著作権の保護対象ではない錦絵を被写体とする写真の無断転載行為が問題となった事例(所有権と著作権の関係)
▶平成27年9月24日大阪地方裁判所[平成27(ワ)731]
ところで原告は,本件において,本件教材への本件錦絵の掲載が,原告の許諾を受けて撮影された本件錦絵写真をさらに複写ないし撮影するなどの方法でなされたことを問題にしているが,そこで利用の対象となっているのは,有体物である本件錦絵そのものではなく,有体物である本件錦絵を撮影して得られた写真から感得できるところの本件錦絵の美術の著作物としての面,すなわち無体物としての面であるから,被告の行為は,その行為態様だけでなく,その利用対象の面においても,有体物である本件錦絵の排他的支配権能をおかすものでないことは明らかである。
したがって,そこでは本件錦絵の所有権侵害は問題となり得ないから,原告が予備的請求原因として主張する所有権侵害の主張はこの点で明らかに失当である。
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