著作権法第53条(団体名義の著作物の保護期間)
▶第53条(団体名義の著作物の保護期間)の解説
法53条は、次のように規定しています:
「1 法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権は、その著作物の公表後70年(その著作物がその創作後70年以内に公表されなかつたときは、その創作後70年)を経過するまでの間、存続する。
2 前項の規定は、法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作者である個人が同項の期間内にその実名又は周知の変名を著作者名として表示してその著作物を公表したときは、適用しない。
3 第15条第2項の規定により法人その他の団体が著作者である著作物の著作権の存続期間に関しては、第1項の著作物に該当する著作物以外の著作物についても、当該団体が著作の名義を有するものとみなして同項の規定を適用する。」
法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権の保護期間(の終期)については、著作者が自然人であるのに団体の著作名義をもって公表されたため、その著作者が誰であるかを一般大衆が知り得ない場合に、著作者の死亡時点を基準にその存続期間を定めることとすると、法的安定性を害するおそれがあります。一方、法人等の団体が著作者でもあるような場合(15条参照)には、原則的保護期間である70年の「死後」起算(51条2項)が不可能であるため(、また、法人等の解散時を起算点とすることも不適切と考えられるため)、そもそも、原則的な保護期間を適用することができません。そこで、法人その他の団体が著作の名義を有する著作物の著作権の保護期間の終期は、これを、原則として「公表時」から起算するものとしました(1項本文)。もっとも、かっこ書に規定するように、法人等の団体が著作名義を有する著作物であっても、それが創作後70年以内に公表されなかったときは、その保護期間は、その創作後70年で終了することになります。
「法人その他の団体が著作の名義を有する著作物」とは、法人著作(15条)において会社等が著作者となる著作物のみならず、個人が著作者であって、ただ著作名義が団体になっているような著作物も含むと解されます。
法人その他の団体が著作名義を有する著作物の「著作者である個人」(著作権法上の「著作者」の地位に立つ者のことで、法人著作において実際に著作物を創作した従業員はこれに該当しません。)が、1項の期間内にその実名又は周知の変名を著作者名として表示して当該著作物を公表したときは、上記の「公表後70年」は適用されなくなり(2項)、原則に立ち返って、「著作者の死後70年」が適用されることになります(51条2項)。
法人著作(15条2項)において会社等が著作者となるプログラムの著作物の存続期間については、公表時の著作名義にかかわらず(たとえ個人名義で公表されても)当該団体が著作名義を有するものとみなして、1項の規定が適用されます(3項)。
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