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著作権コンサルタントをしています。クリエーターの卵から世界的に著名なアーティストまで、コンテンツビジネスや著作権にかかわる法律問題について、グローバルに支援しています。 カネダ著作権事務所 http://www.kls-law.org/

2025年6月22日日曜日

書式/「既存の原稿(エッセイ、詩、⼩説など)やイラスト、写真、⾃作の楽曲・ 映画、舞踊(ダンス)・無⾔劇などの利⽤許諾」の契約書式(文化庁が公開しているひな形)

 

「既存の原稿(エッセイ、詩、⼩説など)やイラスト、写真、⾃作の楽曲・ 映画、舞踊(ダンス)・無⾔劇などの利⽤許諾」の契約書式

 

[前提条件]

前提条件として下記を想定しています。

▶対象となる著作物は、著作権者が創作したオリジナルの著作物とします。もし、著作物に第三者の権利が関係している場合、創作者の責任において関係者の了解を得るものとします。

▶著作権者と著作者とが同⼀⼈物であることを前提としています。著作権者と著作者が異なる場合(著作者が著作権を第三者に譲渡した場合等)は対象としていません。

▶利⽤者は、著作物をそのままの形で利⽤することを前提としています。利⽤にあたり、著作物を要約したり、⽴体化したり、動画化するなどの改変を加えることは、この契約の対象外です。

 

[契約書例(文化庁が公開しているひな形)]

以下の契約書例は、イラストを印刷物に使⽤することを許諾するケースを想定しています。

 

▶収⼊印紙の貼付が必要な場合にはこの場所に貼付してください。

 

契 約 書

__________(以下「甲」という。)と__________(以下「⼄」という。)とは、著作物の利⽤に関し、以下のとおり契約を締結する。

 

第1条 (利⽤許諾)

甲は、⼄に対し、以下のイラスト(美術の著作物)(以下「本著作物」という。)につき、以下の利⽤を許諾する。

1 利⽤作品名︓__________

2 利⽤⽅法

(1)印刷物への利⽤

名称広報○○○○、部数︓______

名称︓__________、部数︓______

名称︓__________、部数︓______

(2)ウェブサイトにおける掲載

サイト名○○社公式サイト

掲載期間︓_____________⽇から_____________⽇まで

(3)映像作品における利⽤

作品名広報○○○○、複製本数︓______

(4)その他

その他︓__________

3 ⼄は、当該利⽤にあたっては、事前にその具体的な利⽤態様を甲に⽰し、甲の承諾を得るものとする。

 

▶⽂章の場合

それほど⻑い⽂章でない場合は、⽂章全体を記載した別紙を添付して特定することが⼀つの⽅法として考えられます。⻑⽂の場合は、タイトル等で特定することが考えられます。

(1)

第○条(利⽤許諾)

甲及び⼄は、別紙記載の⾔語の著作物(以下、「本著作物」という。)の利⽤許諾に関し、以下のとおり契約を締結する。

(2)

第○条(利⽤許諾)

甲及び⼄は、著作物タイトルを『○○○○』とする⾔語の著作物(以下、「本著作物」という。))の利⽤許諾に関し、以下のとおり契約を締結する。

 

▶写真の場合

縮⼩コピーを別紙で添付する等の⽅法が考えられます。このようにすると、対象とする著作物が明確になります。添付が困難な場合には、タイトル、サイズ、数量等で特定することが考えられます。

(1)

第○条(利⽤許諾)

甲及び⼄は、別紙記載の写真の著作物(以下、「本著作物」という。)の利⽤許諾に関し、以下のとおり契約を締結する。

(2)

第○条(利⽤許諾)

甲及び⼄は、著作物タイトルを『○○○○』とする写真の著作物(カラー写真 1 枚。以下、「本著作物」という。))の利⽤許諾に関し、以下のとおり契約を締結する。

 

▶利⽤許諾の範囲の特定

著作物を利⽤できる範囲をしっかり特定する必要があります。利⽤の許諾を求める範囲が曖昧な場合には、その範囲をめぐってトラブルになることがありますので注意が必要です。

( ; ⽂章やイラスト、写真を印刷物及びウェブサイトに掲載することを許諾する場合の⼀例)

第○条 甲は、⼄に対し、本著作物を、下記の態様で利⽤することを許諾する。

(1)印刷物への複製、頒布における利⽤

 印刷物の名称広報○○(以下、「本件印刷物」という。)

 最⼤発⾏部数︓1,000

 販売期間○○年○⽉○⽇から○年間

 販売地域⽇本国内

(2)ウェブサイトにおける利⽤

 サイト名○○社公式サイト

 サイト URL︓http://www.○○.co.jp

 掲載期間○○年○⽉○⽇から○○年○⽉○⽇まで

(例;イラストや写真を映像著作物に使⽤することを許諾する場合の⼀例)

第○条 甲は、⼄に対し、本著作物を、下記の態様で利⽤することを許諾する。

(1)映像著作物における利⽤

 著作物名『○○○○』

 媒体︓DVD

 複製本数︓100

 販売期間○○年○⽉○⽇から○○年○⽉○⽇まで

 販売地域⽇本国内

 

▶独占的利⽤許諾

その著作物を独占的に利⽤したい場合には、その旨を契約で定めておく必要があります。

(例;第三者に許諾することを禁⽌する場合の⼀例)

第○条(独占的利⽤許諾)

前条の許諾は、独占的なものとし、甲は、⼄以外の第三者に対し、(1)印刷物における複製、頒布、(2)ウェブサイトにおける掲載の各形態で本著作物を利⽤することを許諾してはならない。

(例;第三者に許諾することを禁⽌するとともに、著作権者⾃⾝の利⽤も禁⽌する場合の⼀例)

第○条(独占的利⽤許諾)

前条の許諾は、独占的なものとし、甲は、⼄以外の第三者に対し、(1)印刷物における複製、頒布、(2)ウェブサイトにおける掲載の各形態で本著作物を利⽤することを許諾してはならず、また、⾃ら上記各形態で本著作物を利⽤してはならない。

 

▶著作物の納⼊⽅法

写真、イラストを利⽤する場合、著作権者から素材を借り受けることがあります。このような場合、著作物の納⼊⽅法を契約で定めておく必要があります。具体的には、素材の受渡し⽅法、受渡し期限、利⽤後の返却の要否等を定めます。

なお、納⼊素材の検査に関する条項を設けることもあります。

(例;イラスト原画を納⼊し、後⽇返却とする場合の⼀例)

第○条(納⼊)

1 甲は⼄に対し、○○年○⽉末⽇までに、本著作物(イラスト原画)を⼄に貸与するものとする。

2 ⼄は、前項のイラスト原画を、○○年○⽉末⽇までに甲に返却する。

 

第2条 (著作者⼈格権)

1 ⼄が本著作物の内容・表現⼜はその題号に変更を加える場合(拡⼤・縮⼩、⾊調修正等を施すことも含む。)には、あらかじめ甲の承諾を必要とする。

2 ⼄は、本著作物を利⽤するにあたって、以下のとおり著作者名の表⽰をしなければならない。

__________

 

(例;変更のつど承諾を要し、かつ、⽒名表⽰を要する場合)

第○条(著作者⼈格権)

1 ⼄が本著作物の内容・表現⼜はその題号に変更を加える場合には、あらかじめ甲の承諾を必要とする。

2 ⼄は、本著作物を利⽤するにあたって、以下のとおり著作者名の表⽰をしなければならない。

 ○○○○

(例;⼀定範囲での変更を認め、かつ、⽒名表⽰を要しない場合)

第○条(著作者⼈格権)

1 甲は、⼄が本著作物を利⽤するにあたり、その利⽤態様に応じて本著作物のサイズ、⾊調を変更したり、⼀部を切除したりすることを予め承諾する。ただし、⼄は、これらの改変であっても、本著作物の本質的部分を損なうことが明らかな改変をすることはできない。

2 ⼄は、前項以外の改変を⾏う場合は、事前に甲の承諾を得なければならない。

3 ⼄は、本著作物を利⽤するにあたって、著作者名の表⽰をすることを要しない。

 

第3条 (保証)

甲は、⼄に対し、本著作物が第三者の著作権その他第三者の権利を侵害しないものであることを保証する。

 

▶もっとも、このような(保障)条項を設けた場合、著作者に対して契約違反の責任をとってもらうことができるようになるだけで、著作権やプライバシー権侵害の被害者に対する責任がなくなるわけではないので、注意が必要です。

(例;基本)

第○条(保証)

甲は、⼄に対し、本著作物が第三者の著作権、プライバシー権、名誉権、パブリシティ権その他いかなる権利をも侵害しないことを保証する。

(例;トラブルへの対処について規定する場合)

第○条(保証)

1 甲は、⼄に対し、本著作物が第三者の著作権、プライシー権、名誉権、パブリシティ権その他いかなる権利をも侵害しないことを保証する。

2 万⼀、本著作物に関して、第三者から権利の主張、異議、苦情、対価の請求、損害賠償の請求等がなされた場合、甲は⾃らの責任と費⽤負担においてこれを処理解決するものとし、⼄に⼀切の迷惑損害を及ぼさないものとする。

 

第4条 (対価)

⼄は、甲に対し、本著作物の利⽤許諾の対価、その他本契約に基づく⼀切の対価として、⾦__________円(消費税込み)を、_____________⽇までに⽀払う。

 

(例;無償の場合)

第○条(対価)

甲⼄は、本契約に基づく⼀切の対価は無償であることを相互に確認する。

(例;有償の場合)

第○条(対価)

⼄は、甲に対し、本著作物の利⽤許諾の対価として、⾦○万円(消費税込み)を、○○年○⽉○⽇までに⽀払う。

 

振込の場合は、振込⼿数料を誰が負担するかについても明記するようにしましょう。

▶報酬・対価に係る消費税や所得税(源泉徴収)については、⽀払いの相⼿⽅や報酬・対価の額などによって取り扱いが異なりますので、必要に応じ税の専⾨家に相談してください。

 

第5条 (その他)

本契約に定めのない利⽤態様については、甲⼄別途協議の上、利⽤の可否、対価等につき決するものとする。

 

▶契約終了後の在庫等の取扱い

利⽤許諾期間が終了した時点において利⽤者が保有する商品等の在庫の取扱いについて契約書に定めることがあります。利⽤許諾期間の終了後も在庫品の販売を認めるような場合は、このような規定を設ける必要があります。

(例;契約終了後、⼀定期間の販売を許諾する場合の⼀例)

第○条(契約終了後の措置)

本契約が終了した場合、⼄は、終了後○か⽉に限り、本件印刷物の本契約終了時における在庫を、第○条の対価を⽀払うことを条件に引き続き販売することができる。ただし、○か⽉経過後は、その時点における在庫を全て廃棄するものとする。

(例;即時廃棄を義務づける⼀例)

第○条(契約終了後の措置)

本契約が終了した場合、⼄は、本件印刷物を速やかに全て廃棄するものとする。

 

▶その他、契約書には、契約期間に関する条項、中途解約に関する条項、契約変更に関する条項、契約解除に関する条項、秘密保持に関する条項、権利義務の譲渡等禁⽌条項、合意管轄に関する条項等を置くことがあります。

 

本契約締結の証として、本契約書2通を作成し、甲⼄記名捺印の上、各⾃1通を保持する。

 

 年  ⽉  ⽇

甲 住所

⽒名           印

⼄ 住所

⽒名           印

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