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著作権コンサルタントをしています。クリエーターの卵から世界的に著名なアーティストまで、コンテンツビジネスや著作権にかかわる法律問題について、グローバルに支援しています。 カネダ著作権事務所 http://www.kls-law.org/

2025年7月14日月曜日

判例/映画祭での「上映」の主体が問題となった事例

 

映画祭での「上映」の主体が問題となった事例

平成251122日 東京地方裁判所[平成25()13598]

まず,被告が,本件映画の原著作物(本件漫画)の著作者である原告の,本件映画に係る上映権を侵害したか否かについて検討する。

上映とは,著作物(公衆送信されるものを除く。)を映写幕その他の物に映写することをいい(著作権法2条1項17号),上映権は,著作物を公に上映する権利である(同法22条の2)。また,当該著作物が二次的著作物である場合には,原著作物の著作権者は,二次的著作物の上映権を有する(同法28条)。

前記1のとおり,本件映画は本件漫画の二次的著作物であり,原告は本件映画の上映権を有するから,原告の許諾なく本件映画を公に上映した場合には,原告の本件映画に係る上映権を侵害したことになる。

原告は,被告の具体的な上映行為として,本件各映画祭における上映を主張する。確かに,被告が本件各映画祭に本件映画を出展し,本件各映画祭において,本件映画が上映されたことは認められる。

しかしながら,上記のとおり,上映とは,著作物を映写幕その他の物に映写することであるから,本件各映画祭において,その主催者ではなく,被告が本件映画を上映したとは直ちにいい難い。

この点,原告は,本件各映画祭では,被告の応募行為に対応して本件映画を上映したものであり,被告は,映画監督・製作者としての名声や入賞すれば賞金を得るなどの利益を享受するから,被告が上映行為の主体である旨主張する。しかしながら,被告の出展が本件各映画祭における上映の契機であることや,原告の主張する被告の利益を考慮したとしても,被告が本件各映画祭における上映の枢要な行為をしたとは認め難いし,その他これを認めるに足りる証拠もない。

したがって,被告が本件各映画祭において本件映画を上映したとは認められないから,被告が原告の本件映画に係る上映権を侵害したとは認められない。

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