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著作権コンサルタントをしています。クリエーターの卵から世界的に著名なアーティストまで、コンテンツビジネスや著作権にかかわる法律問題について、グローバルに支援しています。 カネダ著作権事務所 http://www.kls-law.org/
ラベル Q&A{著作権の帰属と移転} の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2025年6月28日土曜日

Q&A/わたしの作品について著作物の「利用許諾契約」を結びたいとの申し出がありました。利用許諾契約を結ぶ場合、どのような点に留意すればよいですか?

 

{Q} わたしの作品について著作物の「利用許諾契約」を結びたいとの申し出がありました。利用許諾契約を結ぶ場合、どのような点に留意すればよいですか?

A ここでは、「利用許諾契約書」を作成する際の一般的な留意点を簡単に述べます。

ひと言で著作物の「利用許諾契約」といっても、その内容は、ビジネスの目的、著作物の種類や利用形態等によって実にさまざまで、バリエーションが豊富です。コンテンツビジネスのリスク管理という観点では、留意点はたくさんあるのですが、ここでは、「利用許諾契約書」を作成する際の一般的な留意点を指摘しておきます(実際のビジネス上の紛争は、たいていの場合、この「一般的な留意点」さえ守られていないケースが原因で起こっています)

お互いの約束をわざわざ「文書化」して残しておくのは、後日の紛争の未然防止に役立つからです。これが契約書を作成する一番大きな目的です。ですので、契約書を作成する際に最も重要なことは、お互いの意思(約束事項)を「明確に特定」しておくことです。せっかく書面を作成しても、その記述が曖昧のままでは契約書の一番の目的を達成できません。

「明確に特定」とは、要するに、<Why?「なぜ(契約を結ぶのか)(契約の目的の特定)/Who?「誰が」(当事者の特定)/When?「いつ(どれだけの期間)(許諾期間の特定)/Where?「どこで」(許諾地域の特定)/What?「何を」(対象著作物の特定)/How?「どのように」(利用形態や使用料の額・算定方法・支払方法などの特定)>という点において、お互いの意思(約束事項)をできるだけ明確にして書面に落とし込むということです。

 

参考までに、「利用許諾契約書」の表題の一部を以下に記しておきます:

キャラクター商品化許諾契約書

著作物(キャラクター、アニメ、イラスト、ホームページ、絵画、彫刻、写真、地図、映画等)制作請負契約書

作曲請負契約書

小説、脚本、歌詞、論文、記事、レポート等の執筆契約書

共同制作(コラボレーション)契約書

ソフトウェア開発委託契約書

ソフトウェア利用許諾契約書

プログラム(ソフトウェア)共同開発契約書

コンピュータシステム業務委託契約書

データベース製作委託契約書

データベース利用許諾契約書

データベース共同開発契約書

編集委託(請負)契約書

新聞、雑誌、看板、インターネット、携帯サイト等における著作物広告利用契約書

原盤レコード製作契約書

CD製作販売契約書

ビデオグラム(DVD、ビデオテープ等)製作販売契約書

上演契約書

演奏契約書

上映契約書

テレビCM、ラジオCMにおける広告放送契約書

放送利用契約書、有線放送利用契約書

インターネット、携帯サイト等における自動公衆送信契約書

朗読会等における口述契約書

講演契約書

美術作品展示契約書

写真展示契約書

レンタル(貸与権利用許諾)契約書

翻訳出版契約書

映画字幕翻訳委託(請負)契約

編曲契約書

美術作品の変形許諾契約書

原作利用(脚本化)契約書

原作利用(ドラマ化)契約書

原作利用(映画化)契約書

原作利用(アニメ化)契約書

翻案許諾契約書

出版権設定契約書

出版許諾契約書

著作隣接権利用許諾契約書

テレビ、ラジオ、舞台、映画等での実演契約書

専属出演契約書

原盤供給契約書

専属実演家契約書

パブリシティ権に関する契約書(帰属や利用許諾、商品化等)

etc.

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Q&A/漫画家をしています。今、私の作品(連載漫画)を大々的に米国で事業展開しようという計画が進行中です。米国での事業展開を担当するパートナー企業から、当該作品の米国における著作権を譲渡して欲しいと言われています。米国だけに限定して著作権を譲渡することはできますか?

 

{Q} 漫画家をしています。今、私の作品(連載漫画)を大々的に米国で事業展開しようという計画が進行中です。米国での事業展開を担当するパートナー企業から、当該作品の米国における著作権を譲渡して欲しいと言われています。米国だけに限定して著作権を譲渡することはできますか?

A 米国だけに限定して著作権を譲渡することは可能です。

著作権は、著作物を創作した時点で、自動的に、ベルヌ条約等国際著作権条約の各加盟国において独立した著作権が発生するというのが国際的に主流の考え方です。つまり、あなたの作品が完成した時点で、その著作権は、日本のみならず、ベルヌ条約の締約国等でも同じように発生しています。そのため、少なくとも国ごとに分割してする譲渡であれば可能だというのが通説です。したがって、米国だけに限定して著作権を譲渡することも可能です。その際、日米両国が加盟しているベルヌ条約の内国民待遇の原則により、日本由来の著作物であっても米国で保護されることに問題はありませんが、若干注意すべき点があります。それは、「著作権の譲渡」と「準拠法」の関係です。というのは、「著作権の譲渡」を規制する法律がアメリカ連邦著作権法(以下、単に米国著作権法といいます。)に準拠することとなった場合、米国著作権法では、「著作権の移転(譲渡と考えても同じです。)」について、日本の法律とはいくつか異なった取扱いをしているからです。いくつかあるのですが、ここでは、以下の2点について簡単に触れておきます。

 

〇「著作権の移転」(a transfer of copyright ownership)には、「非独占的な使用許諾」(a nonexclusive license:第三者の使用との併存を認めるもの)は含まないが、「独占的使用許諾」(an exclusive license:第三者に重ねて許諾しないことを約束するもの)も含まれるという点(101条の定義参照)。この点、日本法では、独占か非独占かを問わず、「使用許諾」は、「著作権の移転(譲渡)」ではありません。

 

〇米国においても、著作権は、その「全部」(in whole)又は「一部」(in part)を移転することができますが(201(d)(1))、それが法律上有効(valid)であるためには、「譲渡証書又は移転の覚書若しくは予備的合意書が文書で書面化されており、かつ、移転される権利の所有者又はその適法に授権された代理人によって署名されている」(an instrument of conveyance, or a note or memorandum of the transfer, is in writing and signed by the owner of the rights conveyed or such owners duly authorized agent)ことが要件となります(204(a)参照)。つまり、米国著作権法上、著作権の移転には著作権者等一定の者の「署名」と「文書化」された書面が要求され、これがないと、当該移転は効力を生じないものとされているわけです。日本法で著作権の移転が有効となるためには、「署名」はもちろんのこと、そもそも「文書化(書面化)」すら要求されていません(署名や文書がなくても、著作権の移転は有効に生じることになります。民法176条参照)

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2025年6月21日土曜日

Q&A/旅館業を営んでいる者です。うちの旅館に宿泊されたことがある有名な作家さんから、先日、お礼のお手紙をいただきました。この手紙を旅館で展示したいと考えております。問題はありませんか?

 

{Q} 旅館業を営んでいる者です。うちの旅館に宿泊されたことがある有名な作家さんから、先日、お礼のお手紙をいただきました。この手紙を旅館で展示したいと考えております。問題はありませんか?

A 少々注意しなければいけない点があります。

手紙の所有権は、その手紙を受け取ったあなたに移っていますが、その手紙(手紙は、一般的に著作物と考えられます。)の著作権まで譲渡されたことにはなりません。したがって、その手紙を、例えば、あなたの旅館のホームページに載せるには、その手紙の著作権者である作家の許諾を得る必要があります。一方、手紙の「展示」については、著作権の1つである「展示権」(25)との関係が問題となります。この点、展示権は、「美術の著作物」と「未発行の写真の著作物」を公衆に展示する場合に認められる権利ですので、言語の著作物である手紙には、展示権は適用されません(しだがって、展示権の侵害には当たりません)。そうすると、手紙の展示は問題なさそうに思えますが、そうではありません。著作者人格権の1つである「公表権」(181)との関係を考えなければなりません。公表権は「まだ公表されていない」(未公表)の著作物について認められる権利ですが、作家があなたの旅館に送った手紙が公に公表されていることはないでしょうから、手紙の展示には、公表権が働き、無断で展示すると、この公表権を侵害することになります。どうしても手紙を旅館で展示したいのであれば、作家の許諾を得ておくべきです。

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Q&A/それでは、「特掲」の要件もクリアーにして、すべての支分権を含めて、漏れなく著作権の譲渡を受けておけば問題ありませんか?

 

{Q} それでは、「特掲」の要件もクリアーにして、すべての支分権を含めて、漏れなく著作権の譲渡を受けておけば問題ありませんか?

A 著作権の全部譲渡については、「特掲」があれば問題ありませんが、著作者人格権には注意してください。

著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができません(59)。つまり、著作権(著作財産権)が全部譲渡されても、著作者人格権はもともとの著作権者(著作者)に残ったままです。そのため、譲渡を受けた著作権の対象である著作物について、著作者の意に反するような改変(同一性保持権侵害)や、著作者名の表示の変更(氏名表示権侵害)などの行為は、全部譲渡を受けた者であっても、原則として、してはなりません。もし、著作物の改変や著作者の氏名表示等について、著作者からクレームがつく可能性(リスク)があれば、事前に契約書で著作者人格権の不行使条項を入れるなどの手当(対処)が必要になります。

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Q&A/あるイラストレーターに弊社のマスコットキャラクターの作成を依頼しようと考えています。弊社としては、出来上がったマスコットキャラクターの著作権を買い取る予定で、その旨の契約書も取り交わすつもりです。その際、「成果物に関するすべての著作権を注文主(弊社)に譲渡する」と定めておけば、安全に著作権の譲渡が受けられるでしょうか?

 

{Q} あるイラストレーターに弊社のマスコットキャラクターの作成を依頼しようと考えています。弊社としては、出来上がったマスコットキャラクターの著作権を買い取る予定で、その旨の契約書も取り交わすつもりです。その際、「成果物に関するすべての著作権を注文主(弊社)に譲渡する」と定めておけば、安全に著作権の譲渡が受けられるでしょうか?

A 著作権の譲渡契約書に「成果物に関するすべての著作権を注文主(あなたの会社)に譲渡する」と定めただけでは安全とはいえません。

著作権の譲渡契約において、二次的著作物に対する原著作者の権利、すなわち、二次的著作物を創作する権利(27)及び二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(28)が譲渡の目的として「特掲」(”明示の記載”と考えて差し支えありません。)されていないときは、これらの権利は譲渡人(著作権者であるイラストレーター)に「留保」されたものと「推定」されます(612)。そのため、折角、「譲渡契約書」を作成しても、この「特掲」がないと、あなたの会社が、後々、マスコットキャラクターの二次利用(グッズにしたり、映像作品にしたり)する際に、あらためて、イラストレーターから適宜利用を許諾を受けるか、別個に著作権の譲渡を受けるかしなければならず、面倒な事態が予想されます。少なくとも、「成果物に関するすべての著作権(著作権法27条及び28条に規定する権利を含む。)を注文主に譲渡する」といった程度を記載(特掲)をするようにしてください。

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Q&A/ある出版社が主催する小説コンクールに応募しようと思っています。その応募条件に「入選作品の著作権は弊社(出版社)に帰属する」という文言がありました。もし、私の作品が入選した場合、小説をドラマ化したり、翻訳したりする権利も出版社が持つことになるのですか?

 {Q} ある出版社が主催する小説コンクールに応募しようと思っています。その応募条件に「入選作品の著作権は弊社(出版社)に帰属する」という文言がありました。もし、私の作品が入選した場合、小説をドラマ化したり、翻訳したりする権利も出版社が持つことになるのですか?

A そのような応募条件のみでは、あなたの作品を「ドラマ化したり、翻訳したりする権利」を出版社が持つことはありません。

著作権法では、原著作物(あなたの作品)を「ドラマ化」(著作権法上は「映画化」)したり、「翻訳」する権利(二次的著作物を創作する権利(27))を、譲渡契約において、相手側(出版社)に移転させるためには、契約(譲渡契約)においてその旨が「特掲」(「とっけい」と読みます。一般的には、「特別に掲示すること」を意味します。)されていなければならないとされています(612項参照)。したがって、応募条件に、少なくとも、「入選作品の著作権(著作権法27条及び28条に規定する権利を含む。)は弊社(出版社)に帰属する」といった文言がなければ、出版社があなたの作品の二次創作権を当然に持つことはありません。

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Q&A/著作権法61条2項には注意が必要だと聞きました。「特掲」の意義を教えてください。

 

{Q} 著作権法612項には注意が必要だと聞きました。「特掲」の意義を教えてください。

A 承知しました。

著作権法612項は、著作権の譲渡契約において、二次的著作物に対する原著作者の権利、すなわち、二次的著作物を創作する権利(27)及び二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(28)が譲渡の目的として「特掲」されていないときは、これらの権利は譲渡人(著作権者)に「留保」されたものと「推定」される旨を規定しています。その趣旨は、著作権の譲渡が直ちに著作権の全部譲渡を意味するものとすると著作権者の保護に欠けるおそれがあり、また、将来どのような付加価値を生み出すか予想がつかない二次的著作物の創作及びその経済的利用に関する権利について、譲渡時に譲渡人(著作権者)の側に、そのすべてを相手方に譲渡するという明白な譲渡意思があるものとは通常言い難いことから、二次的著作物に対する原著作者の権利(27,28)については、これを譲渡する旨の「特掲」がない限り譲渡人に留保されている、つまり、当該権利は相手方に譲渡されていないと推定する、としたものです。

例を挙げて説明しましょう。「小説Aにかかる著作権は、これをBに譲渡する」という譲渡契約がなされた場合であっても、Bは小説Aを印刷して出版すること等はできますが、小説Aを「映画化」したり、「翻訳」することはできません。当初の契約に「映画化権」「翻訳権」(ともに27条の権利)が「特掲」されていないからです。小説Aの「映画化」や「翻訳」を欲する場合には、あらためて、著作権者からこれらの利用の許諾を得るか、これらの権利を譲り受けるかする必要があります。

ここで、「特掲」されていると言えるためには、単に「すべての著作権を譲渡する」とか、「一切の権利を譲渡する」という表現では足りない、と解されるおそれがあります。少なくとも、「著作権(著作権法27条及び28条に規定する権利を含む。)を譲渡する」といった程度の文言を用いて、契約書に明記する必要があります。実務上しばしば問題となるところですので、十分注意してください。

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Q&A/著作権の二重譲渡(二重売り)があった場合、著作権はどちらが主張できるのですか?

 

{Q} 著作権の二重譲渡(二重売り)があった場合、著作権はどちらが主張できるのですか?

A 契約時期の前後にかかわらず、所定の機関に先に著作権の移転登録をした方が、著作権を主張できます。

無体財産権としての著作権の「二重譲渡(二重売り)(同じ著作権をXYに売り渡してしまう状態)は、実務上、しばしば問題となって、紛争(裁判沙汰)になるケースがあります。このような二重譲渡があった場合、どちらのが自己の著作権を有効に主張できるかは、著作権の移転登録の前後で決まります(契約の時期ではありません)。仮にXが先に譲渡契約を締結していた場合でも、Xより先にYが文化庁(プログラムの著作物の場合は、一般財団法人ソフトウエア情報センター)に移転の登録をしていると、YがXに対して自己が正当な譲受人であること主張することができます(77条1号参照)

著作権を買い取る際は、常に「二重譲渡(二重売り)」の危険(リスク)を念頭に入れて、著作権の譲渡を受けたら、しかるべき機関への登録を検討してください。

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Q&A/小説などの原稿の買取りは、著作権の譲渡になるのですか?

 

{Q} 小説などの原稿の買取りは、著作権の譲渡になるのですか?

A 一般的には、原稿の買取りが直ちに著作権の譲渡になるとは限りません。

当事者間で行われたその「買取り」がどのような趣旨(目的)であったのか、当事者の意思がどこにあったのかが、解釈の方向性を決めます。一般的には、小説などの原稿の買取り料は、原稿という有体物の所有権の譲渡代金であるとともに、その原稿に表現されている作品(著作物)を契約の目的を実現するために「利用」(例えば、出版)するための対価(許諾料)と考えられます。もっとも、当事者間で著作権を譲渡する意思が窺えるような時別な状況(例えば、通常の買取り料に比較して、相当に高額の対価が支払われたなど)が認められれば、買取り料が、所有権の譲渡代金であるとともに、作品(著作物)にかかる著作権の譲渡代金であると解される場合もあり得ます。同じことは、写真のネガの買取りにも当てはまります。裁判例の中には、著作権の譲渡の「黙示的な合意」を認定したものがあります。

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Q&A/絵画を売り渡した場合、その絵画の著作権も譲渡したことになるのですか?

 

{Q} 絵画を売り渡した場合、その絵画の著作権も譲渡したことになるのですか?

A 絵画を売り渡しても、直ちに、その絵画の著作権も譲渡したことにはなりません。

著作権は、「思想又は感情を表現したもの」(著作物)に発生する権利であって、その表現(著作物)がある有体物に現れていても、その有体物に対する権利、すなわち、物の所有権とは別個の権利です。したがって、絵画の売り渡し(売買契約)が行われて場合、買主に移転するのは、その絵画の「所有権」のみであると解されます。その絵画の著作権の譲渡も希望するのであれば、別途、著作権の譲渡契約を結ぶ必要があります。

(参考) 著作権と物の所有権とが別個の権利であることは、例えば、アメリカ連邦著作権法では、条文として明記されています(202)。この点、わが国にはそのような明示規定はありませんが、最高裁の判例として確立した解釈があります(昭和59120日最高裁判所第二小法廷[昭和58()171]参照)

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Q&A/著作権を譲渡するのに、「書面」は必要ですか?

 

{Q} 著作権を譲渡するのに、「書面」は必要ですか?

A 必要ありません。

著作権の移転(譲渡)は、所有権などの移転と同様に、契約当事者の意思表示のみによって効力を生じます(民法176)。すなわち、著作権の売買や交換、贈与、信託等の契約(譲渡契約)が成立した時点で直ちに移転するのが原則です。そのため、「書面」(譲渡証書のような契約書)の作成は、譲渡が有効であるための要件ではありません。

しかしながら、譲渡契約を巡るトラブルのうち、書面(契約書)が作成されていないことに起因するものが多いのが実情で、譲渡契約の中身についての当事者の意思が書面で確認できないことから、後日、契約の解釈等を巡って紛争が生じることが多々あります。このような事情から、実務的には、リスクマネジメント(将来の紛争の未然防止)の観点から「書面化」が有効であり、かつ、必要であることはいうまでもありません。

ちなみに、アメリカにおいては、わが国とは異なり、「著作権の移転」に「著作権者の署名の入った書面」(an instrument in writing and signed by the copyright owner)が要求され、これがないと、著作権の移転は効力を生じないものとされています(204(a))

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Q&A/日本国内で製作された映画の上映権をアメリカの配給会社に譲渡することは可能ですか?

 

{Q} 日本国内で製作された映画の上映権をアメリカの配給会社に譲渡することは可能ですか?

A 可能です。

著作権は、その「一部」を譲渡することができるため(611)、複製権や上映権といった、著作権を構成する個々の支分権ごとに譲渡することができます。この点は、アメリカにおいても同様です(下記()参照)。一方、地域的な個別譲渡(国ごとに分割して譲渡できるかの問題)については、著作権保護にかかわる最も重要な国際的枠組みである「ベルヌ条約」との関係で考える必要があります。ベルヌ体制の下では、著作権は、著作物を創作した時点で発生し(無方式主語, ベルヌ条約Art.5(2))、そのように発生した著作権の保護は、同盟国のそれぞれの「国内法」(domestic law)で規律する建前になっています(Art.5(3)参照)。つまり、各同盟国で発生した著作権はそれぞれ独立したものと解されるため、「国ごとに分割して譲渡」することには、その必要性を認めることができます。日米双方ともに、ベルヌ同盟国ですので、同条約が定める内国民待遇(Art.5(1))によって、「日本国内で製作された映画(の著作物)」の著作権は、アメリカでも保護されます。したがって、「日本国内で製作された映画の上映権をアメリカの配給会社に譲渡すること」が可能になります。

() アメリカ連邦著作権法においても、著作権は、その「全部」(in whole)又は「一部」(in par)を「移転」することができます(201(d)(1))。この点は、上述したように、わが国と同じです。もっとも、「著作権の移転」(a transfer of copyright ownership)という用語については別に定義規定が設けられていて、それによると、著作権の「譲渡」(an assignment)は当然に含みますが、一方で、「独占的利用許諾」(an exclusive license)も「著作権の移転」に含めています(「非独占的利用許諾」(a nonexclusive license)は「著作権の移転」に含めていません)。「独占的利用許諾」を「著作権の移転」に含めて扱っている点で、日本とは大きく異なりますので注意してください。加えて、アメリカにおいては、わが国とは異なり、「著作権の移転」に「著作権者の署名の入った書面」(an instrument in writing and signed by the copyright owner)が要求され、これがないと、著作権の移転は効力を生じないものとされています(204(a))。この点も注意が必要です(わが国で著作権の移転(譲渡)が有効となるためには、「署名」はもちろんのこと、そもそも「書面化」すら要求されていません)

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Q&A/小説を書いています。先日、それぞれ別の会社から、私のある作品の翻訳権を譲って欲しいと言われました。例えば、作品の英語版の翻訳権と、韓国語版の翻訳権を、それぞれ別の会社に譲渡することはできますか?

 

{Q} 小説を書いています。先日、それぞれ別の会社から、私のある作品の翻訳権を譲って欲しいと言われました。例えば、作品の英語版の翻訳権と、韓国語版の翻訳権を、それぞれ別の会社に譲渡することはできますか?

A 作品の英語版の翻訳権と、韓国語版の翻訳権を、それぞれ別の会社に譲渡することはできる、と考えます。

著作権は、その「一部」を譲渡することができます(611)が、「一部」とはどの範囲までのものを言うのかについては、著作権法に規定がありません。また、この点に関して確定した判例もありません。そのため、実際問題として、著作権に含まれるそれぞれの支分権をどこまで細分化して譲渡できるのかについて、議論があります。一般的には、実務上(商慣習上)も別個の権利として観念されていて、そのような取り扱いをすることの妥当性や必要性が高いものについては、譲渡できると考えて差し支えないと思います。出版業界では、同じ(日本語の)作品であっても、それを特定の国語への翻訳に限定して譲渡することの必要性が実務上の要請からも高いと考えられますので、「作品の英語版の翻訳権と、韓国語版の翻訳権を、それぞれ別の会社に譲渡することはできる」と考えます。

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Q&A/漫画家をしています。先日、ネットでコンテンツを配信している会社から、私のある作品について、その作品にかかる著作権のうち公衆送信権を譲渡して欲しいとのオファーがありました。このような著作権の「切り売り」は可能ですか?

 

{Q} 漫画家をしています。先日、ネットでコンテンツを配信している会社から、私のある作品について、その作品にかかる著作権のうち公衆送信権を譲渡して欲しいとのオファーがありました。このような著作権の「切り売り」は可能ですか?

A そのような著作権の切り売り(法律的には、「著作権の一部譲渡」)は、可能です。

著作権は、その「一部」を譲渡することができます(611)。著作権は、複製権や公衆送信権などの権利(これらの個々の権利を支分権と呼んでいます。)を含んでいますので、そのうちの「公衆送信権」だけを”切り売り”することに問題はありません。

1つの支分権をさらに分割(細分化)して譲渡することも、そのような分割が、実務上(商慣習上)も別個の権利として観念されていて、そのような取り扱いをすることの妥当性や必要性が高いものについては、一般的に可能である解されます。つまり、「ネットでコンテンツを配信している会社」に対しては、「公衆送信権」のうちの「自動公衆送信権」だけをさらに’切り売り’することが可能であると解されます。

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Q&A/それでは、著作者人格権は、譲渡することができますか?

 

{Q} それでは、著作者人格権は、譲渡することができますか?

A いいえ、できません。

著作者人格権は著作者の「人格的利益」と強く結びついているため、その著作者を離れて存在することはありません。つまり、著作者人格権は、他人に譲渡(贈与したり売却したり)することはできませんし、また、著作者が死亡するとそれと同時に消滅するため相続の対象となることもありません。この点、著作権法は、「著作者人格権は、著作者の一身に専属し、譲渡することができない。」と規定しています(59)。この考え方を、著作者人格権の「一身専属性」と呼んでいます。

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Q&A/著作権は、他人に譲渡することができますか?

 

{Q} 著作権は、他人に譲渡することができますか?

A はい、できます。

著作権は、不動産や自動車の所有権のように、自由に譲渡することができます(相続の対象にもなります)。この点、著作権法は、「著作権は、その全部又は一部を譲渡することができる。」と規定しています(611)。つまり、著作権は、それを構成しているすべての権利(支分権)を一括して「全部」譲渡することができますし(これを、「全部譲渡」と呼んでいます。)、一定の範囲(後述)に限定して「一部」譲渡(このような譲渡を、「一部譲渡」と呼んでいます。)することもできるのです。

「一部譲渡」の例:

支分権ごとの譲渡

① 著作権は、それを構成する各種の「支分権」(複製権、上演権、上映権、公衆送信権、翻案権など、著作権の中に含まれる各種の権利のことです。)をそれぞれ分離して個別的に譲渡することができます。

② 地域限定の譲渡

著作権は、地域的・場所的な限定を付して譲渡することができます。例えば、演奏権を日本国内のみ又はアメリカ国内のみに限定して譲渡することが可能です。

③ 期間限定の譲渡

著作権は、時間的な限定を付して譲渡することができます。例えば、「3年間」という限定を付して譲渡することが可能です(この場合、3年の期間が経過すれば、著作権は譲渡人(もとの権利者)に復帰することになります)

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2025年6月19日木曜日

Q&A/映画の著作物の著作権は、すべて無条件に、映画製作者に移転するのですか?

 

{Q} 映画の著作物の著作権は、すべて無条件に、映画製作者に移転するのですか?

A いいえ、違います。

著作権法には、映画製作の実態に配慮して、映画の著作物の著作権の帰属に関して特別の定め(29)が用意されています。それによると、映画の著作物の著作権は、「その著作者が映画製作者に対し当該映画の製作に参加することを約束しているとき」は、その「映画製作者に帰属する」、と定めています(1)。映画の著作物の著作権は、その映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した著作者(16条、212)のもとに発生するのですが、同時に、法律上何らの手続きを要することなく、その発生した著作権が「映画製作者」(1)に移転することになるのです(2)。その趣旨は、多くの人間がその創作(製作)に関与し、多大な投資を必要とすることが少なくない映画製作の実態において、映画の円滑な利用を促しつつ、映画製作への投資のインセンティブを確保することなどにあるといわれています。

(1)「映画製作者」とは、「映画の著作物の製作に発意と責任を有する者」を意味します(2110)

(2) もっとも、財産権としての「著作権」が自動的に映画製作者に移転することになっても、「著作者人格権」については「著作者」が享有したままです(映画製作者に移転しません)

上述した条文の文言から明らかなように、映画の著作物の著作権は、すべて無条件に、映画製作者に帰属する(移転する)わけではありません。法291項が適用されるためには、映画の著作物の著作者(外部の映画監督など)が映画製作者に対し、「当該映画の著作物の製作に参加することを約束している」ことが条件となっているため、この参加契約がない場合には、本規定の適用はないことになるのです。

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Q&A/映画の著作物の権利の帰属について、教えてください。

 

{Q} 映画の著作物の権利の帰属について、教えてください。

A 承知しました。

著作権法上、「映画の著作物」の権利(著作権、著作者人格権)の帰属問題(これらの権利が誰のものになるのかという問題)は、少々複雑で面倒です。ケースを分けて解説します。

〇 ケース①(個人が会社や映画製作者にかかわらず純粋に自分だけで映画を制作した場合)

この場合、その個人が著作者となり、著作者の権利である著作権(著作財産権。以下同じ。)と著作者人格権の両方を持つことになります。

〇 ケース②(映画会社の従業員が業務の一環として映画を作成した場合)

この場合、「職務著作(法人著作)(151項参照)の要件を満たしていれば、その従業員を雇っている映画会社が著作者となり、著作権と著作者人格権の両方を持つことになります。

〇 ケース③(映画会社が外部の監督に依頼して映画を制作した場合)

特に注意して欲しいのがこのケースです。この場合、著作権は、映画の完成と同時に自動的に著作者(通常は、その監督)から映画会社に移ります(権利が移転します)(291)。そのため、映画の著作物の著作者には、著作者人格権だけが残ることになります。

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