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著作権コンサルタントをしています。クリエーターの卵から世界的に著名なアーティストまで、コンテンツビジネスや著作権にかかわる法律問題について、グローバルに支援しています。 カネダ著作権事務所 http://www.kls-law.org/

2025年8月14日木曜日

判例/特定理論を表す造語「初動負荷」「終動負荷」は、言語著作物か

 

特定理論を表す造語「初動負荷」「終動負荷」は、言語著作物か

▶平成170712日大阪地方裁判所[平成16()5130]

このような運動・トレーニング方法に関する理論を原告が独創し,その名称を創作したものであるとしても,著作物性は具体的な表現について認められるものであり,理論について認められるものではないから,理論が独創的であるからといって,直ちにその名称に著作物性が認められるわけではない。

そこで,原告が創作した「初動負荷」及び「終動負荷」という名称表現について検討するに,まず「初動負荷」について見ると,ある抽象的な理論や方法(ここでは運動・トレーニング方法がそれに当たる。)を端的に表現する名称として,それを漢字四文字の熟語で構成することは,日本語において常用される表現方法であるところ,運動の動作の開始時において負荷を与えた後に,その負荷を適切に漸減するという運動・トレーニング方法の名称を考えるに当たり,「運動の動作の開始時において」「負荷を与える」という代表的な要素を抽出して,「初動負荷」と名付けることは,「広辞苑」において「初動」とは「初期段階の行動」の意味であるとされていることもふまえると,ありふれた表現にすぎず,創作性を有する著作物と認めることはできないというべきである。

また,「終動負荷」という名称について見ると,確かに「終動」という言葉は一般の日本語にはなく(「広辞苑」にも見られない。),原告の創作した造語であると認められる。しかし,新旧二つの理論や方法に名称を付与する際に,両者の名称が対になるようにするのは日本語として常用される表現方法であることからすると,新規な運動・トレーニング方法を「初動負荷」と名付ける一方で,従来の運動・トレーニング方法を「終動負荷」と名付けることも,やはりありふれた表現にすぎず,創作性を有する著作物と認めることはできないというべきである。

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