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著作権コンサルタントをしています。クリエーターの卵から世界的に著名なアーティストまで、コンテンツビジネスや著作権にかかわる法律問題について、グローバルに支援しています。 カネダ著作権事務所 http://www.kls-law.org/
ラベル 重要判例<著作者人格権侵害総論> の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2025年12月8日月曜日

判例/同一性保持権の侵害を否定した事例

 

同一性保持権の侵害を否定した事例

平成10717日最高裁判所第二小法廷[平成6()1082]

著作権法20条に規定する著作者が著作物の同一性を保持する権利(以下「同一性保持権」という。)を侵害する行為とは、他人の著作物における表現形式上の本質的な特徴を維持しつつその外面的な表現形式に改変を加える行為をいい、他人の著作物を素材として利用しても、その表現形式上の本質的な特徴を感得させないような態様においてこれを利用する行為は、原著作物の同一性保持権を侵害しないと解すべきである(昭和55328日第三小法廷判決参照)。

これを本件について見ると、被上告人B1が執筆した本件評論部分の中段部分冒頭の三行は、前記のとおり、上告人の本件著作部分の内容を要約して紹介するものとして適切を欠くものであるが、本件著作部分の内容の一部をわずか三行に要約したものにすぎず、三八行にわたる本件著作部分における表現形式上の本質的な特徴を感得させる性質のものではないから、本件著作部分に関する上告人の同一性保持権を侵害するものでないことは明らかである。また、論旨は被上告人B1により本件著作部分の改ざん引用及び恣意的引用がされたというが、その趣旨は、いずれも、本件著作部分がE師の談話をそのまま掲載したものであるにもかかわらず、被上告人B1によりこれが上告人自身の判断であるかのように利用されたというものであって、その外面的な表現形式における改変をいうものではない。したがって、被上告人B1の行為が上告人の本件著作部分に関する同一性保持権を侵害しないとした原審の判断は、結論において是認することができる。論旨は、独自の見解に立って原判決を非難するものであって、採用することができない。

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2025年11月13日木曜日

判例/パロディの侵害性(モンタージュ写真は同一性保持権を侵害するか)

 

パロディの侵害性(モンタージュ写真は同一性保持権を侵害するか)

▶昭和580223日東京高等裁判所[昭和55()911]

三 本件著作権の侵害について

1 前記一、二の事実を総合し、本件写真及び本件モンタージユ写真を対照して検討すると、本件モンタージユ写真は、カラーの本件写真の一部を切除し、これに本件写真にないスノータイヤの写真を合成し、これを白黒の写真とした点において、本件写真に改変を加えて利用作成したものということができる。

そして、利用された本件写真部分は、外見的には本件写真そのものと同一ではなくなつたが、本件写真の本質的特徴をなすとみるべき、雪の斜面をシユプールを描いて滑降して来た6名のスキーヤーの部分及び山岳風景の部分中、前者はその全部、後者はなおその特徴をとどめるに足る部分からなるものであるから、本件写真における表現形式上の本質的な特徴は、利用された本件写真部分自体において感得することができるものである。また、本件モンタージユ写真は、これを一見しただけで、右の本件写真部分にスノータイヤの写真を付加することによつて作成されたものであることを看取しうるものであるから、それが前認定のような非現実的な世界を表現し、本件写真とは別個の思想感情を表現するものと見ることができるとしても、なお本件モンタージユ写真から本件写真の本質的特徴を直接感得しうるというに妨げないものである。

してみると、控訴人のした本件写真部分の複製利用は、被控訴人が本件写真の著作者として有する本件写真についての同一性保持権を侵害する改変であるといわなければならず、また、その著作者としての被控訴人の氏名を表示しなかつた点において、氏名表示権を侵害したものといわなければならない。

2 右著作権侵害について、控訴人は、それが違法性を欠き、社会的に許容されるべきものである旨種々主張するので、以下順次検討する。

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(二) 本件写真利用の目的態様の相当性の主張について

(1) 控訴人は、本件モンタージユ写真がA・I・U社のカレンダーに掲載の本件写真と自動車のタイヤの写真とを組合わせて製作したいわゆるモンタージユ写真で、これにより、本件写真の著作意図とその美術的評価を風刺的に批判し、かつ、自動車公害の現況を風刺したいわゆるパロデイーであつて、このような目的態様に照らし、本件写真の改変利用は社会的にやむをえないものとして許される旨主張する。

成立に争いのない(証拠等)によると、すでに公表された著名な著作物をもじり、その内容とは異なる内容のものとしてこれを茶化あるいは風刺する著作物としてパロデイーと称される作品の分野が社会的に存在することが認められ、また、前掲(証拠等)によると、全く異質の写真の映像を組合わせて新たな写真を製作することにより、原写真に託された製作意図とは異なるものを表現する方法として、社会的にフオト・モンタージユと称される写真製作の技法が存在すること、本件モンタージユ写真がこの技法によつて製作されたものであつて、控訴人の意図は、本件写真の表現する美観そのものを風刺するとともに自動車公害に悩む現代社会を風刺するパロデイーとするつもりであつたことが認められる。

しかし、著作物について著作者人格権が認められるゆえんは、著作物が思想感情の創作的表白であつて、著作者の知的、かつ、精神的活動の所産として著作者の人格の化体ともいうべき性格を帯有するものであることを尊重し、これを保護しようとすることにあるものであるから、他人の著作物を利用してパロデイーを製作しようとする場合、その表現形式上必然的に原著作物の要部を取込み利用するとともに、その内外両面にわたる表現形式に何らかの改変を加える必要があることは承認せざるをえないところであるが、これを無制限に許容することは、明文の根拠なしに原著作物の著作者人格権を否定する結果を招来し、とうてい容認しがたいところであつて、パロデイーなる文芸作品分野の存在意義を肯認するとしても、原著作物の著作者人格権ことに同一性保持権との関連において、これを保護する法の趣旨を減損しない程度においてなすべき旨の法律上の限界があるものといわざるをえない。こうした見地からみると、控訴人の主観的意図はともかく、本件モンタージユ写真が客観的にその主張のようなパロデイーとして評価されうるとしても、前認定のような態様で本件写真の主要部分を取込み利用してこれに改変を加えた本件モンタージユ写真は、右の限界を超えた違法のものと評さざるをえない。

したがつて、本件モンタージユ写真の製作公表は、これについて被控訴人の同意があれば格別、そうでない限り、被控訴人に認められる本件写真についての著作者人格権を侵害するものとのそしりを免れない。

※参照(本件の最高裁裁判例)昭和61530日最高裁判所第二小法廷[昭和58()516]

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2025年11月7日金曜日

判例/改変後の利用行為に同一性保持権は及ぶか(図書館による貸し出し等の行為につき、著作者人格権の侵害を否定した事例)

 

改変後の利用行為に同一性保持権は及ぶか(図書館による貸し出し等の行為につき、著作者人格権の侵害を否定した事例)

▶平成22226日東京地方裁判所[平成20()32593]▶平成220804日知的財産高等裁判所[平成22()10033]

2 争点2(著作者人格権侵害の成否)について

被告らが設置する図書館等において本件韓国語著作物を所蔵し,【貸与,複製する】行為自体は,著作物及びその題号を改変するものではないから,原告の同一性保持権を侵害することはない。

【すなわち,同一性保持権とは,その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し,その意に反してこれらの変更,切除その他の改変を受けない権利である(著作権法20条)ところ,同条は,条文上,改変行為だけを侵害行為として,改変された後の著作物の利用行為については規定していないものである。

控訴人は,被控訴人らの行為自体は著作物及び題号を改変するものでないとしても,被控訴人が本件韓国語著作物を所蔵・貸与するなどの行為は,著作物及びその題号の改変を事後的に幇助したと評価できるものであって,実質的には同一性保持権を侵害すると主張するが,著作物及びその題号を改変するものではないにもかかわらず,著作権又は同一性保持権侵害の著作物を所蔵・貸与,複製する行為(又はこれに類する行為)をもって,原著作物及びその題号の同一性保持権を侵害することになるものということはできず,控訴人の主張は採用することができない。

また,前記のとおり,被控訴人らは,それぞれが設置する図書館等において,利用者に対する閲覧,貸与等のために本件韓国語著作物を購入して所蔵しているものであるところ,被控訴人らが本件韓国語著作物を購入してこれを図書館等において貸与することは,当該著作物が控訴人著作物を原著作物とするその二次的著作物であるとしても,二次的著作物の著作者が原著作者である控訴人の氏名表示権を侵害して当該二次的著作物を自ら公衆へ提供又は提示する場合とは異なるものであって,被控訴人らの行為は著作権法19条1項に該当するものではなく,控訴人の主張は採用しない。

したがって,控訴人の著作者人格権に基づく各請求は理由がない。】

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2025年9月4日木曜日

判例/出版予告の掲載をもって公表権の侵害とすることはできないとした事例/「本を出版しようとする者の自己決定権」なる権利の侵害を否認した事例

 

出版予告の掲載をもって公表権の侵害とすることはできないとした事例/「本を出版しようとする者の自己決定権」なる権利の侵害を否認した事例

令和5420日東京地方裁判所[令和3()15628]▶令和6110日知的財産高等裁判所[令和5()10060]

(1) 著作者人格権(公表権)侵害の有無について

ア 公表権とは、未だ公表されていない著作物を公衆に提供し、又は提示することについての著作者の権利をいう(法181項)。「公衆に提供」するとは、著作物の性質に応じ公衆の要求を満たすことができる相当程度の部数の複製物が作成されて頒布されることをいい、公衆に「提示する」とは、上演、演奏、上映、公衆送信、口述、展示のように複製物の頒布以外の方法で公衆に示されることをいうものと解される(法41項、31項参照)。

イ 前記のとおり、本件書籍の未完成原稿は著作物として成立し、その著作者であるBがこれについて著作者人格権(公表権)を有していたと認められる。しかし、本件予告には、本件書籍の書籍名、発売予定時期、著者名、著者紹介等が示されているほか、被告の作成した本件書籍の内容を紹介する文章が掲載されているにとどまり、本件書籍の原稿に記載された文章それ自体が記載されているわけではない。

そうである以上、被告による【本件予告の被告ウェブサイトを含む各ウェブサイトへの掲載は】、Bの著作物である未完成原稿の内容を公衆に提供又は提示したものとはいえない。

そもそも、原告は、被告の自社ウェブサイトに掲載された本件予告を閲覧した上で、その誤り等の訂正を申し入れたものである。このことに鑑みると、被告による本件予告の掲載については、原告も承諾していたことがうかがわれる。

以上より、被告は、【本件予告を公表することにより】Bの著作者人格権(公表権)を侵害したとは認められない。

ウ これに対し、原告[注:Bの相続人]は、公表権は著作物の公表そのものに限らず、著作物の出版予告等その前段階の行為にも及ぶとすると共に、本件予告記載の紹介文が、本件書籍の原稿に記載されたBの武士道に関する思想を紹介したものであるから、本件予告は公表権侵害となるとも主張する。

しかし、「公表」の意義は前記のとおりであり、著作物の出版予告等までこれに含まれるとは解されない。また、Bの思想それ自体はアイデアであって著作物とはいえず、これを紹介したからといって、Bの著作物を公表したことにはならない。

したがって、本件予告の掲載をもってBの著作者人格権(公表権)の侵害とすることはできない。

そうである以上、原告は、被告に対し、本件予告につき、Bの著作者人格権(公表権)侵害の不法行為に基づく損害賠償請求権を有しない。この点に関する原告の主張は採用できない。

(2) 自己決定権侵害の有無について

原告は、被告による【本件予告の公表は】、本を出版しようとする者の自己決定権を侵害する不法行為である旨を主張する。

しかし、原告が主張する「本を出版しようとする者の自己決定権」なるものの性質、内容は必ずしも明らかとはいえず、また、これが自己決定権として法的に保護された利益といえるだけの内実を備えたものであることの主張立証もない。

そもそも、前記(1)イのとおり、被告による本件予告の掲載については、原告も承諾していたことがうかがわれる。その後、原告が被告に対し本件予告の撤回を求めたとはいえ、被告は原告に対し出版許諾契約の締結に向けた協議を要請し続け、本件訴訟において原告が被告と契約締結の意思がないことを明確に示したことを受けて直ちに本件予告を削除したことに鑑みると、この間本件予告の掲載を継続したことにつき、不法行為を成立させる違法な行為と見ることはできない。

【原告は、インターネット上に本件書籍に係る情報等が残存していると主張するが、これらの事情を踏まえても上記判断を左右しない。

なお、原告は、自己決定権について本件書籍の出版の時期等を決定する権利であると主張しているところ、原告は自らの意思により本件書籍の出版を取りやめることができているのであるから、本件書籍の出版の時期等を決定する権利が侵害されたとはいえない。

したがって、原告は、被告に対し、自己決定権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求権を有しない。】

(3) まとめ

以上のとおり、被告による本件予告の掲載をもって、Bの著作者人格権(公表権)又は原告の自己決定権を侵害するものとは認められないから、その余の点につき論ずるまでもなく、原告は、被告に対し、これらの権利侵害による不法行為に基づく損害賠償請求権を有しない。原告の本訴請求には理由がない。

[控訴審同旨]

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判例/先行文献に当たる著作物を引用しないことは著作者人格権を侵害するか

 

先行文献に当たる著作物を引用しないことは著作者人格権を侵害するか

昭和571210日東京地方裁判所[昭和57()8975]昭和580630日東京高等裁判所[昭和57()3258]

一 原告の主張の要旨は、原告は半導体工業用の光学的縮小投影露光装置が備えるべき基本原理を研究し、1969930日に日刊工業新聞が主催した講習会において世界で初めて右原理につき講義してその講義録「ICへのホトエツチング技術の応用」を同社刊行のテキストに掲載し、更に雑誌「高分子」第19巻第215号に掲載された「感光性樹脂の電子工業への応用」と題する論述中に右原理の内容を明記している(右講義録及び論述を、以下「本件著作物」という。)ところ、被告会社は、右原理を応用して製品化したGCA社の縮小投影露光装置DSW4800を販売する際にそのTECHNICAL NOTESと称するパンフレットを印刷、頒布しており、被告Bは雑誌「電子材料」19823月号に右装置に関し「10対1縮小投影露光装置『4800DSW』と題する文章を掲載しているが、その際右両被告は、右両文書に、この種装置が必ず備えるべき原理を創作して論述した重要な先行文献たる原告の本件著作物を全く引用せず、したがつて、両被告の右各行為は原告の本件著作物についての著作者人格権を侵害する行為であり、被告Aは、被告会社、被告Bと共謀関係にあるというにある。

そこで検討するに、科学等の著述をなすに際し、その分野の先行文献を引用するか否かは、本来該当著述者の自由にまかされているものであつて、先行文献の引用が適切にされていない場合に、引例の不適切としてその著述の内容ひいてはその著述者の学識に対する低評価等がもたらされることがありうることは格別として、著作権法上は先行文献を著述において引用(使用)していない以上当該先行文献の著作者の著作者人格権の侵害が問題となることはないことが明らかである。

したがつて、本件著作物が引用されていないことをもつて著作者人格権の侵害であるとの立論に基づく原告の本訴請求は、失当といわざるをえない。

 

[控訴審]

著作権法第32条第1項は、「公表された著作物は、引用して利用することができる。」と規定し、同法第48条は、他人の著作物を引用して利用した場合には、その著作物の出所を明示しなければならない旨を規定する。しかして、同法第2条第1項第1号によれば、「著作物」とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」であるから、それが自然科学の分野における論文等であつても自然科学的思想あるいは技術的思想を創作的に表現したものであるかぎり、それは著作物であり、著作権法上の保護を受け得るものであることはいうまでもない。しかし、自然科学的分野あるいは技術的分野における「思想の創作」であつても、その創作が表現される文章、図画等の「形式」に関係のない「思想」そのもの、例えば特許法でいう「発明」そのもの、実用新案法でいう「考案」そのものは、著作権法で保護される著作物に当らない。「発明」又は「考案」は、「自然法則を利用した技術的思想の創作」(特許法第2条第1項、実用新案法第2条第1項)であり、産業上利用することができる発明又は考案をした者は、その発明又は考案が特許要件、実用新案登録要件を備えているかぎり、特許権又は実用新案権として登録され、特許法、実用新案法上の保護を受け得るが、技術的思想の創作である発明、考案も、それが「言語」あるいは、「図画」、「図表」、「図形」、「写真」等の「形式」(著作権法第10条第1号、第6号、第8号参照)で表現されていないかぎり、その発明又は考案に含まれている抽象的な技術思想、自然科学的、技術的原理・原則は、著作権法でいう「著作物」ではなく、したがつてそれは同法上の保護を受け得ないのである。

ところで、控訴人は、半導体工業用の光学的縮少投影露光装置につき、この装置が備えるべき五つの条件を基本原理として発見し、右装置に関する技術的思想の創作をし、これを本件著作物に発表したものであるとするところ、仮に本件著作物に記載された文章、図面、写真等から、本件著作物中にその基本原理ないし五つの条件なるものが記載されていることが読み取れるとしても、その原理ないし条件そのものに著作権が成立するいわれはなく||ニユートンが万有引力の法則を発見しても、万有引力の説そのものには著作権は成立し得ない||したがつて、仮に被控訴会社が輸入したと控訴人が主張するGCA社作成のテクニカル・レポート類あるいは被控訴会社及び被控訴人Aが作成した文書に、控訴人が主張する五つの条件ないし基本原理と同じ思想が記載されているとしても、被控訴人らの右行為は控訴人の「著作物」を「引用して利用」したことにならないから、著作権法第32条第1項の規定に該当するとして、控訴人の著作権、著作者人格権等を侵害することになるかどうかを問題とし得るかぎりではない。しかして、被控訴人らが控訴人の本件著作物の表現したところそのままを文書に作成して控訴人の本件著作物を利用し、又はそのままを表現したGCA社の文書を輸入したものであることは、控訴人の主張しないところであるし、またその事実を認めるに足りる証拠もないから、結局被控訴人らの行為は著作権法第32条に違反し、控訴人の著作者人格権を侵害するものであることを基本とする控訴人の請求は、控訴人主張のその余の点について判断するまでもなく、すべて失当として排斥せざるを得ない。

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2025年8月23日土曜日

判例/法113条11項の法意

 

11311項の法意

▶平成25325日東京地方裁判所[平成24()4766]▶平成250910知的財産高等裁判所[平成25()10039]

[控訴審]

2 名誉声望毀損行為の成否(争点(7))について

著作権法113条6項[注:現11項。以下同じ]は,著作者の名誉声望を害する態様での著作物利用行為に対して,著作者人格権侵害行為とみなすものであるところ,前記のとおり,被告記述部分は,控訴人の著作物と表現上の類似性を欠き,元の著作物の創作的表現は感得できないのであるから,控訴人の著作物を利用したとはいえない。したがって,被告記述部分について著作者人格権の侵害は成り立たず,同条項適用の前提を欠いている。また,著作者の名誉声望とは,著作者がその品性,徳行,名声,信用等の人格的価値について社会から受ける客観的な評価をいい,人が自己の人格的価値について有する主観的な評価は含まれないと解されるところ,被告記述部分に,控訴人の社会的評価を低下させるものが含まれているということはできない。著作権法113条6項の名誉声望毀損行為をいう控訴人の主張は採用できない。

3 著作権に基づかない人格的利益侵害による不法行為の成否(争点(8))について

控訴人は,本件インタビュー部分が控訴人の創作活動の成果物である以上,その内容が第三者により無断で改変されないことにつき人格的利益があり,その侵害としての不法行為が成立する旨主張する。しかしながら,控訴人のそのような利益は,著作権法が規律の対象とする利益と同一であるということができ,保護された利益が共通であるから,著作権侵害ないし著作者人格権侵害が成立しないのに,別途不法行為が成立することはない(最高裁平成23年12月8日第一小法廷判決参照)。控訴人は,人格的利益の内容について,「名誉権,プライバシー権又はこれに類似した人格的利益」とも主張しているところ,名誉権侵害が成立しないことは前記に述べたとおりであり,その他の利益侵害についてはその内容が明らかとされていない。

控訴人は,結局のところ,被控訴人が本件インタビュー部分を正確に引用しなかったことを問題としているものと解されるが,被告記述部分は,本件インタビュー部分における表現を感得できない表現形式で記述したものであり,著作権を侵害する態様の記述とはなっていないのであるから,被告記述部分の作成をもって,不法行為が成立するということはできない。また,控訴人が,被控訴人の行為が,インタビューの内容等について,個人的・社会的・学術的な評価や批判を控訴人に向ける記載態様であり,社会的相当性を欠く旨主張するが,被告記述部分からそのような内容を読み取ることはできないし,控訴人の主張する被控訴人の不当な意図については,いずれも控訴人の陳述のほかに客観的な証拠を欠いており,採用することはできない。

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