法29条1項の「参加約束」とは
▶平成28年2月25日東京地方裁判所[平成25(ワ)21900]
参加約束について
著作権法29条1項所定の「著作者が…映画の著作物の製作に参加することを約束し」たとは,「著作者が,映画製作に参加することとなった段階で,映画製作者に対し,映画製作への参加意思を表示し,映画製作者がこれを承認したこと」を意味すると解すべきである。
法29条1項の「参加約束」の意義
▶令和5年5月31日東京地方裁判所[令和3(ワ)13311]
著作権法29条1項は、映画の著作物の著作権について、著作者が映画製作者に参加約束をすることにより、当該映画製作者に帰属する旨を規定しているところ、同項は、著作者の映画製作者に対する参加約束があれば、法律上当然に著作権が映画製作者に移転する効果が生じることを定めたものであり、意思表示により著作権が移転するとの効果を定めたものではない。そして、著作者が映画製作に参加する場合、必ずしも映画製作者との間で参加に係る契約を締結するとは限らず、著作者が所属する法人と映画製作者との間で契約が締結されたり、映画製作者と第三者との間で契約が締結され、更に当該第三者と著作者との間で契約が締結されたりして、著作者が映画の製作に参加するような場合もあり得ると考えられ、そのような場合に参加約束を認めなければ、同項が設けられた意味がなくなるというべきである。したがって、同条における参加約束は、映画製作者に対して必ずしも直接される必要はなく、映画の製作に参加しているという認識の下、実際に映画の製作に参加して、その製作が行われれば、著作者が映画製作者に対して映画製作への参加意思を表示し、映画製作者もこれを承認したといえ、黙示の参加約束があったと認めることができるというべきである。
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