著作権(©)表示の意義/著作権表示が適切にされないことは(一般)不法行為に当たるか
▶平成23年3月4日東京地方裁判所[平成21(ワ)6368等]▶平成24年01月31日知的財産高等裁判所[平成23(ネ)10028等]
万国著作権条約3条1項は,著作権者の許諾を得て発行されたすべての著作物の複製物に最初の発行時から,「Ⓒ」の記号,「著作権者の名」及び「最初の発行の年」によって構成される著作権表示を付さなければならない旨規定している。本件表示は,ここにいう著作権表示に該当するものと認められる。
我が国の著作権法においては,著作権の発生に何らかの方式の履行を要件としていないので,著作権表示は,著作権の発生とは関係のない事実上の行為であるが,「Ⓒ」の記号は,一般的に著作権の存在を示すマークとして使用されており,著作権の存在についての注意喚起や情報提供の役割を果たしていることは公知の事実である。
そうすると,著作権者から出版権を設定された出版社においては,著作権者の表示につき正しい表示をすべき注意義務が出版契約における契約上の付随的な義務として生ずるものと解され(なお,昭和49年契約書の約款13条は,「使用者は権利者のために,万国著作権条約加盟の方式国,例えば米国に於いて著作権を取得し且つ保全するため,同条約第三条に基づきⒸ表示など権利保全のため必要な措置をとるものとする。」と規定している。),また,著作権者において著作物の複製物に正しい著作権表示がされることは法律上保護に値する利益に当たるものと認めるのが相当である。
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