このブログを検索

自己紹介

著作権コンサルタントをしています。クリエーターの卵から世界的に著名なアーティストまで、コンテンツビジネスや著作権にかかわる法律問題について、グローバルに支援しています。 カネダ著作権事務所 http://www.kls-law.org/
ラベル Q&A{法目的/制度全般} の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル Q&A{法目的/制度全般} の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025年10月6日月曜日

Q&A/「コンテンツビジネス」という言葉を耳にしますが、「コンテンツ」とは何ですか?

 

{Q} 「コンテンツビジネス」という言葉を耳にしますが、「コンテンツ」とは何ですか?

A 「コンテンツ」とは、一般的には、「中身」「内容」という意味です。

「コンテンツ」とは英語で”content(s)”と表記し、一般的には、「中身」「内容」という意味で使われます。

著作権ビジネスの分野で「コンテンツ」というと、概ね、文書や演説、映画、テレビ番組、音楽、ウェブサイトなどの「中身(内容・素材・情報)」の意味で使われます(より広義に、「ファッション」や「食(文化)」、「地域ブランド」等を含む概念としても使われる場合もあります)

ところで、平成16年に制定された法律に「コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律」というものがあります。この法律は、その「目的」として、第1条に「この法律は、知的財産基本法の基本理念にのっとり、コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体及びコンテンツ制作等を行う者の責務等を明らかにするとともに、コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する施策の基本となる事項並びにコンテンツ事業の振興に必要な事項を定めること等により、コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する施策を総合的かつ効果的に推進し、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」と規定しています。要するに、“魅力あるコンテンツを生み出して、みんなでコンテンツビジネスを盛り上げよう!”ということです。

実は、この法律の中で、「コンテンツ」について定義規定(21項参照)**が置かれていますので、実務的には、「コンテンツビジネス」などという場合の「コンテンツ」はこれと同じ意味だと考えて差し支えありません。

 

**コンテンツの創造、保護及び活用の促進に関する法律21

「この法律において「コンテンツ」とは、映画、音楽、演劇、文芸、写真、漫画、アニメーション、コンピュータゲームその他の文字、図形、色彩、音声、動作若しくは映像若しくはこれらを組み合わせたもの又はこれらに係る情報を電子計算機を介して提供するためのプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わせたものをいう。)であって、人間の創造的活動により生み出されるもののうち、教養又は娯楽の範囲に属するものをいう。」

 

ここで重要なのは、「コンテンツ」はそのほとんどが「著作物」(著作権法211号、同法101項参照)に該当するという点です。したがって、「コンテンツビジネス」とは、要するに「著作権ビジネス」とほぼ同義であるといって差し支えありません。

「コンテンツ」を考える上で最も重要な法律が著作権法である、ということを覚えておいてください。

For more information

2025年9月9日火曜日

Q&A/「作風」「画風」というのは著作物に当たりますか?[補足版]

 

{Q}「作風」「画風」というのは著作物に当たりますか?[補足版]

A いいえ、著作物に当たりません。

「著作物」というのは、思想又は感情を具体的に表現したものでなければなりません(211)。「作風」や「画風」というのは、それ自体では抽象的な「アイディア」にとどまり、具体的な表現ではありません。したがって、「著作物」に当たらず、誰かの「作風」や「画風」を真似て作品を創作しても、そのこと自体は、著作権の侵害にはなりません()

() 昨今話題になっている「生成AI」との関係で、この点が問題になっています。「〇〇(作家の名前)の作風に似せた△△(イラストやキャラクターなど)を作成せよ」と生成AIに命じると、AIが簡単に、その指示に応じた作品を作り上げてしまうからです。

 

【補足(生成AIに関わる論点)

 

本サイト内「著作権Q&A」の中で、『作風」「画風」というのは著作物に当たりますか?』の項目が非常に多くの方に読まれています。この点に関し、近似話題(問題)になっている生成AIとの関係について、令和6年3月15日に公表された文書『AI と著作権に関する考え方について』**(文化審議会著作権分科会法制度小委員会)が参考になりますので、ここで紹介したいと思います。

 

**留意点(以下抜粋)

『〇 この文書(「本考え方」)は、生成AIと著作権に関する考え方を整理し、周知すべく、文化審議会著作権分科会法制度小委員会において取りまとめられたものである。

○ 本考え方は、その公表時点における、本小委員会としての一定の考え方を示すものであり、本考え方自体が法的な拘束力を有するものではなく、また現時点で存在する特定の生成AIやこれに関する技術について、確定的な法的評価を行うものではないことに留意する必要がある。

○ 今後も、著作権侵害等に関する判例・裁判例をはじめとした具体的な事例の蓄積、AIやこれに関連する技術の発展、諸外国における検討状況の進展等が予想されることから、引き続き情報の把握・収集に努め、必要に応じて本考え方の見直し等の必要な検討を行っていくことを予定している。』

 

「著作権法で保護される著作物の範囲」に関する記述(本考え方)

『このように、著作権法は、著作物に該当する創作的表現を保護し、思想、学説、作風等のアイデアは保護しない(いわゆる「表現・アイデア二分論」)。この理由としては、アイデアを著作権法において保護することとした場合、アイデアが共通する表現活動が制限されてしまい表現の自由や学問の自由と抵触し得ること、また、アイデアは保護せず自由に利用できるものとした方が、社会における具体的な作品や情報の豊富化に繋がり、文化の発展という著作権法の目的に資すること等が挙げられる。』

 

「クリエイターや実演家等の権利者の懸念」(抜粋)

『③ 生成AIの普及により、既存のクリエイター等の作風や声といった、著作権法上の権利の対象とならない部分(以下、「作風等」という。)が類似している生成物が大量に生み出され得ること等により、クリエイター等の仕事が生成AIに奪われること

AI 生成物が著作物として扱われ、大量に出回ることで、新規の創作の幅が狭くなり、創作活動の委縮につながること』

 

『近時は、特定のクリエイターの作品である少量の著作物のみを学習データとして追加的な学習を行うことで、当該作品群の影響を強く受けた生成物を生成することを可能とする行為が行われており、このような行為によって特定のクリエイターの、いわゆる「作風」を容易に模倣できてしまうといった点に対する懸念も示されている。

この点に関して、いわゆる「作風」は、これをアイデアにとどまるものと考えると、(上記)のとおり、「作風」が共通すること自体は著作権侵害となるものではない。

他方で、アイデアと創作的表現との区別は、具体的事案に応じてケースバイケースで判断されるものであるところ、生成AIの開発・学習段階においては、このような特定のクリエイターの作品である少量の著作物のみからなる作品群は、表現に至らないアイデアのレベルにおいて、当該クリエイターのいわゆる「作風」を共通して有しているにとどまらず、創作的表現が共通する作品群となっている場合もあると考えられる。このような場合に、意図的に、当該創作的表現の全部又は一部を生成AIによって出力させることを目的とした追加的な学習を行うため、当該作品群の複製等を行うような場合は、享受目的[注:著作権法30条の4参照]が併存すると考えられる。

また、生成・利用段階においては、当該生成物が、表現に至らないアイデアのレベルにおいて、当該作品群のいわゆる「作風」と共通しているにとどまらず、表現のレベルにおいても、当該生成物に、当該作品群の創作的表現が直接感得できる場合、当該生成物の生成及び利用は著作権侵害に当たり得ると考えられる。』

 

『著作権法が保護する利益でないアイデア等が類似するにとどまるものが大量に生成されることにより、特定のクリエイター又は著作物に対する需要が、AI生成物によって代替されてしまうような事態が生じることは想定しうるものの、当該生成物が学習元著作物の創作的表現と共通しない場合には、著作権法上の「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」[注:著作権法30条の4但記参照]には該当しないと考えられる。他方で、この点に関しては、本ただし書に規定する「著作権者の利益」と、著作権侵害が生じることによる損害とは必ずしも同一ではなく別個に検討し得るといった見解から、特定のクリエイター又は著作物に対する需要が、AI 生成物によって代替されてしまうような事態が生じる場合、「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」に該当し得ると考える余地があるとする意見が一定数みられた。

また、アイデア等が類似するにとどまるものが大量に生成されること等の事情が、法第30 条の4との関係で「著作権者の利益を不当に害することとなる場合」には該当しないとしても、当該生成行為が、故意又は過失によって第三者の営業上の利益や、人格的利益等を侵害するものである場合は、因果関係その他の不法行為責任及び人格権侵害に伴う責任の要件を満たす限りにおいて、当該生成行為を行う者が不法行為責任や人格権侵害に伴う責任を負う場合はあり得ると考えられる**

なお、この点に関しては、アイデアと創作的表現との区別は、具体的事案に応じてケースバイケースで判断されるものであり、(上記)のとおり、特定のクリエイターの作品である少量の著作物のみを学習データとして追加的な学習を行う場合、当該作品群が、当該クリエイターの作風を共通して有している場合については、これにとどまらず、創作的表現が共通する作品群となっている場合もあると考えられる。このような場合には、追加的な学習のために当該作品群の複製等を行うことにおいて享受目的が併存し得ることや、生成・利用段階において、生成物に当該作品群の創作的表現が直接感得でき、著作権侵害に当たり得ることに配意すべきである。』

 

**著作物性がないものであったとしても、判例上、その複製や利用が、営業上の利益を侵害するといえるような場合には、民法上の不法行為として損害賠償請求が認められ得ると考えられる。最判平成23128(北朝鮮事件)では、「ある著作物が同条(注:著作権法第6条)各号所定の著作物に該当しないものである場合、当該著作物を独占的に利用する権利は、法的保護の対象とはならないものと解される。したがって、同条各号所定の著作物に該当しない著作物の利用行為は、同法が規律の対象とする著作物の利用による利益とは異なる法的に保護された利益を侵害するなどの特段の事情がない限り、不法行為を構成するものではないと解するのが相当である。」と判示している。

For more information

2025年7月12日土曜日

Q&A/裁定に係る文書や写真を利用する場合、その一部を切除したり、改変して利用することはできますか?

 

{Q} 裁定に係る文書や写真を利用する場合、その一部を切除したり、改変して利用することはできますか?

A そのような行為は、著作者の同一視保持権を侵害する可能性があります。

文書や写真に限らず,裁定に係る著作物や実演には,著作者人格権(201)や実演家人格権(90条の31)が及びます。すなわち、著作者や実演家には、著作権・著作隣接権とは別に、同一性保持権(201項、90条の31)が与えられているため、著作物やその題号、実演の「変更、切除その他の改変」は原則的に禁止されます。これは、文化庁長官の裁定を係る著作物や実演であっても何ら変わりません。

For more information

Q&A/外国人が権利者であっても裁定を受けることができますか。

 

{Q} 外国人が権利者であっても裁定を受けることができますか。

A はい、できます。

外国人の著作物等であっても,著作物等の利用が日本国内で行われるのであれば,権利者が日本人である場合と同様の手続きを行う必要があり,相当な努力を払っても権利者と連絡することができない場合には,裁定を受けることが可能です。権利者が外国人の場合、権利者と連絡を取ることが困難であることを理由に(権利者と連絡を取るための)「相当の努力」を省くことはできません。つまり、権利者が海外在住のため連絡が取りにくいとか,権利者との交渉に手間がかかるなどといった事情は,その権利者と「連絡することができない場合」に当たらないと考えられます。

なお、日本の著作物を海外で利用する場合には,現地の法律にしたがって権利処理を履行する必要があります。日本の裁定制度を利用して、外国での利用を担保することはできません(文化庁長官の裁定は日本国内で行われる利用行為についてのみ効力が及びます)

For more information

Q&A/「(裁定)申請中利用制度」とは、どんな制度ですか?

 

{Q} (裁定)申請中利用制度」とは、どんな制度ですか?

A 裁定(671)の申請をした者が、文化庁長官が定める額の担保金を供託した場合には、裁定又は裁定をしない処分を受けるまでの間、当該申請に係る利用方法と同一の方法により、当該申請に係る著作物を利用できる制度のことです(67条の21)

この制度を活用することで、裁定結果を待たずに、当該著作物を開始できるメリットがあります。すなわち、著作者不明等の著作物の利用をできるだけ早期に希望する場合で、裁定結果(標準処理期間は概ね2~3か月)が出るのを待っていられない事情があるときに、裁定申請の際に、申請中利用「有り」と申請して、文化庁長官が定めた額の担保金**(1)を供託することで、裁定結果を待たずに、当該著作物を開始できることになります**(2)。こうしたメリットから,現在,ほぼ全ての(裁定)申請で申請中利用制度が活用されています。

 

**(1)「担保金」は、「補償金」そのものではなく、あくまで将来の補償金支払いのための担保という性格のものです。その額は、申請された利用方法に対応して想定される補償金の額に不足が生じないように文化庁長官が定める額となります。

 

**(2)文化庁の解説では、「申請中利用制度では,仮申請から担保金の通知までに目安として3週間の期間を要します。担保金の通知後,直ちに担保金を供託した場合には,仮申請から3週間で利用を開始することができます。」とあります。

 

もっとも、申請中利用制度は、あくまで裁定を受けることを前提としてそれまでの間の暫定的な期間の利用を認める制度であるため、最終的に裁定が認められなかった(裁定をしない処分を受けた)ときには、その時点で、当該著作物の利用を中止しなければなりません。

For more information

Q&A/「著作権者不明等の場合の裁定制度」とは、どのような制度ですか?

 

{Q}「著作権者不明等の場合の裁定制度」とは、どのような制度ですか?

A 著作権者の不明その他の理由により相当な努力を払ってもその著作権者と連絡することができない場合に、文化庁長官が定める額の補償金の供託を条件として、裁定に係る利用方法により著作物の利用を認める制度です。

他人の著作物や実演(歌手の歌唱やバンドの演奏,俳優の演技など),レコード(CD等),放送又は有線放送を利用する場合(出版やDVD販売,インターネット配信などを行う場合)には,原則として,著作権者又は著作隣接権者の許諾を得ることが必要になります。しかし,他人の著作物等の利用を欲する者において権利者の許諾を得ようとしても,「その権利者が誰なのかわからない」,「(権利者が誰なのかはわかっているが)その権利者がどこにいるのかわからない」,「亡くなった権利者の相続人が誰なのか、どこにいるのか不明だ」などといった事情で利用の許諾を得ることができない場合があります。このような場合に,適法に著作物を利用する道を開くために、正当な権利者の許諾に代わって文化庁長官の裁定を受けて,通常の使用料額に相当する補償金を供託することにより,著作物の利用の適法化を図る制度が設けられました。これが「著作権者不明等の場合の裁定制度」です(著作権法67条~70条)

本制度の対象となるのは、権利者若しくは権利者の許諾を得た者により公表(34条参照)され,又は相当期間にわたり公衆に提供・提示されている事実が明らかである著作物(例えば童謡など),実演,レコード,放送,有線放送です(671項,103条)。

上記のような裁定を受けようとする者は、一定の事項を記載した申請書に、著作権者と連絡することができないことを疎明する資料その他を添えて、文化庁長官に提出しなければなりません(673)

For more information

2025年7月11日金曜日

Q&A/ 2026年度から新しい裁定制度がはじまると聞きました。どんな制度ですか?

 

{Q} 2026年度から新しい裁定制度がはじまると聞きました。どんな制度ですか?

A いわゆる「未管理著作物裁定制度」と呼ばれる制度です(新設67条の3)

情報ネットワーク化、デジタル技術等の進展で、誰もがコンテンツを創作して発信し、それを第三者が利用することがますます容易になっています。ネット上には、プロのクリエーターだけでなく、アマチュアを含む一般人が創作したコンテンツが溢れ、それが利用される機会も増えています。また、デジタルアーカイブなど、過去の作品の新たな利用ニーズも増えています。これらのコンテンツの中には、自由に利用できるものや許諾が必要なもの、許諾が要否が不明なものなどが混在しています。

他人のコンテンツ(著作物)を最も安全かつ安心して、すなわち、適法に利用するには、当該コンテンツの権利者と連絡を取ってその権利者から利用の許諾を得ることが大原則です。ところが、ネット上に溢れるコンテンツの中には、利用の可否や著作権者の情報が明らかでないため、権利者と連絡がとれず、必ずしもコンテンツの有効な活用ないし円滑な利用に結び付いていないケースがあります。そこで、権利者の許諾を得て利用するという著作権法の原則は維持しつつも、許諾を得て利用することが困難とされる、著作物等の利用の可否に係る著作権者等の意思が確認できない場合について、著作物等の利用とその対価還元を円滑化する仕組みを整備すべく、「未管理著作物裁定制度」が導入されることとなりました。

この新制度は、未管理公表著作物等であって、著作物等の利用の可否等の著作権者等の意思が確認できない場合などの要件を満たす場合に、文化庁長官の裁定を受け、通常の使用料の額に相当する額を考慮して文化庁長官が定める額の補償金を供託することで、当該裁定の定めるところにより、当該未管理公表著作物等を利用することを可能とするものです。この仕組みは、著作権者等が不明又は不存在であることを前提に長期的な利用を可能とする現行制度(= 著作権者不明等の場合の裁定制度。法67条参照。)と異なり、著作物等の利用の可否に係る著作権者等の意思が確認できない場合に著作物等の利用を可能とするもので、裁定後に著作権者等の申し出によりその意思が確認できた場合には、新たな裁定制度による利用は停止することになります。このように、新たな裁定制度では、著作権者等の意思が確認できない間の時限的な利用のみを認めることで、意思が確認できない場合の利用の停止後は、著作権者等と利用者によるライセンス交渉等に移行することを想定しています。このような仕組みにすることで、著作権者等による利用希望者に対する許諾の機会を奪わずに、新たな利用機会を創出させる点に特徴があります。

 

ここでは、以下、新制度の「対象になるもの」及び「対象にならないもの」について、難解な法律用語(条文の文言)は使わずに、簡易な表現で全体的なイメージだけ概観します(まだ運用がはじまっていないため)

 

未管理著作物裁定制度の対象になるもの(次の①及び②のいずれにも該当するもの)

① 利用ルールや利用の問合せ先の記載がなく、連絡先も明示されていないもの、又は利用ルールや利用についての問合せ先の記載がないが、連絡先があり、利用について問い合わせたところ、14日間応答がなかったもの

② 著作者が利用を廃絶しようとしていることが明らかでないもの(7041号参照)

 

未管理著作物裁定制度の対象にならないもの

× 管理団体による集中管理がされているもの

※集中管理とは、著作権等の管理を行う事業者(著作権等管理事業者として文化庁に登録している者。例えば、JASRAC)が、著作権者等からの委託を受け、著作物等の利用許諾や、徴収した利用料の著作権者等への分配を行うことを意味します。

×「無断転載禁止」「非営利なら許諾不要で自由に利用 OK」など、利用ルールが明記されているもの

×「利用希望の方は〇〇へ」などと利用についての問合せ先が明記されているもの

× 連絡先があり、利用について連絡したところ応答があったものなど

 

新制度は著作権者にメリットがあるのか?

利用希望者が申請し裁定されたことが広く公表されるため、これまで気づかれていなかった自身の作品の有償でのニーズに気づくことができます(自身の作品について埋もれていた価値の再発見)。また、裁定により自分の作品が利用されたことに気づいた場合でも、後から利用料を受け取ることもできます(裁定による利用者は、利用の対価として、通常の一般的な相場の利用料に相当する額の補償金を支払う必要があり、著作権者はこの補償金から利用料を受け取ることができます)。この点、当該補償金は国が指定した機関等が利用者から事前に預かるため、利用料が支払われないといった不払いのリスクはありません。さらに、利用希望者と改めて直接交渉をして、新規ライセンス契約につなげることも可能です。

 For more information

2025年7月3日木曜日

Q&A/他人の作品をパロディにした場合、著作権の侵害に当たりますか?同人誌などで見かける、いわゆる「二次創作」はどうですか?

 

{Q} 他人の作品をパロディにした場合、著作権の侵害に当たりますか?同人誌などで見かける、いわゆる「二次創作」はどうですか?

A ご質問の「パロディー」や「二次創作」の意味合い(定義)にも関係してきますが、一般的に用いられている「パロディー」(世間によく知られた作品の特徴を残しながら内容を変えて滑稽化・諷刺化すること)や「二次創作」(による改変)は、それが権利者に無断で行われる場合には、当該他人の著作物の同一性保持権(201)又は翻案権(27)の侵害に当たる場合が多いと解されます。

この点、適法引用に関する規定(32条)の類推適用や著作権者の黙示の許諾(著作権者が黙認している場合)などにより、パロディや二次創作であっても適法となる場合があるとの見解もあるようですが、日本では、常にそのような解釈を期待して安易に他人の作品のパロディーや二次創作を行うのは危険です。現状では、あくまで侵害になるのが原則です。

なお、アメリカでは、パロディーは、「フェア・ユース」(公正利用。連邦著作権法107条参照)の射程範囲に入る(つまり、一般大衆の自由利用が可能)との伝統的な考え方があり、商業的なパロディもあってもなおフェア・ユースになり得ると認定した最高裁のケース(Campbell v. Acuff-Rose Music (92-1292), 510 U.S. 569 (1994))もあります。

 

(参考)

他人の有名な写真を改変して利用することによりモンタージュ写真を作成して発行したことについて争われた事例で、

以下のように判示した原審に対して、最高裁(昭和55328日最高裁判所第三小法廷[昭和51()923])は、下記のように述べています。

《原審》

「本件モンタージユ写真の作成はその目的が本件写真を批判し世相を風刺することにあつたためその作成には本件写真の一部を引用することが必要であり、かつ、前記のような引用の仕方が美術上の表現形式として今日社会的に受けいれられているフオト・モンタージユの技法に従つたものとして客観的に正当視されるものであつたから、他人の著作物の自由利用として許されるべきものと考えられ、右引用にあたり本件写真の一部が改変されたことも、本件モンタージユ写真作成の右目的からみて必要かつ妥当なものであつたということができ、原著作者たる上告人の受忍すべき限度を超えるものとは考えられないから、その同一性保持権を侵害するものとはいえず、したがつて、被上告人の前記本件写真の利用は右規定にいう「正当ノ範囲」を逸脱するものではない」

《最高裁》

「自己の著作物を創作するにあたり、他人の著作物を素材として利用することは勿論許されないことではないが、右他人の許諾なくして利用をすることが許されるのは、他人の著作物における表現形式上の本質的な特徴をそれ自体として直接感得させないような態様においてこれを利用する場合に限られるのであり、したがつて、上告人の同意がない限り、本件モンタージユ写真の作成にあたりなされた本件写真の前記改変利用をもつて正当とすることはできないし、また、例えば、本件写真部分とスノータイヤの写真とを合成した奇抜な表現形式の点に着目して本件モンタージユ写真に創作性を肯定し、本件モンタージユ写真を一個の著作物であるとみることができるとしても、本件モンタージユ写真のなかに本件写真の表現形式における本質的な特徴を直接感得することができること前記のとおりである以上、本件モンタージユ写真は本件写真をその表現形式に改変を加えて利用するものであつて、本件写真の同一性を害するものであるとするに妨げないものである。」

 For more information

2025年6月21日土曜日

Q&A/フリーランス(個人事業主)のイラストレーターとして、主に企業からのお仕事を請け負っている者です。著作権について、いわゆるフリーランス新法との関係で注意すべき点はありますか?

 

{Q} フリーランス**(個人事業主)のイラストレーターとして、主に企業からのお仕事を請け負っている者です。著作権について、いわゆるフリーランス新法**との関係で注意すべき点はありますか?

 

**フリーランス新法では、いわゆるフリーランスを「特定受託事業者」と呼んでいます。特定受託事業者(フリーランス)とは、「業務委託の相手方である事業者(個人又は1人法人)で、従業員を使用しないもの」を指す用語です。一般的にフリーランスと呼ばれる方には、「従業員を使用している」又は「消費者を相手に取引をしている」といった方が含まれる場合もありますが、フリーランス新法ではそのような一般的な意味でのフリーランスは、「フリーランス(特定受託事業者)」に該当しません。

**正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」といいます。令和6年11月1日より施行されています。

 

A 業務委託の成果物(あなたの場合にはイラスト)に著作権が発生する場合、特定業務委託事業者(あなたにお仕事を発注した者。発注事業者のこと。)が、当該著作権についての取扱いを一方的に定めるような場合には、フリーランス新法上問題となる場合があります

特定業務委託事業者(発注事業者)は、給付の目的物(イラストの原画やデータなど)とともに、成果物(イラスト)に関する権利(著作権などの知的財産権)の譲渡やその利用許諾を受けたいなどの場合は、業務委託の際に「給付の内容」の一部として、当該権利の譲渡や利用許諾の範囲を書面等に明確に記載する必要があります。また、この場合には当該権利の譲渡や利用許諾に係る対価を報酬に加える必要があり、当該対価について特定受託事業者(フリーランス)との協議が一切行われることなく、特定業務委託事業者(発注事業者)が一方的に通常支払われる対価より低い額を定めた場合には、「買いたたき」として、フリーランス新法上、問題となるおそれがあります。

さらに、特定業務委託事業者(発注事業者)が、著作権等の知的財産権が特定受託事業者(フリーランス)にあるにもかかわらず、対価を支払わずに成果物(イラスト)の二次利用(著作権法27条・28条参照)を行うことなどによって、特定受託事業者(フリーランス)の利益を不当に害する場合には、「不当な経済上の利益の提供要請」としてフリーランス新法上問題となるおそれがあります。

For more information

 

2025年6月18日水曜日

Q&A/外国人の作品でもわが国の著作権法によって保護されますか?

 

{Q} 外国人の作品でもわが国の著作権法によって保護されますか?

A ほぼすべての国の国民の作品(著作物)が日本国内で保護されると考えて差し支えありません。

外国人(日本国籍を有しない者)の著作物については、それが、①最初に日本国内で発行(相当数のコピーが作成頒布)された場合[発行地条件]、②最初に日本国外において発行されたが、その発行の日から30日以内に日本国内で発行された場合[発行地条件]、さらに、③条約(主要なものとして、ベルヌ条約)によりわが国が保護の義務を負う著作物[条約条件]については、その外国人の国籍のいかんを問わず、わが国の著作権法によって保護されることが明記されています(623号参照)

例えば、わが国が承認していない国家(未承認国)の国民の著作物であっても、上記の[発行地条件]を満たせば、わが国で保護されることになります。

For more information

2025年6月17日火曜日

Q&A/役場の者です。この度、当市に在住する美術作品のコレクターから、その人が収集したすべての作品の寄贈を受けました。この場合、作品の著作権も当市が譲り受けることになるのですか?

 

{Q} 役場の者です。この度、当市に在住する美術作品のコレクターから、その人が収集したすべての作品の寄贈を受けました。この場合、作品の著作権も当市が譲り受けることになるのですか?

A 美術作品の寄贈を受けても、その作品に対する著作権まで譲り受けたことにはなりません。

有体物に対する所有権と、そこに表現されている著作物に対する著作権は、そもそも別の権利です。有体物の所有権が移転(譲渡)されても、それに付随して当然に著作権も移転(譲渡)されているわけではありません。したがって、寄贈された作品の著作権も取得したいのであれば、それぞれの作品の著作権者を特定して、その者と、あらためて著作権譲渡の契約を結ぶ必要があります。もっとも、著作権法では、以上のように、美術作品(オリジナル作品)の所有権が譲渡された場合に、そのオリジナル作品に対する所有権と、そこに表現された著作物に対する著作権(展示権)との調整を図るための規定が用意されています(45条参照)

For more information

Q&A/著作権法はなぜ存在するのですか?

 

{Q} 著作権法はなぜ存在するのですか?

A わが国の「文化の発展」に寄与させるためです。

著作権法は、その第1条に「目的」を明示しています。それによれば、「この法律(著作権法のこと)は、……著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする。」と宣言しています。端的に言うと、著作権法は、著作物を創作した者に著作権という権利を与えて保護する一方、著作物という「文化的所産」の「公正な利用」(一定の場合に一般社会が著作物を自由に利用できること)を確保することで、わが国の社会全体が文化的に豊かになることを期待しているのです。著作者に対する権利保護と公衆に対する著作物の公正な自由利用とのバランスを図りながら、わが国の「文化の発展」を促進していくことが、著作権法の究極的な目標なのです。

For more information

Q&A/著作権を取得するのに出願や登録は必要ですか?

 

{Q} 著作権を取得するのに出願や登録は必要ですか?

A いいえ、必要ありません。

「知的財産権」(人間の知的な創作活動によって生み出されるものに対して付与される、それを他人に無断で利用されない権利のことです。「知的所有権」や「無体財産権」と呼ばれることもあります。)の中には、国の機関に正式に「出願」して「登録」を受けること等によって権利が発生するものがあります。例えば、特許庁に出願して登録されてはじめて権利が発生する「特許権」などがその代表的な例です。これに対して、同じく、知的財産権に含まれる著作権は、こうした手続(方式)を一切必要とせず、著作物が創作された時点で「自動的」に発生するのが、わが国のみならず、国際的なルールになっています。これを「無方式主義」と呼んでいます。著作権法172項は、この無方式主義の考え方を明示したもので、「著作者人格権及び著作権の享有には、いかなる方式の履行をも要しない」と規定しています。つまり、著作権を取得するために出願や登録を条件とすることは国際的に禁止されていると言って差し支えありません。

For more information

Q&A/知的財産権とはどんな権利ですか?著作権とは違うのですか?

 

{Q} 知的財産権とはどんな権利ですか?著作権とは違うのですか?

A 著作権は「知的財産権」の中の1つの権利です。

知的財産基本法という法律があって、その中で「知的財産権」について定義されています。それによると、「知的財産権」とは、『特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利』(同法2条2項)のことをいいます。つまり、著作権は、特許権などと並んで、この知的財産権に含まれる権利の1つということになります。になみに、知的財産権のことを、「無体財産権」とか、「知的所有権」といったりします(これらはほぼ同じ意味で使われています)

なお、同法律では、「知的財産」についても定義規定が置かれていて、それによると、「知的財産」とは、『発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。』(同法2条1項)とされています。

For more information