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著作権コンサルタントをしています。クリエーターの卵から世界的に著名なアーティストまで、コンテンツビジネスや著作権にかかわる法律問題について、グローバルに支援しています。 カネダ著作権事務所 http://www.kls-law.org/

2025年6月28日土曜日

判例/客観的な事実又はデータは著作物か

 

客観的な事実又はデータは著作物か

▶平成200717日知的財産高等裁判所[平成20()1000]

「思想又は感情を表現した」というためには,対象として記述者の「思想又は感情」が表現されることが必要である。言語表現による記述等における表現の内容が,専ら「事実」(この場合における「事実」とは,特定の状況,態様ないし存否等を指すものであって,例えば「誰がいつどこでどのようなことを行った」,「ある物が存在する」,「ある物の態様がどのようなものである」ということを指す。)を,格別の評価,意見を入れることなく,そのまま叙述する場合は,記述者の「思想又は感情」を表現したことにならないというべきである(著作権法102項参照)。

 

▶平成121018日名古屋地方裁判所[平成11()5181]

ある著作物が著作権法の保護を受けるためには、その著作物は「思想又は感情」が表現されたものでなければならない。しかしながら、本件データは、自動車部品メーカー及びカーエレクトロニクス部品メーカー等の会社名、納入先の自動車メーカー別の自動車部品の調達量及び納入量、シェア割合等の調達状況や相互関係のデータをまとめたものであって、そこに記載された各データは、客観的な事実ないし事象そのものであり、思想又は感情が表現されたものではないことは明らかである。原告は、本件データは原告が独自に取材、調査し、それを総合的に判断し研究した結果であり、そこには原告の思想が創作的に表現されていると主張する。しかし、原告が主張していることは、原告の一定の理念あるいは思想のもとに本件データの集積行為が行われたということにすぎないのであって、集積された客観的データ自体が思想性を帯びることはないから、原告の右主張は失当というべきである。よって、本件データは著作物性を有しない。

(略)

データ自体は、仮にその集積行為に多額の費用、時間及び人員を費やしたものであったとしても著作権法の保護の対象となるわけではない。

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