わが国で「公正利用(フェアユース)の法理」は一般的に認められるか
▶平成6年10月27日東京高等裁判所[平成5(ネ)3528]
著作権法1条は、著作権法の目的につき、「これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作権者等の権利の保護を図り、もって文化の発展に寄与することを目的とする。」と定め、同法30条以下には、それぞれの立法趣旨に基づく、著作権の制限に関する規定が設けられているところ、これらの規定から直ちに、わが国においても、一般的に公正利用(フェアユース)の法理が認められるとするのは相当でなく、著作権に対する公正利用の制限は、著作権者の利益と公共の必要性という、対立する利害の調整の上に成立するものであるから、これが適用されるためには、その要件が明確に規定されていることが必要であると解するのが相当であって、かかる規定の存しないわが国の法制下においては、一般的な公正利用の法理を認めることはできない。
▶平成15年2月7日名古屋地方裁判所[平成14(ワ)2148]▶平成16年3月4日名古屋高等裁判所[平成15(ネ)233]
法1条は,法の目的につき,「これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ,著作権者等の権利の保護を図り,もって文化の発展に寄与することを目的とする。」と定め,法30条以下には,それぞれの立法趣旨に基づく,著作権の制限に関する規定が設けられているところ,これらの規定から直ちに,我が国においても,一般的に「公正な利用(フェア・ユース)の法理」が認められると解するのは相当でない。著作権に対する公正利用の制限は,著作権者の利益と公共の必要性という,対立する利害の調整の上に成立するものであるから,実定法主義を採る我が国の法制度の下で,これが制限されるためには,その要件が具体的かつ明確に規定されていることが必要であると解するのが相当であって,かかる規定が存しない以上,一般的な「公正な利用の法理」を認めることはできないことはもちろん,明文の規定を離れて著作物の公正な利用となる場合があることを認めることはできないというべきである(東京高等裁判所平成6年10月27日判決参照)。
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