このブログを検索

自己紹介

著作権コンサルタントをしています。クリエーターの卵から世界的に著名なアーティストまで、コンテンツビジネスや著作権にかかわる法律問題について、グローバルに支援しています。 カネダ著作権事務所 http://www.kls-law.org/

2025年8月16日土曜日

判例/国際裁判管轄(専属的裁判管轄)の有無が問題となった事例

 

国際裁判管轄(専属的裁判管轄)の有無が問題となった事例

▶令和元年1113日東京地方裁判所[平成28()39687]

1 争点1(国際裁判管轄の有無)について

(1) 修正サービス契約6条(i)は,「トラスト及びサンエーは,それぞれ,本契約から生じる又は本契約に関連する全ての法的手続のため,ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所又はニューヨーク市に置かれるニューヨーク州裁判所の専属的裁判管轄に服する。」と定めている。被告会社は,同条項の「トラスト」との記載は単なる誤記にすぎず,同条項は被告会社とサンエー間の専属的裁判管轄の合意を定めたものであるから,本訴請求について我が国の裁判所は管轄権を有しないと主張する。

しかし,国際裁判管轄の合意は,その合意に係る管轄地に所在しない当事者に大きな不利益を与えることになることから,書面によって合意されなければならないとされており(民事訴訟法3条の7),同合意の存在は当該書面の記載に基づいて慎重に行うことが相当であるところ,修正サービス契約6条(i)は,専属的管轄合意の主体を,被告会社とは別の法人である「トラスト」と明示しており,被告会社のスペルの誤りなどではないから,その記載から合意の主体が被告会社であると認めることはできない。

修正サービス契約は,英文で起草された国際的な取引に関する企業間の契約書であり,各条項については,契約当事者がその文言について慎重に精査・検討した上で合意されたと考えるのが自然である。しかも,専属的裁判管轄の合意において,合意の主体は最も基本的かつ重要な要素の一つであることを考慮すると,修正サービス契約6条(i)に規定する専属的裁判管轄の合意主体はその文言に従って「トラスト」であると認めることが相当である。

For more information

0 件のコメント:

コメントを投稿