姓名判断に使われる「天格・人格・地格・総格・外格」の(文字の)侵害性を否定した事例
▶平成14年3月12日大阪地方裁判所[平成13(ワ)12680]
4 請求原因(4)について
(1) 請求原因(4)のうち、原告著作物に「天格・人格・地格・総格・外格」という文字表現が存在することは当事者間に争いがなく、(証拠)によれば、原告著作物3には、これらの文字表現の意味として、「天格 姓の合計 先天的運格 特に霊意はみられません。人格との相生相剋が重要。」「人格 姓の下と名の上の合計 主運格 性格、中年期の吉凶運をみます。」「地格 名の合計 若年運格 親から独立するまでの吉凶運をみます。前運ともいいます。」「総格 姓名の合計 後運格 中・高年運からの吉凶運。人生全般に影響します。」「外格 総格から人格を引いた数。副運格 環境・仕事・家庭運をみます。」との表現が存在することが認められる。
(2) 他方、(証拠)によれば、被告パンフレットには、「天」「人」「地」「外」「総」の文字及び「天運」「人運」「地運」「外運」「総運」の文字の記載があり、これらの文字表現の意味として、「『天運』…先祖運、先天的運勢/自分が生まれた家と、一族が継いでいる命運を表し、人生の前提条件となるものです。」、「『人運』…社会運、成功運/その人自身の運命を示すもので、社会的な立場での成功運を示すと同時に、才能や性格を暗示しています。」、「『地運』…健康運/持って生まれたその人の体質や病気やけがなどを暗示します。」、「『外運』…環境運、補助的社会運/自分の意志とはかかわりなく受ける外からの影響を表し、職場や生活環境について暗示しています。」、「『総運』…生涯運、晩年運/すべてをトータルした総合的な運気を示します。生涯の流れと、その結果としての晩年の状況を暗示しています。」との表現があることが認められる。
(3) 原告は、原告著作物における「天格・人格・地格・総格・外格」等の文字表現が被告パンフレットにおいて複製されていると主張するところ、「天格・人格・地格・総格・外格」の文字表現自体は、熊崎式姓名学で用いられる字画数の単位の名称であって、思想又は感情を創作的に表現したものとはいえないから、同じ文字が用いられたからといって著作物の複製に当たるとすることはできない。のみならず、前記(1)、(2)を対比すると、原告著作物と被告パンフレットの前記表現には、「天」「人」「地」「総」「外」の5文字を除いては全く共通する部分がないから、被告パンフレットが原告著作物中の前記(1)の表現の複製に当たるとはいえない。よって、被告が原告の原告著作物についての複製権(著作権法21条)を侵害したということはできない。
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