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著作権コンサルタントをしています。クリエーターの卵から世界的に著名なアーティストまで、コンテンツビジネスや著作権にかかわる法律問題について、グローバルに支援しています。 カネダ著作権事務所 http://www.kls-law.org/

2025年8月16日土曜日

判例/他人の著作物を利用する者の過失責任の原則/利用許諾を受けようとする者の注意義務

 

他人の著作物を利用する者の過失責任の原則

▶平成16629日東京高等裁判所[平成15()2467]

他人の著作物を利用するに当たっては,それが著作権法その他の法令により著作権が制限され,著作者の承諾を得ない利用が許される場合に該当し,著作権を侵害することがないか否かについて十分に調査する義務を負うというべきであり,そのような調査義務を尽くさず安易に著作者の承諾を得なくても著作権侵害が生じないと信じたものとしても,著作権侵害につき過失責任を免れないというべきである。


利用許諾を受けようとする者の注意義務

▶平成23711日東京地方裁判所[平成21()10932]▶平成24228日知的財産高等裁判所[平成23()10047]

(2) 以上に基づいて検討するに,第三者が著作権を有する著作物の利用について契約を締結する場合,当該契約の相手方が当該著作物の利用を許諾する権限を有しないのであれば,当該契約を締結しても当該著作物を利用することはできないのであるから,当該契約の当事者としては,相手方の利用許諾権限の有無を確認する注意義務があるというべきであり,これを怠って当該著作物を利用したときには,当該第三者に対する不法行為責任を免れないというべきである。

これを本件についてみるに,被告は,本件原版供給契約の締結当時,本件各原版について,原告又は「中国中央電視台等」が著作権を有し,GMG又はプレシャス社が著作権を有しないことを認識していたと認められるところ,被告が,原告又はCCTVに対し,GMG又はプレシャス社の利用許諾権限を確認したことや,それ以外の方法で利用許諾権限を確認したことを的確に認めることができる証拠はない。

そうすると,被告には,本件各原版の利用について過失があると認められるから,被告は,原告に対し,不法行為責任を負うというべきである。

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