違反する行為に該当するというべきである。

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判例/みなし侵害(法113条1項1号)の適用事例

 

みなし侵害(11311)の適用事例

令和498日東京地方裁判所[令和3()3201]▶令和5420日知的財産高等裁判所[令和4()10115]

本件輸入行為による原告の著作権侵害(みなし侵害)の成否について

前記認定のとおり、本件CDは、外国で製作され、VGM社名義で日本国内に輸入されて、日本国内に所在するAmazonの物流拠点に送付されたものである。また、本件輸入行為の前提となる本件録音・複製行為のうち、ハンガリーでのオーケストラ演奏及びその録音は、日本国内で行われていたとしたならば、原告の本件楽曲に関する原著作者としての権利(複製権。法28条、21条)を侵害するものである。

したがって、本件CDは、国内において頒布する目的をもって、輸入の時において国内で作成したとしたならば著作権の侵害となるべき行為により作成された物といえることから、本件CDを輸入した本件輸入行為は、原告の著作権を侵害するものとみなされる(法11311号)。

[控訴審同旨]

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判例/法113条1項1号(侵害とみなす行為)の適用事例

 

11311(侵害とみなす行為)の適用事例

▶平成30531日東京地方裁判所[平成28()20852]

1 争点(1)(著作権侵害の有無)について

前記前提事実によれば,被告は,原告らに無断で,韓国において,原告商品に収録された本件アニメーション作品の日本語音声をその映像とともに複製して,被告商品を製造し,日本国内で頒布する目的で輸入し,これを販売している。原告商品に収録された本件アニメーション作品の日本語音声を複製することは本件著作物(台詞原稿)を複製するものであるところ,被告は,国内において頒布する目的をもって,輸入の時において国内で作成したとしたならば複製権侵害となるべき行為によって作成された物である被告商品を輸入しているため,上記輸入行為は原告らの著作権を侵害する行為とみなされる(著作権法113条1項1号)。また,被告商品を国内で販売する行為は原告らの譲渡権(同法26条の2)を侵害する。

よって,被告は,本件被告行為により原告らの著作権を侵害しているものと認められる。

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2025年9月30日火曜日

判例/セリフ付の4コマ漫画の侵害性を認定した(適法引用性を否定した)事例

 

セリフ付の4コマ漫画の侵害性を認定した(適法引用性を否定した)事例

令和4721日東京地方裁判所[令和3()32178]

4 争点3(「複製」及び「公衆送信」該当性)について

本件漫画は、作者の分身とされる漫画家のキャラクターがゲームキャラクターの二次創 作に関する主張を展開する「ウマ娘ぜんぜん知らないマンガ家。」と題する4コマ漫画であり、その図柄、背景、吹き出しの配置等は別紙著作物目録のとおりである。また、登場キャラクターによる具体的なセリフは次のとおりである。

「はいどうもー」、「以前は『(省略)』を名のってましたが今は『(省略)』を名のっております(省略)でーす/もちろんペンネームです」、「なんかさー」、「ウマ娘の二次創作ってややこしいことになってんだって?/エロがダメとか/でその理由が/馬主が怒るから?」、「はあ?」、「何素直に言うこと聞いてんだエロ絵描き!!!!」、「これまで公式とか一切ムシしてエロを描いてきたんだろが!!/それが?」、「馬主に怒られるからやめる?/おめーらのリビドーは相手の強さで出し入れすんのかよ」

これらのセリフは、原告が、ゲームキャラクターの二次創作に関する自己の主張を独特の言い回しないし言葉遣い等を選択して表現したものと認められ、本件漫画の表現上の本質的特徴を直接感得させる部分をなすものといえる。

他方、投稿画像1は、本件漫画の構成要素のうち概ねキャラクターの顔部分にのみモザイク処理が施されたものであって、本件漫画と対比すると、キャラクターの表情等は認識できないようになっているが、それ以外のセリフ部分等は、本件漫画の表現がそのまま残されていることが認められる。上記のとおり、本件漫画のセリフ部分は本件漫画の表現上の本質的特徴を直接感得させる部分をなすものであるから、これらを全て表示している以上、投稿画像1は、本件漫画の表現上の本質的特徴を直接感得させるものであり、本件漫画との実質的同一性をなお失っていないものといえる。

そうすると、本件投稿1のインターネット上への掲載は、本件漫画の「複製」及び「公衆送信」(自動公衆送信)に該当する。

したがって、本件投稿1は、原告の本件漫画に係る著作権(複製権、公衆送信権)を侵害するものといえる。これに反する被告 KDDI の主張は採用できない。

5 争点4引用としての適法性)について

著作物を引用した利用が適法といえるためには、引用が、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない(著作権法321項後段)。

前提事実のとおり、本件投稿1は、本文として、「この漫画家崩れに関しては wiki 付けて周知してもらった方が良いと思うよ/しかし成長しないね、絵も中身も/#a」などと記載しているものである。この内容に鑑みると、本件投稿者が本件投稿1に投稿画像1を添付した目的は、本件漫画を批評するに当たって実際に本件漫画の内容を示すことにあったことがうかがわれる。

しかし、本件投稿1の本文のうち本件漫画の内容に具体的に言及する部分は、「しかし成長しないね、絵も中身も」というわずか15文字の簡単かつ概括的な感想のみである(なお、本件投稿1に連続する本件投稿者による投稿も見当たらない。)。そうすると、ツイッターが短文投稿サイトであることを考慮しても、本件投稿1において、投稿画像1全体を画像として添付する必要性があったとはいい難い。また、投稿画像1は、キャラクターの顔部分(本件漫画全体の面積に占める割合は4分の1程度である。)にモザイク処理が施されているものの、それ以外の部分は、セリフ部分を含めて本件漫画の表現がほぼそのまま表示されている。しかも、本件投稿1の表示において、投稿画像1は全体の8割程度を占める。このため、本件投稿 1 における引用部分(本文)と被引用部分(投稿画像1)の情報量等には、大きな差がある。

5 これらの事情に鑑みると、本件投稿1における投稿画像1の引用は、引用の方法及び態様の点で、社会通念に照らし、公正な慣行に合致し、かつ、引用目的との関係で正当な範囲内で行われたものということはできない。

したがって、本件投稿1による投稿画像1の引用は、適法な引用の要件を満たすものとはいえない。これに反する被告 NTT コミュニケーションズの主張は採用できない。

6 小括

以上より、本件投稿1の流通により原告の本件漫画に係る著作権(複製権、公衆送信権)が侵害されたことは明らかと認められ、また、前記3記載のとおり、被告らは、いずれも「開示関係役務提供者」に該当するといえる。

そうすると、その余の点について論ずるまでもなく、原告は、本件投稿 1 による本件漫画の著作権(複製権、公衆送信権)侵害について、被告らに対し、本件発信者情報の開示請求権を有する。

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判例/両目部分に黒の横線が入れられたイラストにつき侵害性を認定した事例

両目部分に黒の横線が入れられたイラストにつき侵害性を認定した事例

令和6130日大阪地方裁判所[令和5()6100]

(2) 本件著作権の侵害について

著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」(著作権法2条1項1号)をいう。

本件イラストは、P3氏が、ツイッター上の交流において原告を表すためにふさわしいイラストとして制作したものであり、腹ばいになるアザラシの様子をイラストにし、その下部に「(省略)」と記載したものであるところ、全体的に丸みを帯びた輪郭で、頭部を大きくし、ヒレを頭部付近に小さく描くことにより、親しみやすくかわいらしい印象を与えている点、大きな頭部いっぱいに両目、鼻及び口を描くことでアザラシの表情に存在感を与えている点、これらに「(省略)」という表記を欧文字で加えることで、その性格(原告の人柄)を示しつつイラストとしての一体感を感じさせる点において、選択の幅がある中から作成者によってあえて選ばれた表現であるということができる。したがって、本件イラストは、作成者の思想又は感情が創作的に表現された、美術鑑賞の対象となり得る美的特性を備えたものであると認められ、「著作物」に該当する。

証拠及び弁論の全趣旨によれば、P3氏は、本件イラストを制作し、原告に対し、本件イラストに係る著作権を譲渡したことが認められ、原告は、本件イラストに係る著作権を有していると認められる。

本件黒塗りイラストは、本件イラストの両目部分に黒の横線が入れられ、「(省略)」という表記が黒塗りされたものであるが、被告がかかる改変を行ったことを認めるに足りる証拠はない。一方、前記改変は、前記目線等を加えたことに限られるから、本件黒塗りイラストは、本件イラストに依拠し、かつ、その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、これに接する者が本件イラストの表現上の本質的な特徴を直接感得することができるものと認められ、本件黒塗りイラストは本件イラストの複製物又は翻案物であって、原告が著作権を有するものといえる。そうであるところ、被告は、本件各投稿によって、本件黒塗りイラストに改変等を加えることなくツイッター上に投稿して、少なくとも不特定の者に対して閲覧可能な状態にしたことから、本件各投稿は、原告の著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害するといえる。

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2025年7月10日木曜日

判例/店舗のBGMとして楽曲を再生する行為は演奏権の侵害に当たるか

 

店舗のBGMとして楽曲を再生する行為は演奏権の侵害に当たるか

▶平成30319日札幌地方裁判所[ 平成29()1272]

我が国においては,昭和9年改正の旧著作権法30条1項8号において,レコード等の適法な複製物を用いた演奏は,出所を明示すれば,著作権侵害にならない旨が定められ,昭和45年の著作権法改正の際にも,著作権法附則14条が置かれ,適法に録音された音楽の著作物の演奏の再生については,放送や,音楽を鑑賞させる営業等を除き,当分の間,旧著作権法30条1項8号は効力を有するとされたため,長年にわたり,一般的な店舗等で,適法に取得したレコードやCDをBGMとして再生することは,著作権侵害には当たらないとされてきた。

しかしながら,国際的な著作権保護のための条約との整合性の観点から,平成11年の著作権法改正の際に,著作権法附則14条が廃止されたため(平成12年1月1日施行),以後,この問題は,公表された著作物は,営利を目的とせず,かつ,聴衆又は観衆から料金を受けない場合には,公に演奏等することができるとする現行著作権法38条1項により規律されることになり,同項にいう営利目的には,楽曲の再生により利用者の満足度を高めるなど,間接的に事業を促進する場合も含まれると解されるから,平成12年以降,店舗のBGMとして楽曲を再生する等の行為は,著作者の許諾がなければ,著作者が専有する演奏権(著作権法22条1項)の侵害に当たることとなった(なお,特別な再生装置によらず,通常の家庭用受信装置を用いてラジオ等の放送をそのまま伝達する場合には,同法38条3項後段により,店舗におけるBGM利用であっても,著作権侵害とはならない。)。

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2025年6月22日日曜日

判例/廃墟写真(vs.廃墟写真)の侵害性(翻案性)が争点となった事例

 

廃墟写真(vs.廃墟写真)の侵害性(翻案性)が争点となった事例

▶平成221221日東京地方裁判所[平成21()451]▶平成23510日知的財産高等裁判所[平成23()10010]

[控訴審]

当裁判所も,控訴人の本訴請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は,次のとおりである。

1 翻案権侵害を中心とする著作権侵害の有無について

(1) 著作物について翻案といえるためには,当該著作物が,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えたものであることがまず要求され(最高裁平成13年6月28日第一小法廷判決(江差追分事件)),この理は本件における写真の著作物についても基本的に当てはまる。本件の原告写真1~5は,被写体が既存の廃墟建造物であって,撮影者が意図的に被写体を配置したり,撮影対象物を自ら付加したものでないから,撮影対象自体をもって表現上の本質的な特徴があるとすることはできず,撮影時季,撮影角度,色合い,画角などの表現手法に,表現上の本質的な特徴があると予想される。

(2) 被告写真1が原告写真1の翻案に当たるか否かについてみるに,原告写真1は,群馬県松井田町に所在する国鉄旧丸山変電所の内部を撮影したものであるが,原告書籍1「棄景」が全体の基調としているように,モノクロ撮影を強調しハイコントラストにしたものである。控訴人がこれを翻案したと主張する被告写真1は,被告書籍1「廃墟遊戯」及び被告書籍4「廃墟遊戯-Handy Edition」に収録されているが,これら被告書籍が基調としているように,枯れ葉色をベースにしたカラー写真である。原告写真1と同じく,旧国鉄丸山変電所の内部が撮影対象である。

しかし両者の撮影方向は左方向からか(原告写真1),右方向からか(被告写真1)で異なり,撮影時期が異なることから,写し込まれている対象も植物があったりなかったりで相違しているし,そもそも,撮影対象自体に本質的特徴があるということはできないことにかんがみると,被告写真1をもって原告写真1の翻案であると認めることはできない。

(3) 被告写真2と原告写真2の関係をみるに,両者とも,栃木県足尾町に所在する足尾銅山付近の通洞発電所跡(建物外観)を撮影したものであり,建物右下方向からの撮影であって構図の点では近似している。しかし,撮影対象が現に存在する建物跡であることからすると,たとえ構図において似ていても,写真において表現されている全体としての印象が異なっていれば,一方が他方の翻案に該当するものと認めることはできない。撮影時季が違うことは,特に原告写真2でセピア色の中で白色に特徴付けられて写真左下に写っているすすきが,建物の色感覚をそのまま撮影したであろうと印象付けられる被告写真2にはなく,その位置に緑色の植物が写っていることから明らかである。これらの印象の違いと撮影物の違いにかんがみると,被告写真2が原告写真2の翻案に当たるということはできない。

(4) 原告写真3と被告写真3は静岡県修善寺町所在の大仁金山付近の建物外観を撮影したものであり,原告写真4と被告写真4は東京都奥多摩町に所在する奥多摩ロープウェイの機械室内部を撮影したものであるが,いずれも現に存在する建築物の外観あるいは内部を撮影したものであって,撮影方向が違う以上,これら被告写真が原告写真の翻案に当たるということはできない。原告写真3と原告写真4は,モノクロないしセピア色を基調とした写真であり,特に原告写真4はコントラストの強さを持ったものであって,ほぼありのままを伝えようとする印象を持つ被告写真3,4にはない強いインパクトを与えるものとなっている。

原告写真5と被告写真5は,ともに秋田県大館市に所在する奥羽本線旧線跡の橋梁跡を撮影したものであるが,同様に現存する建築物を撮影したものであり構図も違うから,この点において既に被告写真5が原告写真5を翻案したものということはできない。

(5) 以上のとおり,翻案権侵害をいう控訴人の主張はいずれも理由がなく,そうである以上,被告写真1~5が掲載された被告各書籍の発行等について控訴人が主張する複製権,譲渡権,氏名表示権の侵害の主張も理由がない。

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判例/カエルを擬人化した図柄(キャラクター)の侵害性が問題となった事例

 

カエルを擬人化した図柄(キャラクター)の侵害性が問題となった事例

平成130123日東京高等裁判所[平成12()4735]

(3)オ 上記のとおり、独自の創作性を認めることができる本件著作物の形状、図柄を構成する各要素の配置、色彩等による具体的な表現全体に関して、本件著作物(1)(2)(3)①ないし⑥、(4)①及び②と、被控訴人図柄①、④及び⑤を、それぞれ個別的に対比してみると、輪郭の線の太さ、目玉の配置、瞳の有無、顔と胴体のバランス、手足の形状、全体の配色等において、表現を異にしていることが明らかであり、このような状況の下で、被控訴人図柄を見た者が、これらから本件著作物を想起することができると認めることはできないから、被控訴人図柄を、そこから本件著作物を直接感得することができるものとすることはできないというべきである。

(4) 控訴人は、基本となるキャラクターが共通していれば、このキャラクターに特徴を持たせて差別化を図り、それにより個性を出すことが行われたとしても、同じキャラクターであると認識することができる限り、複製権又は翻案権の侵害に当たるという趣旨の主張をする。

しかし、著作権法によって保護されるのは、「表現したもの」、すなわち、現実になされた具体的表現を通じて示された限りにおいての創作性であり、その意味では、著作権法によって保護されるのは、現実になされた具体的な表現のみであるというべきである。ただし、現実になされた具体的な表現に創作性が認められる場合に、次に問題となるのは当該著作物の保護の範囲であり、具体的な保護の範囲を検討するに当たって、本来それ自体としては著作権法上の保護の対象とならない思想又は感情自体、あるいは、表現手法ないしアイデアの創作性、その延長上で、キャラクターの創作性が影響を及ぼすことがあることは否定できないところである。そして、キャラクターとして把握されるもの及びその創作性のいかんによっては、当該キャラクターを創作し、それを現実に具体的な図柄として表現した者は、その図柄を著作物とする保護の範囲として、当該キャラクターを現実化した図柄すべてを主張することが許されることもあり得るであろう。

しかしながら、前述したとおり、カエルを擬人化するという手法が広く知られた事柄であることは明らかであり、カエルを擬人化する場合に、顔、目玉、胴体、手足によって構成されることになることも自明である。そして、本件著作物の基本的な表現に着目してみる限り、前述のとおり、それは、通常予想されるありふれた表現といい得る範囲に属するものであるから、これ自体を保護に値するキャラクターの構成要素とすることはできず、細部の表現によって構成されるところから抽象化されるものを本件著作物のキャラクターと把握する場合には、被控訴人図柄を同一のキャラクターの具体化とみることができないものであることは、前述したところから明らかである。

そうすると、本件著作物の具体的表現を捨象した抽象的概念と考えられるキャラクターをいかなる内容のものとして把握するとしても、それを考慮することにより、前記(3)の判断が左右されることはあり得ないことになる。

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判例/スローガン同士の侵害性が問題となった事例

 

スローガン同士の侵害性が問題となった事例

▶平成131030日東京高等裁判所[平成13()3427]

1 控訴人は,被告スローガンは,原告スローガンと比べた場合,多少の修正ないし変更がなされているとはいえ,原告スローガンとの間に同一性があると解すべきである,と主張する。

原告スローガンは,「ボク安心 ママの膝(ひざ)より チャイルドシート」という交通標語であり,チャイルドシートの使用を一般に広めようとする趣旨で作成されたものである。これに対し,被告スローガンは,「ママの胸より チャイルドシート」という交通標語であり,原告スローガンと同趣旨で作成されたものである。両スローガンを対比すると,両者は,「ママの・・・よりチャイルドシート」の部分において共通するものの,原告スローガンは,3句構成であるのに,被告スローガンは2句構成である,被告スローガンには,原告スローガン中の「ボク安心」に対応する語句が存在しない,原告スローガンでは「ママの膝(ひざ)より」となっているのに対し,被告スローガンでは「ママの胸より」となっているという各点で相違することが認められる。

原告スローガンや被告スローガンのような交通標語の著作物性の有無あるいはその同一性ないし類似性の範囲を判断するに当たっては,①表現一般について,ごく短いものであったり,ありふれた平凡なものであったりして,著作権法上の保護に値する思想ないし感情の創作的表現がみられないものは,そもそも著作物として保護され得ないものであること,②交通標語は,交通安全に関する主題(テーマ)を盛り込む必要性があり,かつ,交通標語としての簡明さ,分りやすさも求められることから,これを作成するに当たっては,その長さ及び内容において内在的に大きな制約があること,③交通標語は,もともと,なるべく多くの公衆に知られることをその本来の目的として作成されるものであること(原告スローガンは,財団法人全日本交通安全協会による募集に応募した作品である。)を,十分考慮に入れて検討することが必要となるというべきである。

そして,このような立場に立った場合には,交通標語には,著作物性(著作権法による保護に値する創作性)そのものが認められない場合も多く,それが認められる場合にも,その同一性ないし類似性の認められる範囲(著作権法による保護の及ぶ範囲)は,一般に狭いものとならざるを得ず,ときには,いわゆるデッドコピーの類の使用を禁止するだけにとどまることも少なくないものというべきである。

これを本件についてみると,まず,原告は,母親が幼児を膝の上に乗せて抱いたりするよりもチャイルドシートを着用させた方が安全であるという考え方を広めたいとの趣旨から,「ママの膝(ひざ)より チャイルドシート」との対句的表現を用いたものであり,この表現の前に更に,「ボク安心」との表現を配置して,両者を対句的に用いることにより,家庭的なほのぼのとした車内の情景を効果的に的確に表現し,これらを全体として5・7・5調で表現している。他方,「チャイルドシート」は,もともと,保護者が車内に同乗する幼児の安全を守るために着用させるものであり,また,幼児を同乗させる車内の光景としては,父親が車を運転し,母親が幼児を保護するのがその典型的なものとして連想されるため,幼児とその母親とチャイルドシートは密接に関連する題材であるということができ,このことから,「ボク」,「ママ」及び「チャイルドシート」という三つの語句は,チャイルドシートに関する交通標語において,使用される頻度が極めて高い語句であると推認することができる。また,チャイルドシートの使用を勧めるに当たり,チャイルドシートを使用しない従前の状態との対比を明らかにすることにより,その効果を高めようとして,「・・・よりチャイルドシート」とすることは,ごくありふれた手法に属する。このようにみてくると,原告スローガンに著作権法によって保護される創作性が認められるとすれば,それは,「ボク安心」との表現部分と「ママの膝(ひざ)より チャイルドシート」との表現部分とを組み合わせた,全体としてのまとまりをもった5・7・5調の表現のみにおいてであって,それ以外には認められないというべきである。

これに対し,被告スローガンにおいては,「ボク安心」に対応する表現はなく,単に「ママの胸より チャイルドシート」との表現があるだけである。そうすると,原告スローガンに創作性が認められるとしても,それは,前記のとおり,その全体としてのまとまりをもった5・7・5調の表現のみにあることからすれば,被告スローガンを原告スローガンの創作性の範囲内のものとすることはできないという以外にない。

2 上述したところによれば,被告スローガンを,原告スローガンを複製ないし翻案したものということはできず,控訴人の著作権侵害に基づく損害賠償の請求も,不当利得返還の請求も,いずれも理由がないことは,その余の点について判断するまでもなく,明らかである。

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