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著作権コンサルタントをしています。クリエーターの卵から世界的に著名なアーティストまで、コンテンツビジネスや著作権にかかわる法律問題について、グローバルに支援しています。 カネダ著作権事務所 http://www.kls-law.org/

2025年8月15日金曜日

判例/丸棒矯正機の設計図の著作物性を認めた事例

 

丸棒矯正機の設計図の著作物性を認めた事例

▶平成40430日大阪地方裁判所[昭和61()4752]

() 原告技術部長他数名の原告従業員が、原告(会社)の発意に基づき、職務上作成した、原告が製作販売するKVS―135型丸棒矯正機(「原告矯正機」)の設計図のことである。なお、「丸棒矯正機」とは、特殊形状の二本以上のロールを用いて、金属の丸棒製作工程中に生じた丸棒材の曲がりを真っ直ぐに矯正するとともに、表面切削後の荒れた表面を磨いてつややかにする機能を有する機械である。

 

原告本件設計図は、原告の設計担当の従業員らが研究開発の過程で得た技術的な知見を反映したもので、機械工学上の技術思想を表現した面を有し、かつその表現内容(描かれた形状及び寸法)には創作性があると認められる。したがって、原告本件設計図はそれぞれ丸棒矯正機に関する機械工学上の技術思想を創作的に表現した学術的な性質を有する図面(著作権法1016号)たる著作物にあたるというべきである。但し、原告の主張中の、ハイドロナットの使用や、サイドフレームを使用した三層構造を採用したこと、クラウンフレーム内における油溝を三条構造としたこと、ベッドフレームにおける油回収に一部開放機構を採用したこと、上ロールの上下調整システムにウォームとウォームホィール方式を採用したこと、ロールの角度調整システムに油圧シリンダーと油圧モーター方式を採用したこと、バイオネット構造において四山を採用したことに関し、それらの構造を採用するという技術的思想そのものは、要件を満たした場合に特許法ないし実用新案法により保護されるべき性質のものであり(その意匠が意匠法により保護される場合もある)、著作物として保護されるのは、その表現(図示された形状や寸法)であると解される。

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