質問文の著作物性を否定した事例
▶平成14年11月15日東京地方裁判所[平成14(ワ)4677]
1 Qシートは,表題,回答者の特定に必要な欄及び1行36文字8行からなる回答方法についての解説並びに80問の質問とその回答欄から構成されている。質問文は,いずれも最小5文字,最大34文字の短文であって,疑問文ではなく肯定文又は否定文であり,これに対し,「はい」「?」「いいえ」で回答する欄が作成されている。
測定テストは,1部70問の3部構成で合計210問の質問とその回答欄から構成される。測定テストの質問と同一であるQシートの質問は,別紙1記載の本件50問であるが,その配列はQシートの配列とは全く異なり,測定テストにおける他の160問と混在している。
2 Qシートの著作物性の有無
(1) まず,測定テストで利用された本件50問の個々の質問文に著作物性が存在するかを検討すると,1つ1つの質問文は,いずれも前述のとおり短文である上,一般的かつ日常的でありふれた表現が用いられており,特徴的な言い回しがあるとも認められない。
原告は,個々の質問文は,高度に専門的な分析から作成されたもので,一般の文章とは比べものにならない精度を要求される文章であり,ちょっとした表記の違いが決定的な違いを生む場合がある,直感的に答えやすく,理性的な判断が働きにくい表現が使用される等の工夫がされていると主張する。しかし,原告が工夫したとする点は,質問ではなく肯定文又は否定文にしたことや性格の傾向ではなく経験を尋ねる内容にしたことや具体的な場面をイメージしやすい言葉を選択したこと等であって,一般的かつ日常的でありふれた表現の域を出るものではない。原告が主張する,ちょっとした表記の違いが決定的な違いを生む場合があるとの点は,その事実を具体的に認めるに足りる証拠はない。かえって,Bは,自らが著作者となる書籍の中で,Qシートと同内容のチェックリストを「FFS分析」「FFS調査」「FFS簡易個性判定」などと称して使用しているところ,その際に使用されている個々の質問文の文言は,Qシートの文言とは異なるから,この事実は,ちょっとした表記の違いがそれほど意味を持たないことを示しているということができる。
したがって,本件50問の個々の質問文の表現に,作者の個性が表出されているとは認められないから,創作性は認められない。著作権法は表現を保護するものであって,思想やアイディアを保護するものではないから,いずれの質問文の表現にも創作性が認められない以上,著作物性は認められない。
(2) そして,個々の質問文に著作物性が認められない以上,これらの独立した質問文を80問集めたものであるQシートの質問文全体についても,それが編集著作物として著作物性を認められるかどうかという点を別にすると,著作物性は認められない。
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