職務著作性(法人等の発意)
▶平成22年08月04日知的財産高等裁判所[平成22(ネ)10029]
法人等が著作物の作成を企画,構想し,業務に従事する者に具体的に作成を命じる場合,あるいは,業務に従事する者が法人等の承諾を得て著作物を作成する場合には,法人等の発意があるとすることに異論はないところであるが,さらに,法人等と業務に従事する者との間に雇用関係があり,法人等の業務計画や法人等が第三者との間で締結した契約等に従って,業務に従事する者が所定の職務を遂行している場合には,法人等の具体的な指示あるいは承諾がなくとも,業務に従事する者の職務の遂行上,当該著作物の作成が予定又は予期される限り,「法人等の発意」の要件を満たすものと解すべきである。
▶平成20年06月25日東京地方裁判所[平成19(ワ)33577]
「発意」については,法人等の使用者の自発的意思に基づき,従業員に対して個別具体的な命令がされたような場合のみならず,当該雇用関係等から外形的に観察して,法人等の使用者の包括的,間接的な意図の下に創作が行われたと評価できる場合も含まれるものと解すべきである。
▶平成26年9月12日東京地方裁判所[平成24(ワ)29975等]
「法人の発意」の要件を満たすためには,著作物の作成の意思が直接又は間接に使用者の判断にかかっていればよく,著作物作成に至る経緯,業務従事者の職務,作成された著作物の内容や性質,両者の関連性の程度等を総合考慮して,従業者が職務を遂行するために著作物を作成することが必要であることを想定していたか,想定し得たときは,上記要件を満たすと解するのが相当である。
0 件のコメント:
コメントを投稿