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著作権コンサルタントをしています。クリエーターの卵から世界的に著名なアーティストまで、コンテンツビジネスや著作権にかかわる法律問題について、グローバルに支援しています。 カネダ著作権事務所 http://www.kls-law.org/

2025年6月17日火曜日

判例/内国民待遇の原則

 

内国民待遇の原則

平成161130日京都地方裁判所[平成15()2018]

著作権法6条3号は,条約により我が国が保護の義務を負う著作物は,著作権法による保護を受ける旨規定している。そして,著作権関連条約としては,文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約(1886年に制定された後,数回の改正がなされているところ,本項においては,それらの改正を含めて,単に「ベルヌ条約」という),万国著作権条約,TRIPS協定,ベルヌ条約20条の「特別の取極」としてのWIPO著作権条約等がある。我が国及びアメリカ合衆国は,ともにベルヌ条約に加盟しているところ,同条約は,著作権を保護するに際して特段の方式を必要としないとする無方式主義を採用し,同条約の同盟国は,他の同盟国の著作者にも自国の著作者に与えている保護と同様の保護を与えなければならないとする内国民待遇の原則を採用している。なお,ベルヌ条約においては,内国民待遇の原則の例外として,一部,本国における保護の限度で著作権保護を行えば足りるとする相互主義の適用が認められているけれども,これは,著作権の保護期間,応用美術の著作物の保護,追及権等に関しての例外を定めるものであって,その余の点にまで一般化されるものではない。

したがって,上記内国民待遇の原則に照らし,我が国においては,上記の例外を除き,我が国の著作権者に対して保護が与えられるのと同様の権利が,他国の著作権者に対しても等しく保障されるのであり,本件アメリカ合衆国の各法人の著作権についても,我が国の著作権法に基づく送信可能化権にかかる保護が及ぶことは明らかである。

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