店舗のBGMとして楽曲を再生する行為は演奏権の侵害に当たるか
▶平成30年3月19日札幌地方裁判所[ 平成29(ワ)1272]
我が国においては,昭和9年改正の旧著作権法30条1項8号において,レコード等の適法な複製物を用いた演奏は,出所を明示すれば,著作権侵害にならない旨が定められ,昭和45年の著作権法改正の際にも,著作権法附則14条が置かれ,適法に録音された音楽の著作物の演奏の再生については,放送や,音楽を鑑賞させる営業等を除き,当分の間,旧著作権法30条1項8号は効力を有するとされたため,長年にわたり,一般的な店舗等で,適法に取得したレコードやCDをBGMとして再生することは,著作権侵害には当たらないとされてきた。
しかしながら,国際的な著作権保護のための条約との整合性の観点から,平成11年の著作権法改正の際に,著作権法附則14条が廃止されたため(平成12年1月1日施行),以後,この問題は,公表された著作物は,営利を目的とせず,かつ,聴衆又は観衆から料金を受けない場合には,公に演奏等することができるとする現行著作権法38条1項により規律されることになり,同項にいう営利目的には,楽曲の再生により利用者の満足度を高めるなど,間接的に事業を促進する場合も含まれると解されるから,平成12年以降,店舗のBGMとして楽曲を再生する等の行為は,著作者の許諾がなければ,著作者が専有する演奏権(著作権法22条1項)の侵害に当たることとなった(なお,特別な再生装置によらず,通常の家庭用受信装置を用いてラジオ等の放送をそのまま伝達する場合には,同法38条3項後段により,店舗におけるBGM利用であっても,著作権侵害とはならない。)。
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