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著作権コンサルタントをしています。クリエーターの卵から世界的に著名なアーティストまで、コンテンツビジネスや著作権にかかわる法律問題について、グローバルに支援しています。 カネダ著作権事務所 http://www.kls-law.org/

2025年9月8日月曜日

条文/著作権法第92条(放送権及び有線放送権)

 

著作権法第92(放送権及び有線放送権)

 

1 実演家は、その実演を放送し、又は有線放送する権利を専有する。

2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。

[1] 放送される実演を有線放送する場合

[2] 次に掲げる実演を放送し、又は有線放送する場合

イ 前条第一項に規定する権利を有する者の許諾を得て録音され、又は録画されている実演

ロ 前条第2項の実演で同項の録音物以外の物に録音され、又は録画されているもの

 

実演家の放送権・有線放送権

 

本条は、実演家が、その実演を放送し又は有線放送することに関して、原則として(一定の場合を除いて)、「放送権」又は「有線放送権」という排他独占的権利を有することを規定したものです**。「放送権」・「有線放送権」は、実演家の財産的利益を保護するために創設された「著作隣接権」の1つです(891項・6)

 

**「生の実演」をテレビやラジオなどにより、直接、放送・有線放送することも、放送権・有線放送権の射程範囲です。

 

「放送される実演を有線放送する」こと(同時再送信)に対しては、実演家の権利(有線放送権)は及びません(21)。したがって、実演家としては、有線放送による放送の同時再送信を想定する場合には、放送事業者に自己の実演の放送を許諾する際の契約において、当該放送事業者の有する有線放送権(991)を通じて、自己の利益を確保しておくことが重要になります。もっとも、有線放送事業者は、放送される実演を有線放送した場合には、それが営利又は有料で行われる有線放送による放送の同時再送信については、当該実演に係る実演家に「相当な額の報酬」を支払わなければならないものと規定されています(94条の2)

 

適法に作成された固定物(録音物・録画物)による実演の放送・有線放送に対しては、実演家の放送権・有線放送権は及びません(22)。この「適法に作成された固定物(録音物・録画物)」には、録音権・録画権を有する者(実演家)から許諾を得て固定(録音・録画)されたもの(2号イ)**(1)と、録音権・録画権を有する者(実演家)の許諾を得ずに増製することが許される映画の増製物(912)に固定(録音・録画)されているもの(2号ロ)**(2)が含まれます。

 

**(1) 放送権・有線放送権は、実演家の了解(許諾)を得ないで作成(録音)されたレコードを用いて放送・有線放送する場合には働くことになります。

 

**(2) いったん実演家の了解(許諾)を得て収録された映画の著作物の増製プリントを用いて放送・有線放送する場合は、実演家の権利(放送権・有線放送権)は働きませんが、実演家の了解(許諾)を得ないで映画の著作物に録音・録画された実演を用いて放送・有線放送する場合には働くことになります。

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