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著作権コンサルタントをしています。クリエーターの卵から世界的に著名なアーティストまで、コンテンツビジネスや著作権にかかわる法律問題について、グローバルに支援しています。 カネダ著作権事務所 http://www.kls-law.org/
ラベル 重要判例<著作隣接権> の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2025年10月30日木曜日

判例/ミキシングを行った者は「レコード製作者」か

 

ミキシングを行った者は「レコード製作者」か

▶平成30419日大阪地方裁判所[平成29()781]

著作権法2条1項6号は,レコード製作者を「レコードに固定されている音を最初に固定した者」と定義しているところ,「レコードに…音を…固定」とは,音の媒体たる有体物をもって,音を機械的に再生することができるような状態にすること(同項5号も参照),すなわち,テープ等に音を収録することをいう。

そうすると,レコード製作者たり得るためには,当該テープ等に収録されている「音」を収録していることはもとより,その「音」を「最初」に収録していることが必要である。

ところで,著作権法96条は,「レコード製作者は,そのレコードを複製する権利を専有する。」と定めているところ,ある固定された音を加工する場合であっても,加工された音が元の音を識別し得るものである限り,なお元の音と同一性を有する音として,元の音の「複製」であるにとどまり,加工後の音が,別個の音として,元の音とは別個のレコード製作者の権利の対象となるものではないと解される。

本件では,音楽CDの制作工程からすると,販売される音楽CDに収録されている最終的な音源は,ミキシング等の工程で完成するものの,ミキシング等の工程で用いられる音は,そこで初めて録音されるものではなく,既にレコーディングの工程で録音されているものである。そして,レコーディングの工程により録音された音を素材としてこれを組み合わせ,編集するというミキシング等の工程の性質からすると,ミキシング等の工程後の楽曲において,レコーディングの工程で録音された音が識別できないほどのものに変容するとは考え難く,現に,本件マスターテープ2に収録されている音が,本件マスターテープ1に収録されている音を識別できないものになっているとは認められない。そうすると,本件音源についてのレコード製作者,すなわち本件音源の音を最初に固定した者は,レコーディングの工程で演奏を録音した者というべきであるから,原告がミキシング等を行ったことによりそのレコード製作者の権利を原始取得したとは認められない。

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判例/実演家の同一性保持権侵害を認めなかった事例

 

実演家の同一性保持権侵害を認めなかった事例

平成28216日東京地方裁判所[平成25()33167]▶平成28112日知的財産高等裁判所[平成28()10029]

(1) 争点7(同一性保持権侵害の不法行為の成否)について

原告Aは,被告らが,①MP3,AAC又はWMA等の圧縮フォーマットを利用して本件楽曲の音声を圧縮して配信したこと及び②本件楽曲12曲を曲毎に配信したことが,いずれも本件楽曲についての同一性保持権を侵害する旨主張する。

そこで検討するに,音声の圧縮によって本件楽曲の音質が一定程度変化することについては被告らも認めるところであるが,配信時のデータの圧縮に伴う技術的な制約によるものであって「やむを得ないと認められる改変」(法90条の3第2項)に当たるというべきである上,原告Aが本件契約後の平成22年12月27日に被告Bに送信したEメール中に「圧縮をやって頂きたいと思っておりました。」「引き続き圧縮をお願いできますでしょうか?」などの記載があることからすれば,原告Aも,本件楽曲の圧縮を了承していたことが推認される。こうした事情に照らせば,上記①の行為について,原告Aの同一性保持権を侵害するものということはできない。なお,本件楽曲はいずれも独立の楽曲であり,原告Aが本件CDにおける本件楽曲の配列を工夫したとしても,この点は実演家の同一性保持権の保護範囲に含まれるものではないから,上記②についても原告Aの同一性保持権を侵害するものとは認められない。

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2025年9月9日火曜日

判例/なぜ「レコード製作者」を保護するのか/レコード製作者の意義

 

なぜ「レコード製作者」を保護するのか

▶平成141017日東京高等裁判所[平成11()3239]

「レコード製作者」の定義として「(音を)最初に固定した者」として定められているのは、単に商品としてのレコードの複製における技術的熟練に比べて、音の最初の固定行為の方が明白に芸術的想像力を要するという考え方に立って、最初の固定行為に価値を認めたためである。


レコード製作者の意義

▶平成190119日東京地方裁判所[平成18()1769]

ア レコード製作者の意義

著作権法上,レコード製作者とは,「レコードに固定されている音を最初に固定した者をいう。」(著作権法2条1項6号)と定義されているから,レコード(同法2条1項5号)に入っている音を初めて蓄音機用音盤,録音テープその他の物に固定した者,すなわち,レコードの原盤の制作者を指すものと解される。そして,レコード製作者であるためには,いかなる方式の履行をも要しないものであるが(同法89条5項),物理的な録音行為の従事者ではなく,自己の計算と責任において録音する者,通常は,原盤制作時における費用の負担者がこれに該当するというべきである。また,レコード製作者が誰かについては,原盤制作と同時に原始的に決定されるべきものであり,原盤制作後の後発的な費用負担の変更等によって,レコード製作者たる地位そのものが変わることはないものと解される。

イ 本件におけるレコード製作者

これを本件についてみるに,本件各契約において,前記認定のとおり,第1契約,第2契約及び第3契約では,A音源に係る原盤の制作前に,原告とSMEが制作費の各2分の1を負担し,第4覚書では,B音源に係る原盤の制作前に,原告が制作費の全額を負担することが明示的に決まっていたものである。そして,A音源に係る原盤は,原告とSMEが共同で2分の1ずつ各自の計算と責任において制作し,B音源に係る原盤は,原告が自己の計算と責任において制作したものである。

したがって,これらの音源に係る原盤の制作時において,原始的に,A音源については,原告とSMEが各2分の1の割合をもって共同してレコード製作者の地位を取得し,B音源については,原告がその全部につき単独でレコード製作者の地位を取得したものと認められる。なお,本件において,A音源及びB音源に関するレコードが著作権法8条(保護を受けるレコード)の要件を充たしていることは明らかである。

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判例/実演家に対するワン・チャンス主義(法92条2項1号の意義)

 

実演家に対するワン・チャンス主義(9221号の意義)

▶平成160521日東京地方裁判所[平成13()8592]

著作権法9221号において有線放送による放送の同時再送信の場合に実演家の著作隣接権が及ばないこととされているのは,同号の規定が実演家が放送を許諾しているかどうかを区別せずに一律に有線放送による同時再送信について権利が及ばないとしていることに照らせば,実演の無形的利用については当初の利用契約によって処理すべきものとするいわゆるワン・チャンス主義の観点から,放送の段階についてのみ権利行使を許容する趣旨であると解される。したがって,実演家は,放送事業者から十分な対価を得ていたかどうかにかかわりなく,有線放送事業者の行う同時再送信について著作隣接権に基づき二次使用料を請求することはできないものと解され(る。)

 

▶平成170830日知的財産高等裁判所[平成17()10009]

著作権法922項は,「放送される実演を有線放送する場合」に実演家の有線放送権は及ばない旨規定するが,同規定の趣旨は,実演家ないし実演家の団体である原告芸団協が,契約に基づき,放送の同時再送信についてその利用の対価として「補償金」を受けることを禁止する趣旨であると解することはできないから,本件各契約が著作権法に違反するものということはできない。

 

▶平成17830日知的財産高等裁判所[平成17()10009]

原判決は,著作隣接権を有しない原告芸団協と締結した本件各契約は錯誤により無効としたが,失当であり,上記のように改める。

(6) 被告らは,仮に,本件各契約が無効でないとしても,原告らの請求は,著作権法に違反するものであって認められないとも主張する。しかし,著作権法92条2項は,「放送される実演を有線放送する場合」に実演家の有線放送権は及ばない旨規定するが,同規定の趣旨は,実演家ないし実演家の団体である原告芸団協が,契約に基づき,放送の同時再送信についてその利用の対価として「補償金」を受けることを禁止する趣旨であると解することはできないから,本件各契約が著作権法に違反するものということはできない。本件各契約は,実演家・放送事業者・有線放送事業者三者間の権利関係処理の簡便化を図るという意味で一定の合理性を有するものであり,契約自由の原則からして容認できると解される。

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2025年7月17日木曜日

判例/ファッションショーは、「実演」か

 

ファッションショーは、「実演」か

▶平成250719日東京地方裁判所[平成24()16694]

原告らの主張する「実演」の内容は明確ではないが,モデルの動作,ポーズ等が実演に当たると主張するものであるとすれば,上記動作等が著作物に当たらないことは前記のとおりであるから,モデルが上記動作やポーズを取ることは,「著作物を…演ずる」ことに当たらず,「実演」には当たらない。

また,原告らが,本件ファッションショーを「実演」として主張するものであるとしても,原告らは,本件ファッションショーが「シティとリゾートのパーティースタイル(都会的な女性のドレスアップコーディネートとリゾートラグジュアリーパーティースタイル)」をコンセプトとするものであること,安価なブランドを用いて高級感を演出したものであること等を主張するのみで,本件ファッションショーが「実演」に当たる理由につき,前記「原告らの主張」の①ないし⑦の点が著作物に当たること以外に具体的主張をするものではない。そして,本件ファッションショーのうち,上記①ないし⑦の点に,背景写真を除いていずれも著作物性が認められないことは前記でみたとおりである。また,背景写真に著作物性が認められるとしても,その展示が「著作物を…演ずる」ことに当たるものではない。したがって,これらの点により,本件ファッションショーが「著作物を…演ずる」ものに当たるものとは認められない。

本件ファッションショーの,本件映像部分に表れている部分以外の具体的内容については明らかではなく,本件各証拠及び弁論の全趣旨を総合しても,本件ファッションショーが「これらに類する行為で,著作物を演じないが芸能的な性質を有するもの」に当たるものとは認められない。

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2025年7月14日月曜日

判例/著作隣接権と著作権の関係

 

著作隣接権と著作権の関係

▶平成210325日知的財産高等裁判所[平成20()10084]

演奏したことにより有する演奏家の著作隣接権と著作したことにより有する著作権とは,それぞれ別個独立の権利であるから,演奏家の著作隣接権が,当該レコードに係る楽曲について有する著作権によって,制約を受けることはない。実演家は,当該楽曲の著作権者等から演奏の依頼を受けて演奏をした場合であっても,著作隣接権に基づいて,当該楽曲の著作権者に対して,当該演奏が固定されたレコードの製造,販売等の差止めを求めることができることは明らかであ(る。)

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判例/著作隣接権制度の趣旨

 

著作隣接権制度の趣旨

▶平成141017日東京高等裁判所[平成11()3239]

現行法は、実演家及びレコード製作者の権利について、「著作隣接権」として(法896項)、作詞家、作曲家等の著作者が享有する著作権(法171項)と区別して保護することを明らかにしている。

この現行法の立場は、実演、レコードというものについては著作物の創作活動に準じたある種の創作的な活動が行われるものであるところから、そういった著作物の創作活動に準じた創作活動を行った者に著作権に準じた保護を与えることが、その準創作活動を奨励するものであり、そのような著作物に準ずる準創作物の知的価値を正当に評価する、というものであり、また、この著作隣接権の趣旨は、著作権制度を前提として、著作物を公衆に提供する媒体としての実演・録音に知的価値を認め、著作物の解釈者としての実演家と著作物の解釈の伝達者としてのレコード製作者との関係を合理的に調整して、権利関係を定めることにある。

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