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著作権コンサルタントをしています。クリエーターの卵から世界的に著名なアーティストまで、コンテンツビジネスや著作権にかかわる法律問題について、グローバルに支援しています。 カネダ著作権事務所 http://www.kls-law.org/

2025年8月30日土曜日

判例/「創作的に表現した」言語著作物とは

 

「創作的に表現した」言語著作物とは

平成200717日知的財産高等裁判所[平成20()1000]

著作権法211号所定の「創作的に表現したもの」というためには,当該記述が,厳密な意味で独創性が発揮されていることは必要でないが,記述者の何らかの個性が表現されていることが必要である。言語表現による記述等の場合,ごく短いものであったり,表現形式に制約があるため,他の表現が想定できない場合や,表現が平凡かつありふれたものである場合は,記述者の個性が現われていないものとして,「創作的に表現したもの」であると解することはできない。

平成28129日東京地方裁判所[平成27()21233]

「創作的」に表現されたというためには,厳密な意味で独創性が発揮されたものであることは必要ではなく,筆者の個性が何らかの形で表れていれば足りるというべきである。そして,個性の表れが認められるか否かについては,表現の選択の幅がある中で選択された表現であるか否かを前提として,当該著作物における用語の選択,全体の構成の工夫,特徴的な言い回しの有無等の当該著作物の表現形式,当該著作物が表現しようとする内容・目的に照らし,それに伴う表現上の制約の有無や程度,当該表現方法が,同様の内容・目的を記述するため一般的に又は日常的に用いられる表現であるか否か等の諸事情を総合して判断するのが相当である。

▶昭和530621日東京地方裁判所[昭和52()598]

著作物性を肯定するための要件たる創作性は、表現の内容である思想について要求されるのではなく、表現の具体的形式について要求されるものであり、公知の事実又は一般常識に属する事柄についても、これをいかに感得し、いかなる言語を用いて表現するかは各人の個性に応じて異なりうること論を俟たないから、右記述中に公知の事実等を内容とする部分が存在するとしても、これをもつて直ちに創作性を欠くものということはできず、その具体的表現に創作性が認められる限り、著作物性を肯定すべきものと解するのが相当である。

▶平成261219日東京地方裁判所[平成25()9673]

歴史上の事実や歴史上の人物に関する事実は,単なる事実にすぎないから,著作権法の保護の対象とならず,また,歴史上の事実等についての見解や歴史観といったものも,それ自体は思想又はアイデアであるから,同様に著作権法の保護の対象とはならないというべきである。他方,歴史上の事実等に関する記述であっても,その事実の選択や配列,あるいは歴史上の位置付け等において創作性が発揮されているものや,歴史上の事実又はそれについての見解や歴史観をその具体的記述において創作的に表現したものについては,著作権法の保護が及ぶことがあるといえる。

▶平成27910日知的財産高等裁判所[平成27()10009]

ありふれた表現は,一般に,複数存在するのであるから,歴史的事項を説明する表現に他の表現を選択する余地があるとしても,そのことを理由として,直ちに個性の発揮が根拠付けられるものではない。

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