携帯向けSNS釣りゲームの侵害性が争われた事例
▶平成24年2月23日東京地方裁判所[平成21(ワ)34012]▶平成24年08月08日知的財産高等裁判所[平成24(ネ)10027]
[控訴審]
1 「魚の引き寄せ画面」に係る著作権及び著作者人格権の侵害の成否(争点1-1)について
(1)
翻案権及び同一性保持権について
著作物の翻案とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう。そして,思想,感情若しくはアイデア,事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において既存の著作物と同一性を有するにすぎない著作物を創作する行為は,既存の著作物の翻案に当たらない(最高裁平成13年6月28日第一小法廷判決参照)。
また,既存の著作物の著作者の意に反して,表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に変更,切除その他の改変を加えて,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできるものを創作することは,著作権法20条2項に該当する場合を除き,同一性保持権の侵害に当たる(著作権法20条,最高裁昭和55年3月28日第三小法廷判決参照)。
(略)
オ まとめ
以上のとおり,被告作品の魚の引き寄せ画面は,アイデアなど表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において原告作品の魚の引き寄せ画面と同一性を有するにすぎないものというほかなく,これに接する者が原告作品の魚の引き寄せ画面の表現上の本質的な特徴を直接感得することはできないから,翻案に当たらない。
(4)
小括
被告作品の魚の引き寄せ画面の表現から,原告作品の魚の引き寄せ画面の表現上の本質的な特徴を直接感得することはできない。よって,第1審被告らが魚の引き寄せ画面を含む被告作品を製作したことが,第1審原告の原告作品に係る翻案権を侵害するものとはいえず,これを配信したことが,著作権法28条による公衆送信権を侵害するということもできない。また,同様に,第1審被告らが魚の引き寄せ画面を含む被告作品を製作したことが,第1審原告の原告作品に係る同一性保持権を侵害するということもできない。
(以下略)
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