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著作権コンサルタントをしています。クリエーターの卵から世界的に著名なアーティストまで、コンテンツビジネスや著作権にかかわる法律問題について、グローバルに支援しています。 カネダ著作権事務所 http://www.kls-law.org/
ラベル 重要判例<写真著作物> の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
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2025年11月26日水曜日

判例/商品紹介(広告)写真の著作物性

 

商品紹介(広告)写真の著作物性

▶平成180329日知的財産高等裁判所[平成17()10094]

本件各写真は,本件ホームページで商品を広告販売するために撮影されたものであり,その内容は,次のとおりである。

本件写真1は,固形据え置きタイプの商品を,大小サイズ1個ずつ横に並べ,ラベルが若干内向きとなるように配置して,正面斜め上から撮影したものである。光線は右斜め上から照射され,左下方向に短い影が形成されている。背景は,薄いブルーとなっている。

本件写真2は,霧吹きタイプの商品を,水平に寝かせた状態で横に2個並べ,画面の上下方向に対して若干斜めになるように配置して,真上から撮影したものである。光線は右側から照射され,左側に影が形成されている。背景は,オフホワイトとなっている。

以上から,本件各写真には,被写体の組合せ・配置,構図・カメラアングル,光線・陰影,背景等にそれなりの独自性が表れているということができる。

(略)

確かに,本件各写真は,ホームページで商品を紹介するための手段として撮影されたものであり,同じタイプの商品を撮影した他の写真と比べて,殊更に商品の高級感を醸し出す等の特異な印象を与えるものではなく,むしろ商品を紹介する写真として平凡な印象を与えるものであるとの見方もあり得る。しかし,本件各写真については,被写体の組合せ・配置,構図・カメラアングル,光線・陰影,背景等にそれなりの独自性が表れているのであるから,創作性の存在を肯定することができ,著作物性はあるものというべきである。他方,その創作性の程度は極めて低いものであって,著作物性を肯定し得る限界事例に近いものといわざるを得ない。

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2025年10月29日水曜日

判例/コスプレ写真

 

コスプレ写真

平成301026日東京地方裁判所[平成30()21931]

1 争点(1)(本件各写真の著作物性)について

 証拠によれば,本件各写真は,いずれも有名な女性コスプレイヤーを被写体とするものであるが,本件写真1は,日中の屋外において身体を横向きにして視線をカメラに向けた被写体のバストアップの写真であり,被写体の後方をぼやけさせ,フラッシュを発光させるなどして撮影されたものであること,本件写真2は,屋内において身体を正面に向け視線をカメラに向けた被写体の上半身の写真であり,被写体の後方をぼやけさせ,フラッシュを発光させるなどして撮影されたものであることが認められる。このように,本件各写真は,絞りや陰影,構図やアングルなどを工夫して撮影されたものであるから,写真の著作物であると認められる。

被告は,本件各写真の独自性の大部分は被写体の姿にこそ認められるなどと主張して,本件各写真の著作物性を否定するが,本件各写真の撮影において上記のような創作性が認められるのであるから,採用することができない。

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判例/SM写真

 

SM写真

平成30927日東京地方裁判所[ 平成29()41277]

本件写真は,民家風の建物の畳敷きの室内において,鞭を持って座っている男性の正面に,女性が縄で緊縛された状態で柱に吊るされている状況が撮影されたものであるところ,被写体の選択・組合せ・配置,構図・カメラアングルの設定,被写体と光線との関係,陰影の付け方,部分の強調,背景等の総合的な表現に撮影者等の個性が表れており,創作性が認められ,著作物に当たる。

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判例/絵画制作のための撮影会で撮られた舞妓の写真

 

絵画制作のための撮影会で撮られた舞妓の写真

 平成28719日大阪地方裁判所[平成26()10559]

(1) 本件写真が原告撮影に係る写真であることは当事者間に争いがないが,被告は,本件写真の著作物性を否認するとともに,著作物性が認められたとしても,原告が著作権者ではないとして争っている。

ところで写真が著作物として認められ得るのは,被写体の選択,シャッターチャンス,シャッタースピードの設定,アングル,ライティング,構図・トリミング,レンズの選択等により,写真の中に撮影者の思想又は感情が表現されているからであり,したがって写真は,原則として,その撮影者が著作者であり,著作権者となるというべきことになる。

(2) これにより本件について見ると,本件写真①は,舞のポーズをとった舞妓を,やや斜め左前の位置で,舞妓をごく僅かに見上げる高さから撮影したものであるが,舞を踊るポーズを取る舞妓の表情及び全身を捉える撮影位置,撮影アングル,構図を選択したのは撮影者の原告であり,本件写真①は,このことにより撮影者である原告の思想又は感情が創作的に表現されているといえるから,これによりその著作物性が肯定され得る。

本件写真②は,黒髪の舞を踊る最中の舞妓を,ほぼ正面の位置で,舞妓とほぼ同じ目の高さから連写の方法で撮影したものであるが,舞の最中の舞妓が視線を落とした一瞬を切り取り,舞妓を正面からほぼ同じ目の高さで撮影するという,撮影位置,撮影タイミング及び撮影アングルを選択したのは撮影者の原告であり,本件写真②は,このことにより,撮影者である原告の思想又は感情が創作的に表現されているといえるから,これによりその著作物性が肯定され得る。

本件写真③は,舞を踊る最中,座った姿勢となった舞妓を,舞妓の左正面約45度の方向から,座った姿勢の舞妓とほぼ同じ目の高さで撮影したものであるが,舞を踊る舞妓が座った一瞬を切り取り,これを斜めの位置からほぼ同じ目の高さから撮影するという,撮影のタイミング及び撮影位置,撮影アングルを選択したのは撮影者の原告であり,本件写真③は,このことにより撮影者である原告の思想又は感情が創作的に表現されているといえるから,これによりその著作物性が肯定され得る。

したがって,本件写真は,いずれも著作物足り得るものであり,撮影者,すなわち著作者である原告が,著作権者であると認められる。

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判例/ドローンで撮影した写真は著作物か

 

ドローンで撮影した写真は著作物か

▶令和4531日東京地方裁判所[令和3()9618]

(1) 証拠(等)によれば、原告写真は、原告が、天候の良好な日の日中に、シンガポール共和国に所在するマリーナ・ベイ・サンズホテルを被写体として、ドローンを使用して、同ホテルの屋上を空から斜めに見下ろす角度で、同ホテルの屋上全体と周囲の景観等との調和を図りつつ撮影したものと認められる。そうすると、原告写真は、撮影の時間帯、撮影時の天候、構図等の選択において、原告の個性が表現されたものというべきである。

したがって、原告写真は、原告の思想又は感情を創作的に表現した著作物に当たる。

(2) これに対し、被告は、マリーナ・ベイ・サンズホテルの屋上プールをドローンで空から撮影すれば、どれも原告写真と類似したものにならざるを得ないなどと主張して、原告写真の著作物性を争っている。

しかし、写真の表現方法としては、撮影対象や撮影方法以外にも、構図等の選択において様々な工夫の余地が残されているところ、上記のとおり、原告写真には、それらの選択において原告の個性が表現されているというべきである。被告の上記主張は採用できない。

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判例/スカイダイビング中に遠隔操作して撮影した写真の著作物性を認めた事例

 

スカイダイビング中に遠隔操作して撮影した写真の著作物性を認めた事例

平成150226日東京高等裁判所[平成14()3296]

本件各写真は,被控訴人が,本件スカイダイビングに参加していた当時,自らもスカイダイビングの体勢をとり,頭部ヘルメット上に固定したカメラを手元で遠隔操作して,同じくスカイダイビング中の他の参加者等を空中で撮影した写真であって,その際,被控訴人は,事前に,地上の光量と上空の光量との違い,撮影すべき写真の構図及びシャッターチャンス,順光・逆光の選択等その撮影効果を検討,想定し,カメラの露出をセットするなどの準備をした上,スカイダイビング中において,自己及び撮影依頼者の安全に注意し,あらかじめ検討,想定した被写体との距離及び位置関係を保てるよう自己の位置を調整し,最も効果的な構図でシャッターを切る工夫をして撮影したものである。そうすると,本件各写真は,被控訴人において,上記諸要素を考慮して撮影効果を工夫し,自ら構図を決定し,シャッターチャンスをとらえて撮影した写真であるから,被控訴人の思想又は感情を一定の映像によって創作的に表現したものとして著作物性を有するというべきである。

控訴人らは,本件各写真が写真の著作物と認められるだけの創作性に欠けると主張し,その根拠として,スカイダイビング中の参加者の姿を単に撮影した記念写真にすぎないこと,撮影の過程には何ら独創的な工夫がされておらず,カメラという機械のメカニズムを利用して被写体を忠実に再製しただけのものであることを指摘するが,前者の点は,それ自体として著作物性を否定する根拠となるものではないし,また,本件各写真が,単なる機械的なメカニズムによる被写体の忠実な再製にとどまらず,独自の創作性を有し,その著作物性を優に肯定し得ることは上記のとおりであるから,控訴人らの主張は採用の限りではない。

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2025年10月10日金曜日

判例/キャッチコピー(「会議が変わる。会社が変わる。」)の著作物性を否定した事例

 

キャッチコピー(「会議が変わる。会社が変わる。」)の著作物性を否定した事例

▶令和3326日東京地方裁判所[平成31()4521]▶令和31027日知的財産高等裁判所[令和3()10048]

2 争点2(原告キャッチコピーに関する著作権侵害の有無)について

(1) 争点2-1(原告キャッチコピーの著作物性)について

ア 原告キャッチコピーの著作物性のうち,特に表現上の創作性に係る判断に関しては,前記1(1)アで説示したのと同様の判断枠組みによるのが相当であるから,以下,これに基づき,原告キャッチコピーの創作性について検討する。

() 前記前提事実のとおり,原告キャッチコピーは,すごい会議の宣伝広告文言であるから,顧客の印象に残り,記憶されやすいよう,短く端的な表現が求められ,かつ,宣伝の効果がある用語を選択することが求められる。しかるところ,上記のように非常に限られた分量の表現の中で,キャッチコピーという広告媒体を用いて,上記のような用語を用いるなどして効果的にすごい会議の宣伝をしようとすれば,表現内容の点からしても選択の幅にはおのずから限りがある。

実際に,原告キャッチコピー(「会議が変わる。会社が変わる。」)は,句点を除き,わずか6文字からなる二つの文のみを組み合わせて表現されており,その長さ自体からして,他の表現を選択する余地は小さく,また,「会議」,「会社」及び「変わる」という,すごい会議を端的に宣伝する用語のみが用いられていることからも,表現の選択の幅が狭いものというべきである。

以上のように,原告キャッチコピーは,その分量の面と表現内容の面の両面から見て,表現の選択の幅が極めて小さいため,作成者の個性が表れる余地がごく限られているものというべきである。

なお,原告キャッチコピーは,第1文の「議」と第2文の「社」の部分を除き,同じ表現の文章を2回繰り返すという構成をとるものであり,全体としてリズミカルな語感を与えるものではあるが,このような構成を採用すること自体は,アイデアにすぎないというべきであり,直ちに表現の創作性を基礎づけるものではない。

() 証拠及び弁論の全趣旨によれば,平成15年6月に「会議が変われば,会社が変わる!」という文言を含む題名の書籍が刊行されたことが認められるところ,前記前提事実のとおり,すごい会議社の設立年月日が同年12月9日であること,(前提事実)のとおり,原告キャッチコピーの作成者がすごい会議社であることに照らすと,原告キャッチコピーが作成された時点において,原告キャッチコピーと同様の表現が既に用いられていたといえる。また,その他にも,「会議が変われば,仕事が変わる」と題する記事,「習慣を変えれば会議が変わる。会議が変われば会社が変わる?」と題する記事,「会議が変われば会社が変わる!~会議の質向上の秘訣」と題する記事がインターネット上に掲載されており,これらは,すごい会議社の設立前に存在したとは認められないものの,原告キャッチコピーと同様の表現が用いられていることを示す事情といえる。

なお,原告会社は,上記の書籍及び記事について,原告キャッチコピーの翻案権を侵害するものであると主張するものの,それらが原告キャッチコピーに依拠したものであることを認めるに足りる証拠はないから,その主張を採用することはできない。

そうすると,原告キャッチコピーはありふれた表現であるというべきである。

() 以上を総合すれば,原告キャッチコピーは,その表現の選択の幅が極めて狭いため,作成者であるすごい会議社の個性が表れているとは認め難く,仮に,それが認められるとしても,ありふれた表現であることから,創作性を認めることはできない。

ウ したがって,原告キャッチコピーは,「思想又は感情を創作的に表現」したものとはいえないから,「著作物」であるとは認められない。

(2) 小括

以上の次第で,その余の点について検討するまでもなく,原告キャッチコピーに係る著作権侵害に基づく原告会社の請求は理由がない。

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2025年7月15日火曜日

判例/平面的な作品を撮影した写真に創作性は認められるか

 

平面的な作品を撮影した写真に創作性は認められるか

▶平成101130日東京地方裁判所[昭和63()1372]

本件写真(一)及び(二)の著作物性について

(一)証拠と弁論の全趣旨によると、本件写真(一)及び(二)は、原作品がどのようなものかを紹介するために版画をできるだけ忠実に再現することを目的として撮影された版画全体の写真であること、これらの対象となった版画は、おおむね平面的な作品であるが、番号…については凹凸の部分があること、版画をできるだけ忠実に再現した写真を撮影するためには、光線の照射方法の選択と調節、フィルムやカメラの選択、露光の決定等において、技術的な配慮をすることが必要であること、以上の事実が認められる。

(二)ところで、本件写真(一)及び(二)のように原作品がどのようなものかを紹介するための写真において、撮影対象が平面的な作品である場合には、正面から撮影する以外に撮影位置を選択する余地がない上、右認定のような技術的な配慮も、原画をできるだけ忠実に再現するためにされるものであって、独自に何かを付け加えるというものではないから、そのような写真は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」(著作権法211号)ということはできない。

なお、原告らは、平面的な作品を撮影する場合であっても、原画の芸術的特性を理解して、それを表現することが不可欠である旨主張し、本件写真(一)及び(二)の個々の作品について、原画の芸術的特性やそれを表現するために工夫した点について主張しており、また、証人E及び原告Aは、平面的な作品を撮影する場合であっても原画の芸術的特性を理解して、それを表現することが必要である旨供述し、(証拠)にも同趣旨の記載があるが、そのようなことがあったとしても、それは、原画をできるだけ忠実に再現するためのものであると認められるから、これらの主張や証拠も右認定を覆すに足りるものではない。

(三)また、右認定のとおり、本件写真(一)及び(二)の撮影対象には、完全に平面ではなく、凸凹があるものがあるが、証拠と弁論の全趣旨によると、それらの凸凹はわずかなものであり、それがあることによって撮影位置を選択することができるとも認められないから、これらの完全に平面ではない作品を撮影した写真についても著作物性を認めることはできない。

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2025年7月12日土曜日

判例/写真著作物の侵害性の判断基準(スイカの写真が問題となった事例)

 

写真著作物の侵害性の判断基準(スイカの写真が問題となった事例)

▶平成111215日東京地方裁判所[平成11()8996]▶平成130621日東京高等裁判所[平成12()750]

翻案権の侵害について

被告写真が原告写真を翻案したものであるか否かについて判断する。

一般に、特定の作品が先行著作物を翻案したものであるというためには、先行著作物に依拠して制作されたものであり、かつ、先行著作物の表現形式上の本質的特徴部分を当該作品から直接感得できる程度に類似しているものであることが必要である。

ところで、写真技術を応用して制作した作品については、被写体の選択、組合せ及び配置等が共通するときには、写真の性質上、同一ないし類似する印象を与える作品が生ずることになる。しかし、写真に創作性が付与されるゆえんは、被写体の独自性によってではなく、撮影や現像等における独自の工夫によって創作的な表現が生じ得ることによるものであるから、いずれもが写真の著作物である二つの作品が、類似するかどうかを検討するに当たっては、特段の事情のない限り、被写体の選択、組合せ及び配置が共通するか否かではなく、撮影時刻、露光、陰影の付け方、レンズの選択、シャッター速度の設定、現像の手法等において工夫を凝らしたことによる創造的な表現部分、すなわち本質的特徴部分が共通するか否かを考慮して、判断する必要があるというべきである。

そこで、右の観点から、原告写真の本質的特徴部分はどの点にあるか、さらに被告写真から、その本質的特徴部分を直接感得できるか否かについて検討する。

 

[控訴審]

写真著作物において,例えば,景色,人物等,現在する物が被写体となっている場合の多くにおけるように,被写体自体に格別の独自性が認められないときは,創作的表現は,撮影や現像等における独自の工夫によってしか生じ得ないことになるから,写真著作物が類似するかどうかを検討するに当たっては,被写体に関する要素が共通するか否かはほとんどあるいは全く問題にならず,事実上,撮影時刻,露光,陰影の付け方,レンズの選択,シャッター速度の設定,現像の手法等において工夫を凝らしたことによる創造的な表現部分が共通するか否かのみを考慮して判断することになろう。

しかしながら,被写体の決定自体について,すなわち,撮影の対象物の選択,組合せ,配置等において創作的な表現がなされ,それに著作権法上の保護に値する独自性が与えられることは,十分あり得ることであり,その場合には,被写体の決定自体における,創作的な表現部分に共通するところがあるか否かをも考慮しなければならないことは,当然である。写真著作物における創作性は,最終的に当該写真として示されているものが何を有するかによって判断されるべきものであり,これを決めるのは,被写体とこれを撮影するに当たっての撮影時刻,露光,陰影の付け方,レンズの選択,シャッター速度の設定,現像の手法等における工夫の双方であり,その一方ではないことは,論ずるまでもないことだからである。

本件写真は,そこに表現されたものから明らかなとおり,屋内に撮影場所を選び,西瓜,籠,氷,青いグラデーション用紙等を組み合わせることにより,人為的に作り出された被写体であるから,被写体の決定自体に独自性を認める余地が十分認められるものである。したがって,撮影時刻,露光,陰影の付け方,レンズの選択,シャッター速度の設定,現像の手法等において工夫を凝らしたことによる創造的な表現部分についてのみならず,被写体の決定における創造的な表現部分についても,本件写真にそのような部分が存在するか,存在するとして,そのような部分において本件写真と被控訴人写真が共通しているか否かをも検討しなければならないことになるものというべきである。

この点について,被控訴人会社は,写真については,事実上,同一のものでない限り著作者人格権あるいは著作権の侵害とはならないというべきであると主張し,写真業界においては,これが定説であるという。しかし,被控訴人会社の主張は,写真の著作物については,著作権法の規定を無視せよというに等しいものであり,採用できない。仮に,被控訴人会社主張のような見解が写真業界において定説となっているとしても,そのことは,誤った見解が何らかの理由によってある範囲内において定説となった場合の一例を提供するにすぎず,著作権法の正当な解釈を何ら左右するものではない。

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2025年7月8日火曜日

判例/写真の著作物性

 

写真の著作物性

▶平成180329日知的財産高等裁判所[平成17()10094]

写真は,被写体の選択・組合せ・配置,構図・カメラアングルの設定,シャッターチャンスの捕捉,被写体と光線との関係(順光,逆光,斜光等),陰影の付け方,色彩の配合,部分の強調・省略,背景等の諸要素を総合してなる一つの表現である。

このような表現は,レンズの選択,露光の調節,シャッタースピードや被写界深度の設定,照明等の撮影技法を駆使した成果として得られることもあれば,オートフォーカスカメラやデジタルカメラの機械的作用を利用した結果として得られることもある。また,構図やシャッターチャンスのように人為的操作により決定されることの多い要素についても,偶然にシャッターチャンスを捉えた場合のように,撮影者の意図を離れて偶然の結果に左右されることもある。

そして,ある写真が,どのような撮影技法を用いて得られたものであるのかを,その写真自体から知ることは困難であることが多く,写真から知り得るのは,結果として得られた表現の内容である。撮影に当たってどのような技法が用いられたのかにかかわらず,静物や風景を撮影した写真でも,その構図,光線,背景等には何らかの独自性が表れることが多く,結果として得られた写真の表現自体に独自性が表れ,創作性の存在を肯定し得る場合があるというべきである。

もっとも,創作性の存在が肯定される場合でも,その写真における表現の独自性がどの程度のものであるかによって,創作性の程度に高度なものから微少なものまで大きな差異があることはいうまでもないから,著作物の保護の範囲,仕方等は,そうした差異に大きく依存するものというべきである。したがって,創作性が微少な場合には,当該写真をそのままコピーして利用したような場合にほぼ限定して複製権侵害を肯定するにとどめるべきものである。

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2025年6月23日月曜日

判例/素人が撮った写真は著作物と認められるか(素人は撮影した石垣の写真が問題となった事例)

 

素人が撮った写真は著作物と認められるか(素人は撮影した石垣の写真が問題となった事例)


▶平成7221日青森地方裁判所[平成4()344]▶平成9130日仙台高等裁判所[平成7()207]

本件写真の著作物性

以上のとおり、本件写真は原告が撮影したものであるが、以下、本件写真の著作物性について判断する。

著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」をいい(著作権法二条一項一号)、著作権法は写真についてもその著作物性を肯定している(同法1018号)から、右の著作物の要件を具備した写真については著作物性が認められることとなる。

ところで、一般に写真撮影は機械的作用に依存する部分が多く、精神的操作の余地が少ないものと認められ、この点において他の著作物と趣を異にすることは否定できない。しかしながら、写真の撮影についても、主題の決定、被写体・構図・カメラアングル・光量・シャッターチャンス等の選択について創作性が現れる余地があり、このような創作性が認められる限り、写真の著作物性が肯定されるものと解するのが相当である。

そして、前記認定の各事実に証拠を総合すると、原告は熊野地方に存在する本件石垣に興味を抱き、何度も現場に足を運んで根気強く本件石垣の調査を行っていたこと、右調査に際しては、道のない山を歩き、草や灌木をかき分け、時には本件石垣の続きを見失うなどかなりの苦労が伴ったこと、原告は本件石垣の状態を保存する意図のもとに本件各写真を撮影していること、写真撮影に際しては、本件石垣の状態が分かりやすく写るように配慮していること、以上の各事実が認められる。

右事実から判断すると、本件写真は、いずれも写真撮影については全くの素人である原告が撮影したものではあるが、主題の決定や被写体・構図等の選択について撮影者である原告の前記学問的観点からの個性が現れており、創作性も認められるものであるから、著作権法上の著作物であり、原告がその著作権を有するものと認めるのが相当である。

[控訴審]

右事実によれば、本件写真①ないし⑥は、控訴人が、我国古代史の研究ないし解明に役立つと考えて、被写体を選定し、その撮影方法についても工夫を凝らして、古代史学に関する資料を他にさきがけて明確にしておく目的で撮影したものであり、控訴人の著作物として保護されるべきものであることは疑いを容れないところであって、控訴人がいわゆる学者や職業的写真家ではなく、写真に関しては素人であることは右判断の妨げとなるものではない。

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2025年6月17日火曜日

判例/ホームページで商品を紹介するために撮影された写真の著作物性及び侵害性

 

ホームページで商品を紹介するために撮影された写真の著作物性及び侵害性

▶平成180329日知的財産高等裁判所[平成17()10094]

(1) 本件各写真の著作物性及び著作権侵害の有無について

ア 写真は,被写体の選択・組合せ・配置,構図・カメラアングルの設定,シャッターチャンスの捕捉,被写体と光線との関係(順光,逆光,斜光等),陰影の付け方,色彩の配合,部分の強調・省略,背景等の諸要素を総合してなる一つの表現である。

このような表現は,レンズの選択,露光の調節,シャッタースピードや被写界深度の設定,照明等の撮影技法を駆使した成果として得られることもあれば,オートフォーカスカメラやデジタルカメラの機械的作用を利用した結果として得られることもある。また,構図やシャッターチャンスのように人為的操作により決定されることの多い要素についても,偶然にシャッターチャンスを捉えた場合のように,撮影者の意図を離れて偶然の結果に左右されることもある。

そして,ある写真が,どのような撮影技法を用いて得られたものであるのかを,その写真自体から知ることは困難であることが多く,写真から知り得るのは,結果として得られた表現の内容である。撮影に当たってどのような技法が用いられたのかにかかわらず,静物や風景を撮影した写真でも,その構図,光線,背景等には何らかの独自性が表れることが多く,結果として得られた写真の表現自体に独自性が表れ,創作性の存在を肯定し得る場合があるというべきである。

もっとも,創作性の存在が肯定される場合でも,その写真における表現の独自性がどの程度のものであるかによって,創作性の程度に高度なものから微少なものまで大きな差異があることはいうまでもないから,著作物の保護の範囲,仕方等は,そうした差異に大きく依存するものというべきである。したがって,創作性が微少な場合には,当該写真をそのままコピーして利用したような場合にほぼ限定して複製権侵害を肯定するにとどめるべきものである。

イ 以上のような観点から,本件各写真の著作物性について検討する。

() 本件各写真は,本件ホームページで商品を広告販売するために撮影されたものであり,その内容は,次のとおりである。

本件写真1は,固形据え置きタイプの商品を,大小サイズ1個ずつ横に並べ,ラベルが若干内向きとなるように配置して,正面斜め上から撮影したものである。光線は右斜め上から照射され,左下方向に短い影が形成されている。背景は,薄いブルーとなっている。

本件写真2は,霧吹きタイプの商品を,水平に寝かせた状態で横に2個並べ,画面の上下方向に対して若干斜めになるように配置して,真上から撮影したものである。光線は右側から照射され,左側に影が形成されている。背景は,オフホワイトとなっている。

以上から,本件各写真には,被写体の組合せ・配置,構図・カメラアングル,光線・陰影,背景等にそれなりの独自性が表れているということができる。

()

() 確かに,本件各写真は,ホームページで商品を紹介するための手段として撮影されたものであり,同じタイプの商品を撮影した他の写真と比べて,殊更に商品の高級感を醸し出す等の特異な印象を与えるものではなく,むしろ商品を紹介する写真として平凡な印象を与えるものであるとの見方もあり得る。しかし,本件各写真については,前記認定のとおり,被写体の組合せ・配置,構図・カメラアングル,光線・陰影,背景等にそれなりの独自性が表れているのであるから,創作性の存在を肯定することができ,著作物性はあるものというべきである。他方,上記判示から明らかなように,その創作性の程度は極めて低いものであって,著作物性を肯定し得る限界事例に近いものといわざるを得ない。

ウ そこで,本件各写真の複製権の侵害の有無について考えるに,本件各写真の創作性は極めて低いものではあるが,被控訴人らによる侵害行為の態様は,本件各写真をそのままコピーして被控訴人ホームページに掲載したというものであるから,本件各写真について複製権の侵害があったものということができる。

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