著作権法第54条(映画の著作物の保護期間)
▶第54条(映画の著作物の保護期間)の解説
法54条は、次のように規定しています:
「1 映画の著作物の著作権は、その著作物の公表後70年(その著作物がその創作後70年以内に公表されなかつたときは、その創作後70年)を経過するまでの間、存続する。
2 映画の著作物の著作権がその存続期間の満了により消滅したときは、当該映画の著作物の利用に関するその原著作物の著作権は、当該映画の著作物の著作権とともに消滅したものとする。
3 前二条の規定は、映画の著作物の著作権については、適用しない。
映画の著作物に係る著作権の保護期間について、これを著作者(16条参照)の死亡時起算として計算することは、29条1項等の規定を考慮すると必ずしも適切なものにはならないという配慮から、その保護期間の終期の起算点を、原則として映画の著作物の「公表時」とすることとしました(1項本文)。
映画の著作物の著作権が存続期間の満了によって消滅したときは、当該映画の著作物の利用に関するその原著作物(例えば、映画化された小説や脚本など)の著作権は、その映画の著作物の著作権とともに消滅します(2項)。当該映画化された小説や脚本等の原著作物の著作権によって保護期間が満了した映画の著作物の利用が妨げられないようにするための手当てです。もっとも、映画の著作物と運命を共にするのは、小説や脚本等の著作権のうち「当該映画の著作物の利用に関する」範囲内に限られ、当該映画の利用以外の部分(例えば、小説の出版による利用など)に関しては、もとより消滅するものではありません。なお、映画の著作物の中で複製されている音楽や美術作品については、これらは当該映画に対する「原著作物」には当たりませんので、本条(2項)の適用はありません。
映画の著作物の中にも無名・変名の著作物や団体名義の著作物があるでしょうが、これらについては、52条及び53条の規定は適用されず、54条の規定によって一律にその存続期間が処理されます(3項)。
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