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著作権コンサルタントをしています。クリエーターの卵から世界的に著名なアーティストまで、コンテンツビジネスや著作権にかかわる法律問題について、グローバルに支援しています。 カネダ著作権事務所 http://www.kls-law.org/

2025年7月4日金曜日

条文/著作権法第80条(出版権の内容)3/3

 

著作権法第80(出版権の内容)3/3

 

    2項の意義と解釈

 

出版権が設定されると、その範囲内で複製権又は公衆送信権は制限を受けるため、複製権等保有者(複製権者又は公衆送信権者)といえども、当該出版権の目的となっている著作物をその著作者の全集などに出版権者に無断で収録することは許されないのが原則です。しかし、「出版権の存続期間中に当該著作物の著作者が死亡したとき」は、複製権等保有者は、当該出版権の目的となっているその著作物を「全集その他の編集物(その著作者の著作物のみを編集したものに限る。)」に収録して複製又は公衆送信することができるとされています(2項)。また、設定行為に別段の定めがある場合を除いて、出版権の設定後「最初の出版行為等があった日から3年を経過したとき」にも、複製権等保有者は、同様の行為をすることができます(同項)。

 

    3項及び第4項の意義と解釈

 

出版権者が第三者に複製を許諾することができるか否かについて、平成26年改正前3項では、「出版権者は、他人に対し、その出版権の目的である著作物の複製を許諾することができない。」と規定していましたが、一方で、解釈上、複製権者の承諾があれば、出版権者のかかる許諾行為を無効と解すべきではないとする有力な見解がありました。この点、平成26年法改正では、出版権者は、複製権等保有者の承諾を得た場合に限り、第三者に対して複製又は公衆送信を許諾することができることを明確にしました。

 

平成26年改正後3項において定める出版権者から第三者への複製又は公衆送信の許諾は、現行法631項の著作物の利用の許諾と基本的に同様の性質のものであることから、出版権者から第三者への複製又は公衆送信の許諾について所定の準用と読替え規定が設けられました(4項)。

① 著作物の利用(複製又は公衆送信)の許諾を得た者は、その許諾に係る利用方法及び条件の範囲内において、その許諾に係る著作物を利用(複製又は公衆送信)することができる(準用632項)。

② 許諾に係る著作物を利用(複製又は公衆送信)する権利は、複製権等保有者及び出版権者の承諾を得ない限り、譲渡することができない(読替え準用633項)。

③ 著作物の送信可能化について著作物の利用の許諾を得た者が、その許諾に係る利用方法及び条件(送信可能化の回数又は送信可能化に用いる自動公衆送信装置に係るものを除く。)の範囲内において反復して又は他の自動公衆送信装置を用いて行う当該著作物の送信可能化については、「第80条第1項(第2号に係る部分に限る。)」の規定は、適用しない(読替え準用635項)。

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